第30話 答え合わせと理由
「まずはこちら……ボロボロの白い本です。きっとあなたはこの本が何か知っているでしょう?」
「その本は!?」
推測通り、叔父はこのノートを知っているようだ。
「この本は魔道具です。しかも世にも珍しい空間魔法の魔道具でしてね。すごいですよね。二十年ほど前にとある学生が開発したものなんですよ」
今回叔父に会いに来るにあたって、死神ギルドから借りてきたあの時見つけた方の白い本だ。
「空間魔法のノート……!」
ヴェルディオがそこで気がついたようだ。
「ええ、すごいですよね。ただ、残念なことにこの本の開発者さんはもう亡くなられていましてね。調べによると、事故でこの本の中に閉じ込められてしまったようなんですよ」
「それは……残念だな」
「だが、ご安心を! 実はもう一人の開発者さんがいらっしゃったんですよ。まあ、彼は空間魔法の研究はしていなかったみたいですが」
リーネはわざとらしく笑って尋ねる。
「クレイン様と言って、本当に偶然なんですが、あなたの会社の技術開発部門の方なんですよ」
「あ、ああ。クレインか。よく知っているよ。優秀なやつだ」
「おっと失礼。元でしたよね。数日前に会社をクビになったんでしたよね」
「ああ、そうだな。ちょっと事情があってな」
「そんなあなたにご報告です。彼、昨日発見されたんですよ、遺体で」
「は?」
予想外だったのか、ヴェルディオの表情が固まった。
まさか、発見されるとは思ってもいなかったのだろう。
「ちなみに発見者はレイヴン様です」
レイヴンを示すと、ヴェルディオはギギギと首を回しレイヴンを見た。
「ちなみにリーネ嬢も一緒でした」
今度はぎゅいんとすごい勢いでリーネに視線を戻した。
(面白い動き、まるでおもちゃですね)
事実、ほぼそのとおりではあるのだが。
「ええ、実は調べ物をしている最中にたまたま彼に行き当たりましてね。ちょうど暗殺者に狙われて殺されるとこだったんですよ。残念ながら助かりませんでしたが」
「そ、それは随分と物騒だな」
「ですよね? 暗殺者。怖いですよね。しかし、ご安心を。暗殺者ギルドは潰してきましたので」
「……は?」
どうやら叔父には理解できなかったようだ。
「ええ、見てくださいよ。これ彼らきっちりと記録を残していてくれたんですよ。おや、不思議なことにヴェルディオ様の名前がちらほらと……?」
リーネは拾ってきたスマホのデータを画面に写して見せる。
これにはヴェルディオもたまらず顔を青ざめさせた。
「ね、捏造だ! 誰かが私を貶めるための罠だ!」
「おっと」
リーネはスマホを掴もうとしてきたヴェルディオの手を軽く避けた。
「さて、それはどうなんでしょうね? あ、ちなみにこのスマホも暗殺者ギルドから回収したもので、まだ国には提出していないんですよ。わかりますか? 明確な物的証拠が今ここにあるんです」
「そ、それをよこせ!」
「ええ、いいですよ? ただし、条件があります」
「じょ、条件だと!?」
「ええ、先程も言いましたよね? それに答えてください。あなたはなぜ私の両親を殺したのですか?」
この時、リーネはいつも通り笑っているつもりでいた。しかし、その表情からは笑みは完全に消えていた。
今までリーネに存在していなかった怒りという感情が、そこにはあった。
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こんな半端なところではありますが、これで今年分の投稿は完了です。
引き続き来年もよろしくお願いいたします。




