【ep26】銀世界に混ざる黒
あれからすっかり魔界の生物ラオラスによる
天候の荒れはなくなり、ニターナは日常を再開していた
ラオラスの根っこも探してみたが見つからず
リリル曰く、二匹の衝突で外れたのでは?とのこと
「天気もとってもいいし、食事も美味しかったね」
「そうね、充分休めたわ」
「元気まんまんだね!ほらみてよ翼も広げやすい!」
リリルが翼をパタパタしてて可愛かった
フォレアのことでモヤモヤしていた
気持ちもここニターナで、完全に晴れた気がする
私達は充分休めたので当初の目的である
コリストルに向けて今日旅立つために
ブルーム商店で旅支度をしていた
「準備はしっかりしておきましょう」
「ミシェミシェ先生ースカイバナナはおやつに入りますかー!?」
「いやいや遠足じゃないのよ!エミー」
つっこみがはやい、さすがミシェル
そうそう、エミーも一緒にくるとのことで
同じく旅支度をしていたのだ
壁の調査に再び出向く必要がでたらしい
「そういえばエミーも壁の民なんだよね?」
「そだねー、壁の向こうで生まれたらしいし」
壁の民、このニターナの島民も半数はそうらしい
昔は壁より向こうにあった浮島に住んでいた
壁は少しずつ迫ってきて、ついには島ごと消してしまう
エミーの調査は壁がどれぐらい狭まっているか
または何かしら対処できないかを調べているそうだ
「実際、今って壁はどうなっているの?」
「少し狭まったよ、浮島一つぶんぐらいはねぇ」
「浮島ひとつ消えたってこと?」
「そだねー名もない浮島だったけど刺刺の~」
そんな話をしながらエミーは鉄や金属などを持ち込んで詰めていた、エミー用の部屋は作ってないのでとりあえず中央の部屋に陣取ってもらっているが結構埋まった
「鉄やら銅やらありすぎじゃない?」
「仕方ないよーバズの食糧でもあるもん」
「すまんな、食べ盛りでよ!」
「そういうものなんだ…」
フォレアと同じ希有な攻撃手段をもつ魔法生物バズ
エミーはファミリアにバズを創造してもらったらしい
やはり噂どおり天才なんだろう
コリストルに住んでるとのことなので
今から会えるのが楽しみだ
「さて、と皆大体準備いいわね?」
「うん大丈夫」
「アタシもおっけー」
「ボクはべりべりグーだよー」
ミシェルは全員の準備がすんだことを確認して
ブルーム商店を稼働させた
店のシンボルの箒から煙があがり発進した
すると外からボルゼイルさんや村の皆の声が聞こえた
「壁の調査頼むぞーバカ弟子ー」
「いってらっしゃいーエミー!」
「皆さんも良かったらまたきてねー」
エミーや私達は商店の窓を開け、身をのりだして
皆に手を振った、遠くなって見えなくなるまで
今日のソラの天気は本当に快晴だ
旅立ち日よりはやっぱりこうでないとね!
~
暫く私達はソラの旅を満喫していた
コリストルまで4日といったところか
小さな浮島もいくつか通りすぎながらそこの住人や
他の旅人とかにブルーム商店の商品を売ったりして
過ごしていた、今日の営業は終わりだ
「閉店したよー。でも~なんか今日外寒いねぇ」
「マジそれね。でもコリストルが近いってことだ
コリストルは氷河滝島だかんね!」
「へぇー、でっかい凍った滝かすごいなっ」
部屋の中も寒いので私とエミーは暖炉の近くにいた
そんな時でもヘソだしルックスなリリルには驚いた
イビルーズは寒さに強いとかいってた
いまだけちょっと羨ましい、がくがくしてたら
ミシェルが居間からホットコーヒを持ってきてくれた
「まぁ…そんな氷河の滝が見えてきたわけだけど。
ほらメル、外みてみなさいよ」
「うー寒いけど…見る!」
ホカホカのコーヒカップを受け取って
手を温めて窓から外を見た
氷河の滝とはよくいったものだ、滝が見事に凍って
はるか上空から下までまったくみえない程の大きさ
帝国より大きいのではないかと思わせる幅
幾重もの氷柱が連なって銀世界を構成していた
「わぁ~綺麗~」
「…ん?なんかあそこだけ可笑しくないか?」
リリルも一緒に外を覗いていて、指差した方をみた
確かに真っ黒でそこだけ「なにもない」ように見える
銀世界の一部だけ切り取られたような
「どれどれ~?あーっ!ありゃやばい!バズいくよ!」
「おうよ!」
急にエミーが外に飛び出した、私達も慌てて追いかける
黒い塊にむけてエミーは有無をいわさず
バズを「砲台」に変形させて黒い塊にむけ
轟音と共に魔法弾を放つ、見事に命中し煙が辺りを覆う
「ちょっとエミー!急にどうしたの!?」
「あの黒いのは、穴なんだ。放置してると壁の役割を果たしちゃう!」
「穴…?んでも形がさっきと違う…」
「えっ!?」
煙が晴れた先に居たのは、黒く長い角を生やした
全身が黒い馬の形をしていた、鳴き声をあげると
上空のコリストルがある方へ駆けていってしまった
「まずいっ!あいつ町へいくつもりだ!
