2.そんなシステム、修正してやる!!
はい、どうも。テルーです。
前回は「特定個人しか使えないスキルがあるのはクソゲー」という話をしました。
早速続きに参りましょう。
昨今のゲームでは、バランス調整が当たり前に行われます。
ハチャメチャ調整の代名詞と悪名高いエクバシリーズでも、二~三カ月に一回くらいの頻度でバランス調整が入ってるんです。何なら二週間ほどで緊急修正も入ります。
調整ミス・不具合によるバランスブレイカーってのは出てきます。でも、それは修正されるんですよ。
主人公が偶発的にそういった強い要素を最初に発見し、無双を始めたとしましょう。そんな「このスキルTUEEEE!!!」ってのが無双したら、速攻で修正喰らうに決まってるでしょ。
まともに脳みそのある人はもう分かるね?
これはVRでも現状のゲームでも一緒です。修正されなかったらクソゲーなんですよね。
システム面で特定個人に加護が付いてて、勝てないようになってるゲームの何が面白いんだい?
ストリートファイターで、ガイルのサマーだけEX以外も完全無敵&ガードさせて有利だったら流石に非難轟轟です。誰も買いません。
概ねどんなゲームでも「一強・一択」は嫌われがちです。そのスキル一強、そのキャラ一択という環境はすぐに飽きてしまう。飽きられたゲームは過疎っていき、収入も落ち込む。当然損をするのは運営・開発側です。運営は損をしないため、ユーザーを長くゲームに繋ぎとめるためにバランス調整に力を入れるわけです。
そうした姿勢がゲームの面白さ・ユーザーからの信用に繋がり、ゲームは長く続いていくわけですね。聞いてるかSEGAよ。
以上のことから「主人公が自分だけのビルドで無双」は絶対長続きしません。もしあるとしたら「過疎に過疎を重ねた超絶クソゲー」だけですね。そんなゲームに、無双になるほど人口は残りません。主人公しかやらねーよそんなゲーム。そんなに強いビルドはまともな運営ならすぐに修正しますから。
100歩譲って修正されなかったとしても、後追いで主人公と同じビルドにするプレイヤーが短期間に続出しないとおかしい。
え、そのビルドが主人公限定? だとしたら主人公以外のプレイヤーはゲームから離れていくでしょう。これで大人気だとか抜かすから「主人公以外が頭悪すぎる」「幼稚園児に混ざってイキってる中学生」とか言われる作品になっちゃう。
一般人の主人公だけがやってる・できることなんて、まともなゲームなら冗談抜きに存在しないと言って良いです。○○極振りビルドなんて稼働一週間くらいで全パターン網羅されてても何ら驚きません。変な人っていますから。
で、こういうバランス調整がないのもデスゲームなら別に良いんですよ。
そもそもSAOは「ゲームであっても遊びではない」ので、遊びとして楽しく・面白くするためのバランス調整なんて必要ない。SAOで生きていくためにPvPや高難度クエストをこなす必要があるかと聞かれたら、ないんですよ。一生初期装備、レベル1のままでも生きていくだけなら可能です。
プレイヤーをゲームで暮らさせることがSAOの目的ですから、言っちゃなんですが面白さも、それに伴う儲けもゼロで良いわけです。だからバランス調整も要らないと。
SAOの作者さんは、この辺のバランス感覚をしっかり分かってALO編を書いてたのではないかと感じています。
何故こう感じたかというと、ALOにSAO要素が実装された際、ユニークスキルの類がすべて削除されていたからなんですね。これは移植に当たって、一種のバランス調整と考えて良いでしょう。
ALOは色々ありましたが、商業用にリリースされたタイトルです。SAO同様のユニークスキルなんてあったら、前回の理由で大荒れ待ったなし。二刀流スキルが消えたのは妥当も妥当です。キリト自身もそういった旨の発言をしていたような気がします。
しかしそこで終わらずに「ALOでの二刀流」が登場したのは純粋にワクワクする展開でした。
オリジナルソードスキルも、体が動きさえすれば誰でも好きなソードスキルを使える、開発者の同意があれば伝授も可能なシステムになっていました。こうやって丸めるべき所を丸めることでALOを「やってみたくなるゲーム」に見せていると感じます。
正直VRMMOモノには「ゲームバランスやら運営がクソすぎて話にならねえな」って印象を持つことも多いんですが、そういう作品とSAOで一番違うのが、こういうところの気遣いだと思うんです。
デスゲームだからガバでも良い部分。デスゲームじゃなくなったから引き締めなきゃダメな部分。SAOはこういうところの線引きが上手かった。だから私でも楽しめたのではないかと思います。
まとめると、
・特定個人しか恩恵を受けないシステムはクソゲー要素
・そういったシステムが修正されないゲームはクソゲー
・主人公のビルドを真似するプレイヤーが出てこない=人口少ない過疎ゲー
ということです。
デスゲーム要素がなくとも、VRMMOを舞台にする時にはこうしたバランス感覚を持った方が幅広く受ける作品になる気がします。少なくともそういう作品なら私でも楽しめる、とSAOは教えてくれました。
──完──