【ep17】暗闇に潜む悪意
私達は帝都魔術研究所から研究成果を盗んだ
人型魔法生物を追って、暗闇の遺跡島へ
空を飛び向かう
私達と共に鳥たちも列をなして飛んでいた
ミシェルが先頭をきるセリアさんのもとへ寄っていく
「ところで、マジル先生とはいい仲なんですか?」
「…違うわ、ただの同期よ」
「へぇ~」
その会話を後ろできいていた
リリルが私にコソコソはなしかけてきた
「ミシェルってもしかしてマジルが趣味なの?」
「あー、うん、そうみたいだよ」
「あれが…うーむ、わからない」
「あはは」
セリアさんが一旦停止して振り返る
私達も続いて止まる
「三人とも、そろそろ暗闇の遺跡島が近い。島は光を拒む、なので目視では見えづらくなる」
「真っ暗ってことか?」
「そうだリリル、だから魔力で形を捉えるんだ」
「ちょっと難しそう…かも」
この世界のもの、人、生物すべて、大小あれど
全て異なる魔力をまとっている
魔力を個々で探知することもできなくはない
形とまでなると創造力が試される
「メルには前に渡したが蝶のベルを持ってくれ
離れたら、それで場所を特定して助けにいく」
セリアさんはベルを二人に手渡し前方を指差す
前方にはもう大きな暗闇があった
魔力探知に集中し、暗闇の中へと入っていく
「全員、魔力感知でちゃんと周囲はみえるか?」
「はい、なんとか」
「ばりばり感知でみえてるよー!」
「むむむ…みんなは判るけど他がぼんやり…」
闇の中では魔力が光って見える。
形が明確なのは私以外の三人、完璧に判るのはミシェル
「メル、ならミシェルを指針についてきなさい」
「判りました、宜しくねミシェル」
「見失わないでよ」
「うん」
暗闇の中でも判る、この島は密林のように
なっているようだ。あちらこちらから
怪鳥の声や動物たちのうなり声がきこえる
前方に滝があるのか、水が落下するような音も聞こえる
その中に時々人工物があるように感じる
「遺跡がある?」
「感知では文字までは、見えないが…そうだ」
「だから解明しきれないわけですか」
「数十年はかけて検証しているが光は全部飲まれてしまうからな、謎が多いんだこの浮島は、故に」
「ボギーの格好の隠れ家…」
「そういうことだメル」
周囲を探索していると
全員のベルが大きめに鳴った、リリルが鳴らしたようだ
皆で彼女の近くによる
「あいつらだろ…?ボギーって」
「リリル、よく見つけた。全部で三体か…」
「中に何体いるかは感知できないです」
人骨型のボギーが、洞窟の前で武装して見張りを
おこなっているようだった
あの洞窟の中に研究成果があるのかもしれない
「私が先陣をきってやつらを撹乱する、できる限り倒していくが中の数は相当いる、こぼれてしまったら対処を頼む」
「わかりました!」
「よし、ではいくぞ!」
セリアさんが先陣をきり、大きな槍を召喚した
入り口のボギーたちもそれに気付くが
一瞬のうちに、セリアさんの攻撃を受けて
骨たちは軽快な音を立てバラバラになっていった
「全員!中へいくぞ!」
洞窟の中に入ると、岩を削り作り上げた砦のようになっている空間になっていた。骨型魔人たちの住処だ。
悪意に満ちたものだ
「ぐぎゃぎゃ!侵入者だ!殺せ!」
ボギー達が次々に襲いかかってくる
剣をもったもの弓を放つもの、松明をなげつけるもの
だがそれらが私たちに降り注ぐより前に
ほうきから降りて足場を利用し、素早く駆け巡るセリアさん、マントが靡く瞬間には各地に配置された
ボギーが次々にうち滅ばされていく
それは雷を纏うほどの速さだった
「すごいわ…さすが特級魔術師…」
「これアタシたちがでる幕ある?」
「うーんとにかく!私達は、バラバラになった骨をぶち壊そう!てやっ!えいっ!」
降り注ぐ骨の雨を次々に打ち砕く
暗闇の中でもはっきりみえる雷線が
あちらこちらで光る、もはや目でおえない
ドンっーーーツ
轟音がきこえ、振動で土煙が降りてきた
そこにいたのはボロボロの赤いマントを羽織る
巨大な骸骨のボギーだった、セリアさんの前に
たちはだかり槍を受け止めたようだ
「ギギャ……あつまれ」
巨大骸骨のボギーがそういうと骨たちが彼の腕に集まり大きな剣の形をなしたのが、わかった
魔力で感知するだけでそれの威力は山をも砕くほど、空気がビリビリするのを感じた
突き刺した槍をすぐに解除して私達の元まで戻り
セリアさんが岩壁の防御魔法を展開した
「全員!勢いはころすからうまくよけなさい!」
直後に轟音と振動が伝わってきた
強度もました巨大な骨の塊が、降りかかってくる
みんな急なことでバラバラに避けようとした
岩壁のおかげで直撃は避けたが
衝撃だけでそこにあった地面が割れ足元がぐらつく
「あっ…!」
「…!メル!こっちに!」
ミシェルが伸ばしてくれた手を取ろうとしたが
2撃目の衝撃がまたきた。それもセリアさんは防御魔法を重ねがけして勢いは殺してくれたが
完全に私の足元の地面は崩れ落下してしまった
「メルーーっ!!」
敵と対峙するセリアさんたちを置いて
私は暗闇の底無しの奥へと落ちていった─
~
相変わらず真っ暗だ、目ではものを見ることはしづらい
少しの間、気絶してたかも
起き上がり集中して魔力でものをみる
ゴツゴツした感触が足元にある
「っ…全部、骨っ」
骨が山積みになっている所に落ちてしまったようだ
どうやらここの骨は動かないらしい
ここから出るため、天井をみるが
瓦礫がひっかかり塞がってしまったようだ
(うーん、なにもみえない~!)
