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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第二幕 ミゼリオール邸集団死亡事件

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第16話 叔父と従兄弟

「見せてみろ」


 椅子に座ったおそらく叔父だと思われる人物は執事風の男性から書類を受け取る。

 叔父の名前は……執事風の男性がヴェルディオと言っていたことから、フルネームではヴェルディオ・ミゼリオールだと思われる。

 その叔父は執事の報告にあからさまに苛立っている様子で顔をしかめた。


「……なんだこれは?」


「他社の人工魔石が市場に出回り始めており、加えて弊社製品への不信感も広がっているようでございます」


「不信感だと? なぜそんなことになった」


「しかしながら、不具合の報告が相次いでおりまして……魔道具との相性が悪い、出力が不安定である、といった声が顧客から上がっております」


「ちっ……クレインの奴め……」


(クレイン?)


 知らない名前が出てきた。社員の名前だろうか?


「学生時代に使えると思って拾っておいたが……やつも、そろそろ潮時かもな……」


「首を切るということですか? いえ、しかし、彼は技術開発部門のトップです。クレイン様ほどの技術者は他には……」


「あんな平民からの成り上がりの代わりなどいくらでもいるだろう。新しい者の検討を始めろ」


(あらら、可哀想に……雇用関係というのは理不尽ですこと)


「……はい。承知いたしました」


 執事風の男性は何か言いたげだったが、飲み込むように一礼をした後部屋から出ていった。


「技術力には身分など関係ありませんのに……トップがこれでは会社が傾くのも当然ですわね」


 ノエラが呆れたように頭を抱えていた。近い業界にいるノエラとしては、叔父の無能っぷりが目に余るのだろう。



「父上、入ってもよろしいでしょうか」


 執事と入れ替わりにドアをノックする音と若い男の声が聞こえた。


「エガードか。入れ」


 叔父がそう答えると、ドアが開き、若い男が入ってきた。


「あれ? 見たことある顔ですね」


「エガード・ミゼリオールですわ。学園の二回生で、次期侯爵を継ぐ予定の方ですのよ」


「あー、そういえばいましたね」


 以前、風紀委員に呼び出された時に会ったことを思い出した。


「例の件についてです」


「あれの娘の件か……」


 あれの娘とは……


「はい。先日の噂の件を追求して、退学へと追い込む予定でしたが、生徒会の方からの強い反対がありました」


「生徒会からだと?」


「はい。どうやら生徒会長であるレイヴン・ガレンティと懇意になったようで、彼の意向が強く働いているようです」


(これはひょっとして自分のことですかね?)


 リーネは楽しげに耳をそばだてた。


「ガレンティ侯爵家か……やっかいだな」


 叔父の声には明らかな警戒心が混じっている。

 ガレンティ家とミゼリオール家は同じ侯爵家、つまり完全な同格だ。


「わかった。お前は引き続き、あの娘の動向を探れ。そうでなければ、お前の立場も危うくなる可能性があることをゆめゆめ忘れるな」


「はい。わかりました」


 エガードは深く頭を下げると、部屋を出て行った。


「前にレイヴン様が言っていましたが、なんで私が彼らの敵になるんでしょうね?」


「リーネ様のご両親を殺したことがバレるのを恐れているのか、もしくはリーネ様のお祖父様の影響を気にしていらっしゃるのかと」


「あー、確かに、あの人引退したとはいえ、かなりの影響力を持っているらしいですからね」


 リーネとしては、後継なんて全く興味がないのだが、次期当主であるエガードにとっては後継争いになる可能性があると思われているのかもしれない。


「さて、面白い話題も聞けましたし、我々はここで帰りましょうか」


「ええ、収穫もありましたしね」


 叔父は黙って執務に戻ってしまったようなので、これ以上はここにいても無駄だろうということで、リーネとノエラは屋敷を後にした。


 帰りがけにちらりと屋敷を振り返るリーネ。

 次はいつこの屋敷にこられるのか、しかし、その日がそう遠くないことはリーネはすでに予想していた。




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