【ep20】魔なる者シーバ
巨大なジオスの腕が闇を纏いソラを曇らせる
渦巻く闇は周囲のあらゆるものを飲み込み消滅させる
だが新緑の風も吹き荒れ、渦巻く闇を対消滅させる
腕の放つ数多の破壊の光も竜巻状にした
風の魔法でほぼ全て打ち落とす
威力が減少したものを兵士たちが前へ出て
防御壁を幾重にも重ねて対応している
「セリア、クエル…頼みますよ」
風姫フレアガは魔力の限り戦う
腕の根本へと向かう二人を信じている
フレアガの視線の先
黒のマントをなびかせ姫の補助の風魔法を帯びて
二人は腕が出現した暗闇島の中へと潜っていった
「入ったときより、闇の力が濃い─」
「姫様の風がなければ、我らも危ういな」
「クエル…あれは!」
遺跡へと向かう穴には腕をつたって
数多の骸骨のボギーが這い上がってきていた
進路を妨害する目的で腕の主が放ったのだろう
しかし今の2人にはなんの妨害にもならなかった
「こんなものをよこすなら、「いる」ようだな」
腕の合間を縫って、雷がおちるように
並みいるボギーを倒しながら突き進む
「見えた!あそこが遺跡の深部です!」
「うん?あの骨がシーバか?」
「いえ、あの骨兵士は違います、おいっ!兵士!」
「さっきの!?戻ってきたのか!?」
そこには骨兵士が変わらずそこにいて剣を構えており
その切っ先のさきに、件の相手がいた
黒く禍々しい翼を生やしたボロ布をまとった少年の姿
イビルーズであることは見てとれる
その少年の体躯からはありえない大きさの
青白い腕が天に向けられていた
「ふむ、彼奴がシーバかの!」
クエルとセリアも構える、シーバは背を向けていた
こちらに気付いたのか無垢に思える笑顔で振り返る
【あぁ、はじめましてかな?忌まわしき帝国の兵たち、そうだ、僕がシーバ・クランセルオさ】
「そうか!その腕ごと貫いてやるっ!」
「まてっ!あんた!」
セリアが雷槍をシーバに向けて
突進しようとしたところを骨兵士がとめた
みると、槍の切っ先が消滅してきている
即座にセリアもクエルも背後に飛び距離をとった
「破壊を…周囲に纏ってるのか?」
「厄介じゃな…して、なぜあの骨兵士は平気なのか?」
セリアたちがいた場所より手前に入っている
骨兵士は、まったく意に介してなかった
シーバは怪訝そうな顔をする
【死して尚、僕に歯向かうのか…星のなり損ないめ】
「そのなり損ないの輝きがまだ苦手みてぇだなぁ!
ディザイアの輝きが!」
輝きをます兵士のもつ剣はあたりを輝かせる
この世のものではないのに、たしかに光は存在した
シーバの周囲の闇に揺らぎが生じる
漆黒の骨兵士がディザイアと呼んだ剣が
闇を振り払っていく
「あんたらあとは頼むぜ!あいつを倒せっ!」
「!破壊が中和されておる!ゆくぞセリアっ!」
もう片方の腕を前に突き出し防壁を作り出したシーバと
クエルとセリアの攻撃が衝突し辺りが地響きを起こす
彼女たちの強烈な死闘がはじまった
~
マジルと合流し変化した闇の魔法剣フォレアをもった
メルたちは再び戦場へ向かっていた
「破壊の力をもつとはいえあの闇の閃光も魔法にかわりはないんだ」
「同等の魔力をぶつければ、相殺できるわけですね」
「そうだミシェル、きみらは魔力量が一般兵より高いからいけるはずだ」
しかし飛んできたソラのさっきまであった浮島も
何個も壊れ消えていた、まだ距離はあるのに
あの腕の力はここまで余波が届いているのだ
私は力強くフォレアを握りしめた
「大丈夫だメル、我が必ずあいつを斬る」
「うん、有難うフォレア」
しかしその瞬間だった─
空気が一瞬で重くなるのを全員が感じた
不気味で重い声が周囲の魔法使い全員聞こえたのだ
それは、呪文だった
【…生ける全て闇に閉ざせ─シュワルツシルト】
巨大な腕は閃光をうつのをやめた
そして手のひらには巨大な1つ目が現れた
それと同時に目を中心にして
爆発するように闇の大きな球体が腕の周りに出現
その球体は一気に拡大し含まれた全てを消滅させていた
「冗談だろ…」
マジル先生までも絶句していた
遠めにみてもわかった、みな逃げようとしたが
その闇の球体に兵士たちは飲み込まれ消えていったのだ
そして遠くにいたはずの私たちは腕の目の前にいた
「えっ!?」「なに!?」「んっ!?」
私とミシェルとリリルはあまりの事に混乱してしまった
すぐさまにまた闇の閃光が私達を狙って放たれる
間一髪でマジル先生が相殺してくれなければ
これで消えていたかもしれない
「呆けるな三人とも!出来る限りは俺が守るからなんとかフォレアであいつに攻撃を届かせろ!」
「は、はいっ…!」
「メルとフォレアを援護するよ!リリル!」
「わかった!」
私はフォレアを構える、いままでしっかり感じたことが
なかったがフォレアによる一撃の魔力の消費量は
凄まじい、いまの私だときっとあといけて2回
「狙うは腕の根元だ!」
マジル先生が先頭で、ミシェルとリリルが左右に
私を囲う形で一気に進む
五月雨のように降る闇の閃光をマジル先生がさばき
それでも抜けてきた残りをミシェルとリリルが防ぐ