そういえばここ最近で1人になるのはひさしぶりだ
今はフォレアも研究所に預けている
なんだか少し不安になってきた、足もなんか痛いし…
真っ暗だし…ちょっと泣きそう…
少しして蝶のベルを鳴らし
ひとまず、自分が無事であることを伝える
今はセリアさん達はこれないだろうが…
「こんなところでどうした?」
「あの、仲間とはぐれちゃっ──ひぅあっ!?」
ベルの音にあわせて突然肩をたたかれびくっとする
話しかけれたと思われる方へ振り返っても
本当になにも見えない、魔力すらもない!
いくら私の魔力感知が
いまいちにしたってそれは異様なことだった
「だだだだれ!?というか何です!?」
「へぇ、俺の声が届くなんて珍しいぜ」
「声は聞こえるけどあなた、姿がないの!?」
「姿が見えないのか、んー、ちょっとまて」
辺り一面が急に光を産み出した
全ての光を吸収するはずの暗闇が照らされて
あまりにも目映い
部屋は墓場のようだった、多くの墓石が立ち並んでいる
それに所々に壁画が描かれている
そして数多の屍の上に多くの廃れた武器まである
「てっ…ほ、骨ぇ!!!?」
彼の姿は漆黒の鎧をきた骨の兵士だった
闇を纏うような彼の手には光り輝く剣がある
この剣が暗闇島の闇すらも照らしている
なのにいまだに魔力を感じない
モノとしても生命としても存在していないの?
「まぁ骨ですな、なにせもう死んでるから」
「むむ…あなた一体なにものなの?」
「俺は─」
骨の兵士は、突然剣を私に向けて攻撃してくる
咄嗟に腕を構え防御したが
その剣は私を切り裂くことはなく通り抜けていった
私のものではない短い悲鳴が背後から聞こえた
それは上でみた骨のボギーだった
「わっわっわっ!?」
「お話はまた今度だなぁ~」
その辺りにあった骨たちが次々に動き出す
さっきと同じように巨体のボギーまでいる
「ここは任せな!久々に暴れるか!」
「なんか、分かんないけどお願いします!」
光輝く剣の輝きは更に増し、漆黒の骨の兵士は
ボギーの群れの中へ飛び込んだ
~
「はぁはぁ、なんとか…倒しましたね…」
「ぐーつかれた~!」
「どれもなにも持ってないな…」
ボギーの群れを倒し終えた私達は
セリアさん以外は息をきらしていた
周辺をみたようだが盗られた研究結果はない
既にもっと別の場所へいってしまったのか
メルが落ちた穴に私は急いで向かう
魔力探知しても見えない
遠すぎるか、もしくは…なんて考えがよぎる
少しだけ血の気が引く
「…ミシェル、大丈夫よ。蝶のベルが鳴っているわ」
「あっ…あーよかった…」
距離も関係なく位置を知らせることができる魔道具である蝶のベルの音が小さく聞こえる
音の強さで遠さがわかる。遠ければ遠いほど小さい
「だいぶ遠い…」
「とにかく下へ行こうよ!メルちゃんが心配だ!」
「あぁ、急ごう」
セリアさんと共に暗闇のさらに奥へと進む
深い穴はどこまでも続いているようだった─
つづく
読んでいただきありがとうございます!
次回も楽しんでかきます!




