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茶うさぎから白うさぎへの手紙 2023  作者: メラニー
1月
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6 編み物

 こんにちは。


 相変わらず、編み物ばかりしています。肩はガチで、ガッチガチのガチです。

 編み物って結局のところ、編み切って見ないと正しい仕上がりサイズが分からないものでして。特に柔らかい毛糸や、ファー系の毛糸を太い編み棒で編んだ時は特にそう。

 長くなればなるほど自重でサイズ感が変わって来るんです。伸ばしていないのに伸びるというか。だから今回、一番最初に作った物は結局サイズが大きすぎまして。……今日解いてしまった。130目×90段ほどです。前面に色んな模様編み。そりゃもうね……脱力ですよ。それでも自分のものならそのまま使うかもしれないけれど、売り物ですからね。良いものに仕上げないと。編んでいるうちに、手も慣れてきたり、最初は気が付いていなかった間違いやコツなんかも分かって来るから、結局は二回目以降が本番なのです。編み目の大きさも安定するし。(と自分に言い聞かす)


 一つ目を仕上げて、そこから必要な目の数を割り出して、もう一度編み図を組み立て直して紙に書きだす。一作目はまた確認することが有るかもしれないから、そのままで違う糸で編みだします。二作目の糸は細い糸なので、二本取りで。編み物って糸の太さと編み棒のサイズの組み合わせでサイズがガラリと変わってしまうのです。だから同じ編み図で編みたい時は、同じ太さにしないといけない。

 編み始めたのですが、二本取りでも糸が細くてサイズが統一できない。触ってみても見た感じでも十分な太さだと思っていたのに、編んでみないと分からないものです。なのでかなり編んだのですが、また解いて三本取りにして編み直し。その二作目が昨日、思ったサイズのスヌードが仕上がったので、一作目を解いたのです。

 解くのもサーーーってかんたんだと思うでしょ……?きちんとした仕上がりを作って試着してみないと分からないから、最後の糸も針で閉じているし、ファーの糸を編んでいるので、そうそう簡単なは行かないのです。しかも、少しでも糸を無駄にしたくないので。


 編み物をしていると、こういう時もそうだし編んでいる最中もなのですが、何でこうなった?とか、模様編みをするのに固くて編みにく過ぎたり、編み目を数えていないと分からない場面で話しかけられたり、違う事を考えてしまったり、ずっと前の部分での取り返しのつかない間違いに気が付いたり、一部かぎ針で模様を編むのに編み棒から手を離しているうちに編み棒が抜けたり……

 心の揺れが少なそうに見える編み物ですが、イライラポイントなんていっぱいありまして。そういうイライラポイントにぶち当たった時、自分の機嫌は自分でとらないと先に進めないのです。

 どんなに上手く行かなくても、工夫して正しく編むしか進む道はない。イライラして放りだしても、編み棒が抜けたり糸が絡まったりするだけ。というかただ仕上がらないだけの話。

 誰にも「やっといて!」とか言えないし、誰のせいでもないし、そして自分のせいじゃ無い事もある。模様編みは正しく編んでも編みにくい箇所はあるんです。結局、自分の機嫌をコントロールする事の大切さと向き合いながら静かに、心を揺らしている素振りも無く編み続ける。

 外国のお話に出てくるイメージの、暖炉の近くでロッキングチェアに座って家族のセーターを編んでいるようなお婆ちゃんも山あり谷ありで、色んな自分の機嫌を自分でとる場面を乗り越えて、穏やかなヴィジュアルなのかもしれない。そして心を揺らさず波を立てず、平常心で編むことが網目を均一に仕上げる極意でもある。


 何気に瞑想や修行のような一面があるのが編み物。時間と手をかけて編んでも解くのは編んだ時間に比べたら一瞬です。布と違ってほぼ捨てること頃が無く生まれ変わりますから、SDGsなんですけどね。無常と言うか儚いと言うか……


 編み物は、自分の機嫌を取ることが苦手な方にオススメの修行です。


 

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