表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第一幕 呪いの旧校舎

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/69

第16話 レイヴンとスパイ

「聞こうじゃないか」


 リーネの言葉にレイヴンは腕を組んで眉を潜めた。


「まず大前提として、侯爵家の跡取りが死神ギルドに所属するということは、よほどの理由がない限りありえません」


「それは……確かにそうだね」


 死神ギルドというのは、それだけで畏怖される存在だ。そんな組織に所属しているなど、貴族内での評判が悪くなるのは目に見えている。


「でも、それでも、僕はどうしても気になって……」


「ええ、説得した。そういうのも家によってはあるかもしれませんね。今はそのあたりが寛容な時代ですから」


 評判よりも能力が優先される。レイヴンほどの能力があれば、多少の悪評などものともしないだろう。


「だから、私が嘘だと言った根拠はそれではありません」


 言いながらリーネは静かに、レイヴンを見つめる。


「私が嘘だと言った根拠はあなた自身です」


「僕自身?」


 なんのことだかわからないと言ったようにレイヴンは首をかしげた。


「ええ、あなた……私とは違った意味で他の人とはズレているのでしょうね」


 それは、人の観察を多くしていたリーネだからこそわかったこと。


「あなたは常に人の目を気にして生きている。そして人の望みに応える。そういう生き方をしています」


「……生徒会長だからね」


 リーネの言葉にレイヴンは苦笑して返す。しかし、先程のよりも覇気がなくなっているように見えた。


「あなたの姿は立派です。そう、でも、立派すぎるんですよ」


 出会ったときから、気になっていた。どうも、ずっと仮面をつけているような感覚。

 初めて会った時にはゴーレムなんて勘違いした、その理由。

 しばらく観察して理由がわかった。


「あなたには主体性はありません。常に人の目を気にして、人の望む姿を演じ続けている」


 それがリーネから見たレイヴンという人物像だった。


「あはは、それは面白い評価だね。あははは!」


 レイヴンは大笑いした。しかし、リーネはそれに反応せずそのままの目でレイヴンを見続ける。

 そうして、レイヴンの笑い声は次第に乾いたものへと変わっていった。


「あはは……これは誤魔化せそうにないかな?」


 笑いを止めたレイヴンにリーネは頷いて返した。


「そうだね。認めよう。僕は王国から派遣されたスパイだ」


 観念したように手を上げたレイヴン。そこには、先程までの完璧超人の仮面はなかった。


 まるでのっぺらぼうかのように、感情のない顔をしている。


「それがあなたの本当の姿ですか。なんとも興味深いですね」


 自分と似ているようでやはり違う。リーネはまじまじと彼の表情を観察する。


「そんなに面白いかい?」


「ええ、割と」


 リーネはにっこりと笑った。


「あなたが死神ギルドのスパイをしているのは、親からの命令ですか?」


「そうだね。父上から死神ギルドの動向を監視するように命じられている」


「なるほど……ちなみに私の予測だと、逆もやっているのではないかと思っているのですが、どうですか?」


「……そんなことまでわかるのかい」


 レイヴンはその言葉に驚いたのか、眉がピクリと動いた。


「ええ、これは半分勘ですがね。死神ギルドとしても、侯爵家の跡取りの情報は欲しいでしょうしね。そして、あなたはそれを断ることはしないでしょう」


 つまり、彼は二重スパイということになる。


「また随分と面白い立ち位置にいますね」


 リーネはくすりと笑う。


「別にどちらも仕事だからね。言われたことはやるだけさ」


「ええ、あなたがそういう人物だからこそ、できる役割でしょうね。随分と器用な様子ですし」


 リーネはそう言って、しばし考え込んだ。


「ところで、レイヴン様。私にそんな秘密を知られてしまってどうするおつもりですか?」


 スパイはバレてはいけない。誰にもだ。

 本来であれば、無理矢理にでも口を封じるべきだろう。しかし、リーネは死神だ。手が出せる存在ではない。


「……わからない。君がバラしたら僕はきっと終わりだろう」


 そしてそれは、国と死神ギルドの両方にとって非常にまずいことになることは間違いない。


「ええ、そうでしょうね。ですが、そんなレイヴン様に一つ提案があります」


「提案?」


「ええ、それを飲んでくれさえすれば、私は誰にも言わずに秘密を守ってあげましょう」


 リーネは機嫌良さげに微笑んだ。人が見ればそれは邪悪な笑みにも見えるだろう。


「……どういう提案なんだい」


 秘密を守るためにはレイヴンはそれを飲むしかない。提案とは言いつつも、これはただの強要に近い。


「あなた、私のスパイになる気はないですか?」


 リーネはひどく邪悪な提案をした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