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思わぬ障害出現

 ゲートやダンジョンでドロップする魔道具は、ものによっては億を超える値がつけられる。

 今回ドロップした風壁のリングは、近接系ハンターなら喉から手が出るほど欲しい逸品だ。

 オークションに出せば、とてつもない値段が付くに違いない。


(売れば、いい装備が一式揃えられる……!)


 皮算用ですら目がくらむ。

 前回の明日斗では、一生かかっても手に入らないほどのお金が手に入る。

 しかし、これほどいいアイテムが再び入手するチャンスはそうそうないだろう。


(今のところ、矢を放つ魔物は現われないけど、そのうち戦うかもしれないしな)


 今後パーティを組むとは限らない。

 ならばソロでの戦闘力を高めていくべきだ。


 インベントリから指輪を取り出し、はめる。

 リングに、僅かに力が吸い取られる感覚があった。


「なるほど、これが魔力か」


 魔術が使えない明日斗は、この時初めて魔力を使う感覚を知った。


 魔力のステータスが1以上あれば、近接系ハンターでも魔道具が使用出来るのだ。


 現在抜かれた魔力から逆算すると、風壁の発動はおおよそ5回が限界といったところだとわかった。


「もう少し使えるようになったほうがいいな」


 アサシンに魔力は不要だ。

 そのため、いままで一切振ってこなかった。

 だがこれから魔道具を使うのなら、少しは振った方が良いだろう。


「まあ、おいおい考えるか。――さて、帰るか」


 神咲の母親の命が心配だ。

 手に入れた神樹の朝露を渡すべく、明日斗は出口に向かって歩き出した。



○名前:結希 明日斗(23)

 レベル:40→43 天性:アサシン

 ランク:D→C SP:0→15

 所持G:15→578

○身体能力

 筋力:60→65 体力:45→50 魔力:4→9

 精神:4→9 敏捷:100→105 感覚:50→55

○スキル

 ・中級短剣術Lv3(1%→6%)

 ・致命の一撃Lv2(21%→64%)

 ・回避Lv5(9%→13%)

 ・跳躍Lv4(86%→94%)

 ・記憶再生Lv3(63%→70%)

 ・可死の魔眼Lv2(50%→78%)

 ・リターンLv2(0%)



          ○



 ゲートの出口に近づいた時、入り口から何者かの気配を感じ腰を落とした。


「なんだ?」


 オークはあらかた倒したし、ダンジョンとは違い魔物がリポップすることもない。

 では一体……。

 明日斗がじっと身構える中、向こうから複数の人間が現われた。


「どういうことだ……?」


 現在このゲートの権利を持っているのは明日斗だけだ。

 権利者か、権利者が許可した者以外はゲートに入ってはいけない。

 そう、法律で決められてる。


 にも拘わらず、ゲートに人が侵入したことに、明日斗は頭が真っ白になる。


「な、お前はッ!!」


 ハンターとおぼしき集団がぞろぞろと明日斗の前に現われた。

 先頭に立っているのは、新宿御苑ダンジョンで出くわした、ハウンドドッグの男だ。

 横には、顔が腫れて原型がわからなくなったハンターが二人いる。


(あれは、俺に絡んできた奴か?)


 Eランクゲートが終わった直後、明日斗に絡んで殴り飛ばされたハンターだ。


「新城さん、アイツです!」

「あいつが俺たちを攻撃してきたんです!!」

「……結希明日斗。お前がそうだったのか」


 新城と呼ばれた男が明日斗に睨みをきかせた。

 どうやら新城は、明日斗が殴った二人から報復の要請を受けてここにやってきたようだ。


(報復か。ずいぶんと動きが速いな)


 凄腕の情報屋でも手駒にいるのか。

 考えていると、後ろの集団から一人の男が現われた。


「よう、うちの下っ端をやりやがったのはテメェか?」


 大勢が武具を身につけている中、現われた男は一人だけスーツを身に纏っていた。


 男の髪は短く、薄緑色に染められており、サイドに稲妻のような模様のそり込みが入っている。

 かなり特徴的な頭をしているが、顔に覚えはない。


「誰だ? ここは俺のゲートだ。何故入ってきた」

「おいおい、人の質問には答えろよ」


 男が睨みをきかした。

 それだけで、周囲の温度が僅かに低下したように錯覚する。


(……強いな)


 明日斗は相手の気配から、その強さを悟った。


「金満さん、あいつ、新宿御苑Dの侵入者です」

「へぇ、同一人物なのか。珍しい偶然もあるもんだな……」


 男が明日斗を見定めるように目を細めた。

 次の瞬間だった。

 突如殺気が膨れ上がった。


「――このハウンドドッグの面汚しがッ!!」


 ――ドッ!!


 爆音、地響き、巻き上がる土煙。


 パーティリーダーがゲートの壁に激突した。

 スーツの男――金満が、刹那の間に殴り飛ばしたのだ。


 その速度、威力、ともにオーク以上だ。

 相手が率いる仲間から、恐怖のうめきが小さく聞こえた。


「テメェが見逃す程の奴だ。どれほど強い相手かと思ってたが、まさかこんな雑魚にびびるたぁ、どんだけ腑抜けてやがんだ!!」

「す……すみ、ません……」

「新城、テメェ帰ったら鍛え直してやるよ」

「そ、それだけはどうか勘弁を――」

「それとも今すぐ殺すか?」

「ッ――!!」


 壁にめり込んだ男――新城の顔が真っ青になり、ガタガタと震えだした。

 その怯えようは、過去金満に何度か鍛え直された経験があるようだ。


 新城はDランクダンジョンの攻略を行うくらい、強いハンターだ。


(それをこうも怯えさせるとは……)


 それだけ、両者には絶望的な力の差があるのだろう。

 新城を怯えさせる金満が、ただのメンバーなはずがない。ハウンドドッグの幹部クラスと見て間違いない。


「さて、結希明日斗。テメェはうちの下っ端をぶっ飛ばし、さらにうちのシマにも侵入したんだってな。この落とし前、どうつけてやろうか……」

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