みんなボクはあいつ追いかけるから先いってる!」
「わかったわ、私達もすぐいく!」
氷の滝を上っていく黒い馬を、エミーはバズにのって追いかけていった。大砲の爆発を伴う移動ですごく早い
煙が晴れたらもう見えなくなっていた
「メル、ブルーム商店の移動任せてもいいかしら?
私とリリルも、エミーを箒で追うわ」
「うん、任せてわかった!」
「リリルいくわよ」
「了解、メルちゃん何か危なかったら呼んでな」
「うん!有難う!」
2人は箒にのり、エミーを追った
私はブルーム商店を動かすための水晶に魔力を込める
ゆっくりと島は動き出す
「私も早く合流しなきゃ…」
すると誰もいない私の部屋の方から音がした
肩がびくついた、私は部屋の方を見て息をのむ
そこにいたのは先ほどと同じ黒い塊、だが小さい
「別のが入り込んできたっ!?」
咄嗟に試作品だがブルーム商店の杖を取る
私のように素で魔法を放つのが苦手な人用に開発して
もらった魔術補助道具、基本魔術なら簡単に扱える
「くらえっ!氷の刃!アイスーン!」
小さな氷の刃が対象の地面から生えて突き刺す
黒い塊はガラスのように割れて消え去った
「はぁ~よかった…小さくて…
この辺いっぱい湧くのかなぁ注意していこ…」
簡単に倒せてほっとした
私は水晶に戻りブルーム商店を再度動かすことにした
島は氷河滝をのぼりはじめた
~
氷河の滝を上った先に青く透き通った
氷のツリーのオブジェが連なって迎えてくれる
コリストルの島へたどり着いたのだ
雪も降っており、あちらこちらに雪だるまもある
町の中央には大きな時計塔がある
町全体が大きなドームで包まれていた
まるで何かを祝うような町、ところどころ光っている
「凄いーこれがコリストルかぁ!」
私はようやくついた町の島付き場へ
ブルーム商店の島をとめる
「メル…おつかれさま」
「まってたよ、メルちゃん」
「おつでぇす…」
ミシェルもリリルもエミーも既にいて待っていた
どうやら黒い馬は無事退治できたみたいだ
しかし少し苦戦したようで
ちょっとダメージを受けてるっぽくクタクタだった
「三人とも大丈夫?」
「ふぅ…これが案外強かったんよアレ」
「エミーがバズから蹴落とされた時はどうしようかと」
「あははーめんごだよ、ほんと助かったよボク」
とりあえずブルーム商店に皆はいって
それぞれ近くのソファーにバタンキューした
「壁から発生する黒いクリスタルの魔法生物は壁に近ければ近いほど多くてねぇ、あれら「クロマ」の討伐も任せられてるんだーボク」
「クロマ…」
「黒い魔法生物だからクロマ」
「まんまなのね…」
壁…ソラの世界の果てだと聞いている
このコリストルはそこからもっとも近い場所
ただ壁は見ることは近づかなければ分からないそうだ
近づくまでまるで世界が続いているようにみえてしまう
その先は、なにもなくなってしまった世界
「とりあえず、町ついたしちょっと休憩しよー
温泉もあるよーこの町」
「温泉…いいわね、旅の疲れを癒すのには」
「旅のっていうか戦いの?」
「間違いないねぇ」
みんなわりと疲れてた、私もちいさい相手だったが
あれから何度かクロマが現れては退治してたので
実はちょっと疲れてるので魅力的な提案だった
「よし!じゃあ温泉いきましょうか!」
「おー」
コリストルにきた目的からは少しずれるが
まずは休養!私達は着替えやお風呂装備をもって
コリストルの町へくりだした
浮き浮きしてたとおもう、鼻歌なんか歌って
氷河滝の町島コリストル
時計塔を境に氷河が氷落ちる町
賑やかで煌びやかな町
まだみぬその氷河の根元─
黒や白の石が大量に落ちている
その隣に横たわるのは、はるか古代の魔法生物
それは眼光鋭く「壁」を睨んでいた
つづく
よんでくださり有難う御座います
続きはちょくちょくかいていきます!




