【ep14】雲を泳ぐ巨影
帝国に行くため、空魚の空域を通る。
ラビスカでひょんなことで入手できた先導船を
私達の島につけ、今日からは空魚の住処の雨雲へと
「ふぁぁ…~よく寝た」
天から降り注ぐ朝の光で目覚め、あくびをあげて
共有スペースの居間へと向かう
空魚の焼けるいい匂いと煙が居間中に漂う
今日の朝ごはんをミシェルが作ってくれていた
「おはようメル、朝はソラウオのグリルよ」
「おいしそ~!いただきまーす!」
奥で扉があく音がするリリルも起きてきた
すごい寝癖、それに服もちょっとずりおちてる
ここ数日一緒にいるから見慣れたが、リリルが
いうにはイビルーズは朝に弱いらしい
「ごはん……たべるよ~…」
「リリル、目を覚まして。食べたら出発するから」
「今日中に到着しようね!」
ごとん─っ
三人で団欒を囲む中、なにか物音がした
ふりかえってみるがなにか分からず特になにもなかった
「なにか今、音がしたけど…?」
「空魚でもぶつかったんじゃないかしら?」
「よく動くからなぁ~空魚、活きがいいな」
とりあえず気にするのをやめて、食事を満喫した
たべ終えて準備に取りかかる
雨に備えてレインウェアを服の上から着る
雨雲は変わりやすいので
魔法で自動で経路を選ぶのはできない
そのかわり、先導船で浮島を手動で動かす
調節は楽になっているようだ
みんなで先導船の動力部にのりこむ
「舵は私が取るから、メルとリリルは周囲の監視と
もしもの戦闘に備えて」
「了解した」
「わかった!フォレア、お願いね!」
「あぁ任せてくれ」
魔法剣を腰のポーチにすえて
私達のブルーム商店はミシェルの先導船の始動の呪文と
同時に雨雲の中へと入っていった
「ものすごい雨、まるで水の中を移動してるみたい!」
「バケツひっくり返して水落としてるみたいだな」
豪雨の中を泳ぐように進んでいく
先導船の機能である程度の水を防ぎながら進めている
周囲を見渡すとたくさんの空魚が雨の中を泳いでいた
「わぁ綺麗かも~」
呆けていると角をもつ大きめの空魚が
その巨大な瞳でこちらを睨んできていた
間髪いれず、島目掛けて突進してきた!
「うお早速か!防岩壁インクルーズ!」
リリルが唱えて岩壁に角もちの空魚が突き刺さり
島への損害を防いだのも束の間
同種族の空魚が集まってくる、五匹ぐらい群れだ
それらが一気に島へ突撃してきた
「一気にきた~!?フォレア!!」
「あぁ─円転斬剣!」
円形に空間を斬る闇の竜巻が発生して
襲ってきた群れを切り刻んだ
ボトボトと空魚の頭だけがおちてくる
「ひぎゃっ!!!」
「ん!?」
私達以外の悲鳴が後ろの方から聞こえた
振りかえったら空魚の頭の前に腰を抜かした少女がいた
「あっ!!マリンちゃん!?なんでここに!?」
「しまったばれた!!くっ!」
「待て!」
リリルがすぐさまマリンちゃんを捕らえる
背丈に差があるので、バタバタと抵抗していた
「メルー、リリルー、暫くは舵取り良さそうだから私も
周囲警戒するわ…って、なに?この状況」
「こいつ、勝手についてきたみたいだ」
「はなせー!くそー!」
マリンちゃんをみて、ミシェルは頭を押さえながら
ため息をついたとてもとても長いものだった
~
雨雲も落ち着いている場所で一時的に停船した
周囲を飛ぶ空魚も温和そうなものしかいない
しかしブルーム商店内はピリピリしてる
「マリン、貴方なぜ着いてきたの!?」
「アタイも帝国に行きたくて…」
「じゃあいいんじゃない?」
「よくなーい!!この子は人間で!魔法使えないし!
守りながらなんとかできるか怪しいわよ!
あぁーもー、計画が…狂う~っ!」
かといって引き返すわけにもいかないのは
ミシェルも承知だ、魔法を使えない種族だと
武器をもたない限りは魔法生物に太刀打ちできない
そう!魔法生物用の武器や防具を持たなければ!