なんとかしのぎ、根元にたどり着いた私は陣から抜け出し根元に向かいフォレアを強く握りしめ掲げた
「フォレアっ─!!」
「切り刻め!斬魔空閻──っ!」
一度振るうだけで数多の円形の斬撃を腕に向けて放つ
ジオスの腕も瞬時にその技に対応し小型の黒の球体を
複数腕回りに発生させた
すべての攻撃がその球体に当たり
破片を撒き散らし爆発する
「そんな…っ防がれた…!?」
「くっ!これは、盗られていた魔光石かっ!」
「メル達の攻撃を石で吸収されたっ」
腕の手のひらが私達の目の前に現れた
先刻開いた掌の瞳が、こちらを睨み付けていた
私達は完全にその場から動けなかった
【消えろ、女神の使いども】
瞬間、闇の球体に包まれ終わったと思ったが
マジル先生が前へ飛び出し防御魔法をはった
なんとか周囲の空間だけ破壊の手から逃れたが
その空間にもヒビがはいり今にも押し潰されそうだ
「ま、マジル先生」
「直ぐにだめになる…っ!壊される前に速く!」
「…はいっ!」
私はフォレアをまっすぐジオスの瞳のあるほうへ
向けて構え魔力を込めるが、先刻ので
かなり消耗していた。あやうく倒れそうになる。
「私達の魔力も使いなさい、メル!」
「頼むよ!メルちゃん」
「二人とも…っ!うんっありがとう…これでいけるよ」
でも二人が支えてくれる
ジオスの腕の瞳の前に数多の小型の球体が現れる
またもや防ごうというのか、しかしそれらを全てマジル先生が次々に打ち砕き、目へと届く道を作ってくれた
「今度こそいくよ!フォレア!」
「メル!貫くぞ!破夜刺突槍!」
その一撃は巨大な針といえる
ジオスの瞳ごと貫く威力といえるものだ
ジオスの防御と衝突する
私の腕も吹き飛ぶのではないかとおもう魔力の奔流。
しかとフォレアを握り私は前へ!前へ!
「ううぅっ!つ、らぬ、けぇぇーーーっ!!」
均衡がくずれ、ジオスの腕の瞳を貫いた
フォレアの剣は腕を突き破る
私の目の前には、すきとおるような
ソラの青だけがみえていた
ジオスの断末魔が聞こえる、腕が両断された為か
粉になって消えていっている
「た、倒したか…よくやった」
防御にいまある全ての魔力を使っていたマジル先生も
今の一瞬で大きなダメージを受けていた
ミシェルもリリルも私に魔力を預けたから限界だった
かくいう私も、魔力がきれて意識が朦朧としてきた
「あぁ─だめ、だ」
ぐるんとして意識が途切れそうになる
先生もみんな、四人とも魔力がきれて落ちてしまう
が、柔らかな風が私達4人を包み落下は防がれた
「ごめんなさい、遠くに飛ばされて…助けが遅れたわ」
「姫…様…」
「メルさん本当に有難う、ジオスを退けてくれて。
今はゆっくりお休みください」
姫様の腕に抱かれながら消えていくジオスの腕を見る
そして私はゆっくりと瞳を閉じた
~
暗闇の遺跡島でシーバと激突したクエルとセリアは
均衡する状況に手をこまねいていた
攻撃すれどすべて防がれ、こちらが徐々に消耗している
「困ったの、やつの魔力は尽きるどころか…
ましておる」
「このままでは埒があきません…クエル!」
2人の猛攻もやはり弾かれるがシーバの動きが止まった
次の瞬間に、シーバから出ていたジオスの腕が消滅
(腕が消えた─っ!姫様たちがやってくれた!)
好機とみた二人は同時に攻撃を仕掛ける
金属の鈍い音が響く
シーバは弾くことはなく2人の攻撃を防いだ
【少しお前たちに気を取られすぎたか、しね】
それは不可避の攻撃に思われる
人体の首を落とす死神の鎌だった
血の気が引いた2人を助けたのは骨兵士だった
いや漆黒の鎧をきた青年の兵士にみえる
鎌を切り落とし、シーバに一撃をいれる
はじめてこの戦いでシーバはあとずさる
「骨兵士…か君は!?かたじけない」
光の剣をシーバに向ける漆黒の鎧の剣士
シーバはこちらを睨み付けている
漆黒の鎧の剣士は有無をいわさずシーバに斬りかかるが
瞬間、すべてが暗闇に包まれ暗闇の世界に戻り
なにも見えなくなった
【貴様らの相手はやめる、他にやることができた】
「なっ!逃げるのか…!シーバ!」
【力なき者に我は破壊できぬ、闇に閉ざされていろ】
「くそ!シーバ…!くそ!」
声は聞こえなくなった
シーバの魔力もこの場から消えた
だが実際、力の差は歴然であったセリアとクエルの
攻撃はほとんどシーバには届かなかった
うちひしがれている所に闇の中から声が聞こえる
「空間が閉じる!セリアとクエル!ソラに戻すぞ!」
「兵士、君は何者なんだ…?」
「俺の名は、ファース・フルボル。詳しくはソラに戻ったら姫様に聞いてくれ」
セリアとクエルは、彼の転移魔法で
暗闇の島から脱出した。そして暗闇の遺跡島は
その姿ごと忽然と、ソラから消えたのだった─
~
あらゆる破壊がおきた死傷者も多数だ
このジオスの腕のグランダム襲来は、またたくまに
ソラ中で噂になり風と共に流れていった
そして私がフォレアがあの一撃で折れてしまったことに
気付いたのは気絶から目が覚めたすぐのことだった
つづく
すごく間を空けちゃって書いてますが
ちゃんとつづけるつもりです!
よろしくおねがいします




