表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第一幕 呪いの旧校舎

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/66

第10話 噂と視線

(やけに見られていますね)


 次の日、リーネが学園に向かっていると、周囲の生徒たちが自分をちらちらと見ていることに気づいた。


(ふむ、昨日の今日なのに噂が広がるのがやけに早いみたいですね)


 生徒の多くは貴族だ。情報こそが命であるからこれはいい傾向ではあるかもしれない。


(タンブルウッド王国の未来は安泰かもしれませんね)


 そんなことを考えて薄く笑いながら歩いていると、それを見た生徒たちが足早に立ち去っていくのがわかった。


(もっとも、根も葉もない噂に振り回されているのは大きなマイナスですが)


 どちらかといえば、マイナスのほうが大きいだろう。

 王国の未来などさほど興味がないリーネは、そんな周りの視線を面白がりながらも堂々と道を行くのであった。



 ガラガラと音を立てて、教室に入る。

 リーネが入った瞬間、教室内での会話はピタリと止まった。

 一瞬、全員の視線が集まった後、すぐに離れていく。


(あらら、随分とわかりやすいですね。貴族がそんなに露骨では駄目ですよ)


 教室内の空気がピリピリとしている中、窓際の自分の席へと向かう。


「おはようございます」


「お、おはよぅ……」


 なんとなく反応が見たくて、隣の席の生徒に挨拶をしてみたら、露骨に怯えられた。

 どうにか頑張って挨拶を返したものの、怖くなったのか、リーネが座ると同時に彼は席を立ってどこかへ行ってしまった。


(ふむ、思っていた以上に噂は広まっているみたいですね)


 この感じでは、学校中に広まっているというのもありえるのかもしれない。


(どういう感じで広まったのか、後でノエラと調べてみたら面白いかもしれませんね)


 それはきっと、リーネにとって面白い情報になるはずだから。



 ある種、針のむしろ状態のままで授業が始まった。

 科目は魔法学。魔法理論の基礎を学ぶ授業だ。

 とはいっても、体質的に魔法を使えないリーネにはほとんど関係がなく、早々にテストを終わらせた後に、退屈しのぎに窓の外を眺めていた。


(……視線を感じる)


 テスト中にもかかわらず、誰かが自分のことを見る感覚がした。長年人から見られることでリーネの感覚はかなり鋭敏になっている。

 その方向に視線を向けてみると、そこには怯えたようなこちらを見る教師が慌てて顔を逸らした。


(あらあら、教員までもが噂をご存知なんですかね?)


 顔を逸らしていても、横目でこちらを気にしているのがわかって、思わず笑ってしまった。


(しかし、教師までですか、これは面白くなってきましたね)


 噂を広げた人がいる。これはもう確定だろう。

 そして、それは、リーネに対するあからさまな悪意だ。


(ノエラが戻ってきてからにするつもりだったけれど、気になりますね)


 どうしても気になってきたリーネは、ガラガラと椅子を引いて立ち上がった。

 教室中の視線が一斉にリーネに注がれ、そして一斉に離れていく。


(関わりたくないという明確な意思を感じますね)


 思わず笑いそうになったのをこらえながら、リーネは教員に目を向けた。


「先生、少々お手洗いに行ってもよろしいでしょうか?」


「え、あ、はい……かまいませんよ」


 生徒たちと違って目をそらすことのできない教員は、それでも頑張って必死で平静を装いつつリーネに許可を出してきた。


「ありがとうございます」


 リーネはにっこりと笑い、わざと教室の真ん中を通ってドアへ向かう。

 ちらりちらりと生徒たちがリーネを見てくるのがわかる。


「ふふっ」


 ちくちくと刺さるような視線がなんだか面白くて笑ってしまうと、近くにいた生徒がびくっと体を震わせた。


「おっと、失礼しました」


 もちろん悪いなんて思ってもいないリーネは悠然と教室を出た。

 ドアを閉める直前、教室から一斉にため息のような音が聞こえてきたのを聞いてリーネは更に笑いをこらえきれなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