「ふふっミシェル!安心して!私は魔法商店屋だよ!」
安心できないとあからさまな顔でこちらを見るので
しどろもどろしながら、積んできた荷物をあける
人間でも扱える魔道具を実は開発していた
「新開発の火蛇の岩石盾!と燃える羽根ナイフ!」
「おーっもしかして火蛇島でとった素材からか」
「そーっ!重い盾も羽根の効果で軽くなるんだよね
相乗効果で戦いやすいよ!」
マリンちゃんにさっそく盾を持ってもらう
もってるものをすべて軽くするので
羽根ナイフも子供の体格でも凄く早く振り回せる
そこに追尾の魔法を少し入れ込むことで
ある程度自動で動いて狙ってくれる
素人でも扱えるものにした一式装備だ
「ふーむ、メルにしては…まともな開発ね」
「今回は売れそうでしょ~」
「うん、これならアタイでも大丈夫そうだよ!」
「ある程度は勿論私たちがカバーする、付いてきちゃったのはもう仕方ないけどほんと帝国までだからね」
「わ、わかった!」
そういってミシェルは先導船にみんな乗り込むように
指示した先導船内にミシェルとマリンちゃん
外部は私とリリルで固めた
「予定は狂ったけどやることは一緒よ、頼むわね皆」
「りょーかい!」
もう一度雨雲の中へ、雨雲もとぎれとぎれではあるが
次の休憩ポイントまではさっきより長い
突入と同時に大量の雨が滝、いや水の塊として降る
小さい魚の群れが衝突しそうになる
私もリリルも次々と群れを落としていく
「大きいのはアタシ達でやるからさばききれなかったのはマリン頼むぞ!」
「わかった!ってさっそくきてる!えいやっ!」
燃える羽根ナイフで見事に魚を燃やし斬る
はじめての戦績に少しマリンちゃんは喜んでいた
「どんどんくるよ~!」
「次から次にくると魔力も創造力もきれるかも…っ!」
が、次のを倒そうとした瞬間、群れを成して襲ってきた小空魚達が一斉に身を引いて集まりはじめた
群れを成して合体していく、それは巨大な魚影になった
「えっ!?大きすぎるよ!?」
「このままじゃあれに島ごと食べられるんじゃないか?」
さっきまで降っていた雨が、その巨大魚の下に
入ったので影になり止むほどの大きさだ
それが島めがけて、襲いかかってきた
「ミシェルー!全速力で逃げてーっ!」
「いま……やってる!!」
スピードをあげてかろうじてよける
物凄い振動が舟と島を襲う、私たちもしがみつき振り落とされないようにする
「わぁ~!ゆれっるー!」
「おい、あいつ諦めてないぞ!さっきと形が違う!」
「あっあれ!ラビスカじゃ噂程度できいてたけど…色々形を変えるこの空魚の住処の主だ…!空魚群体雨のマンタレイって呼ばれてた!」
マンタレイは小空魚で群を成し細めで横に伸びる形で
逃げるこちらを追いかけてきている
かなりの速度を出しているが、マンタレイも追ってくる
「ミシェル!振りきれるかな!?」
「メル、なんとか足止めして!その間に方向変えるわ」
私は舟の後方にいき、フォレアを構える
しかしまだ距離が足りない、どうするか一瞬迷ったら
突然髪を高速でなにかがかすめた
「へっ!?」
マンタレイが放つ水鉄砲レーザーだった
それが連続で放たれてきた。
身体を貫かれるとおもったが
マリンちゃんがさっきの盾で守ってくれた
「おねえさん大丈夫!?」
「あっありがとう!」
「またきた!水鉄砲はあたいがうけるよ!」
距離が足りないならフォレアと私の腕を魔法の鎖で繋いで距離を稼いで振り抜く作戦を思い付いた
ミシェルほどうまくいかないがチェーンを創造し繋いだ
その間も、水鉄砲は雨あられのように撃たれてくる
「うぐっこの盾もちょっと限界になりそう…!」
「マリン、その盾をもっと硬いイメージで固める!」
リリルが盾に創造を加え鋼の盾にかえた
防御力があがり、衝撃も減少した
「2人とも有難う!いくよ!フォレア!」
「御意─っ!」
チェーンに繋いだフォレアを振り投げる
上から下で弧を描く形で
フォレアの回りに闇の力が充満する
「─斬月空っ!!」
その一撃でマンタレイは半分に割れて、融合がとけた
その隙をみて、ミシェルは航路を変え
雨雲が薄い地帯を目指した
大きな水飛沫を伴い安全地帯に抜け出せた
~
「はぁ~空魚の住処恐るべきねぇ」
「死ぬかと思ったよ~」
安全地帯に抜け出した
しかし島も私たちも物凄い水浸しだ
ここまでくれば、帝国は近い
「メルちゃん見てよあれ」
「わぁ!虹!それに遠くに見えるのは」
「グランダム帝国ね、先導船借りてよかったわほんとに早く着いた」
「やったー!」
目をキラキラさせて四人を乗せたブルーム島は
雨雲の上をゆっくり進む
私は皆をみて、私もだがびっちょびっちょなのに気付く
「とりあえず、お風呂はいって着替えない?」
「あはは、確かにびちょびちょだしなぁ」
「マリンの服は適当に見繕ってあげるわ」
「色々ほんと、ありがとう…ございます…」
急にしおらしくなったマリンちゃんをみて
ミシェルは笑いだした、つられて私たちも笑う
マリンちゃんはどこか照れ臭そうだった
雲の上のいくつもの虹の輪を通り
私達はグランダム帝国にむけて、進む─
つづく
読んで頂き有難うございます!
雲をぬけて帝国に無事到着しました、よかったよかった。
ソラの冒険はまだまだつづきます!
次回も宜しくお願いします!




