〜第3話〜 とあるメイドの精神疾患
「「「おぉー!!」」」
お屋敷の中に入ると地面には赤色の長い絨毯が引かれている。
「中はもっとすげぇ...」
姉がそう呟くが自分もそう思う。
上にはシャンデリアらしきものが、目の前にある階段の両脇には銅像があり、壁は白で統一されている。
「あっ、お祖父様、お帰りなさいませ」
そんな青少年の声が聞こえる。
声からして大体中学二年生ぐらいの歳だろうか?
「ほっほっ、ただ今帰ったぞ?」
その言葉を言うと同時にミーシェ、僕、サージュ、の順番に並んでいたので、ミーシェの左肩とサージュの右肩をポンポンと叩く。
「って事はその子たち3人が...!」
前にいる青少年が目を輝かせる。
「そうじゃよ、あっ、こいつは、オブァミル・バルチヌス、まぁ、オブァ様かオブァくんとでも呼んであげなさい」
そう前にいる青少年の名前を説明された。
「成る程、よろしく!オブァくん!」
「よろしく、オブァー!」
ミーシェがくん付けで呼んだ後にサージュが呼び捨てで呼ぶ。
もちろん僕は立場をわきまえ、様付けで呼ぶ。
「これからも何卒宜しくお願い致します、オブァミル様」
そう言うと、オブァミル様がクスッと笑う。
「あはは!本当にお祖父様に聞いた通りの性格だね!」
そう笑うと、ミーシェがフン!と怒り、オブァミル様とおにごっこを始める。
「お、お姉ちゃん!!立場をわきまえて!!」
大声で叫ぶも、
「まぁまぁ、楽しんでるんだし良いじゃん?」
ミーシェにはそんな適当に返され、
「そ、と言うより貴族様の家で大声を出す方も悪い」
サージュからは逆に痛いところを突かれた。
「ぐぅ...」
そうしてぼーっとしているといつの間にかサージュまでおにごっこに参加している。
しかし、ここで疑問を覚える。
「オールドンファー様、何故ここには女性がいないのですか?」
そう聞くとオールドンファー様は目を瞑り、口を開く。
「実は、今代のバルチヌス家の当主...わしの息子はどうやら男色家らしいと言う噂が立っておって...本人からはそんな事は一言も告げられなかったのだがのぉ」
その言葉を聞いてなんとなく何故かを察する。
「要するに、もし本当に男色家であったらを危惧して男性ばかりを雇っていると言うわけですね」
そう聞くと、オールドンファー様は頷き、はっ、と何かを思い出した表情になり付いて来いと言われ付いて行く。
付いて行くと、途中で階段を登り二階へ行く、そこからまた階段を登り三階へ、また階段を上がり四階へ行く、四階へ着くとまた長い廊下を歩き始め、一番奥の部屋の近くの部屋に入る。
その部屋は学校の教室並みの広さがある部屋だったが、そこにはベットと洋服入れと道具入れしか置かれておらずガランとした雰囲気の部屋だった。
「ここは?」
そうオールドンファー様に質問をする。
すると、
「ここはお主の部屋だ、好きに使うと良い、もし追加で家具を置きたい場合はわしに相談しろ」
そう言って部屋から出て言ってしまった。
少しボーッとした後に、メイドなら掃除をしなくては!と言う衝動に駆られ、掃除用具でも入っていないかとロッカーを開けてみると、予想通り箒とが入っており、洋服入れにはメイド服が入っていた。
「...着るか」
正直メイド服は5歳の内に何度も着せられもう慣れているのだ。
と、言うよりも、常時メイド服でいなければ心が落ち着かないぐらいに洗脳されてしまっている。
「フッフフーン♪」
鼻歌を歌いながら箒をかける。
そして箒をかけたところに水魔法で擬似雑巾掛けをする。
色々な汚れがたまっていそうな絨毯に水魔法を使ってビショビョに濡らし、汚れと一緒に水を浮かせる。
その繰り返しで物凄い速度で廊下が綺麗になって行く。
普段は届かない天井近くのステンドグラスも、水魔法のウォーターボールで濡らして汚れと一緒に強制的に浮かす。
「良し!四階掃除完了!!」
箒を立ててそうガッツポーズしていると、執事の人が近づいてくる。
「あー、掃除か...って!何だこれ!?めっちゃ綺麗!!」
黒髪の高校生ぐらいの執事の様だ。
「四階のお掃除完了しました!」
そう敬礼のポーズを取りランランと下の階に降りる階段へ向かう。
「ちょ、ちょっと君!もしかして今日来ると噂のメイド三姉妹の子かい?」
そう青年が質問をして来るのでここは元気よく返す。
「はい!グリムノール家の次女、アーフェライド・グリムノールです!」
そう言って下の階に向かう。
アーフェ「ご奉仕は麻薬です!!」
メイド三姉妹の母「私が育てました!!」
「お、おぉ...ものすごく綺麗になっておるのぉ」
今ちょうど二階のお掃除が終わった所にオールドンファー様が来る。
「えぇ!部屋に入ってから直ぐに四階から掃除を始めただ今二階の掃除が終わった所です!!」
そう、ニコニコしながら実際雇い主である、オールドンファー様に褒めてもらうために目の前に向かって上目遣いでキラキラとした目で見つめる。
「..........」
オールドンファー様は無言で私を撫でてくれる。
ふわぁぁぁ...
何か...身体中が蕩けそうな、
そのままボーッとしているとオールドンファー様が離れて行く。
「あぁ...」
そう残念な気持ちになり、ショボンとしながら自分の部屋に戻る。
ガチャ、
自分の部屋に入ると、深呼吸をする。
「わ、わた...僕は一体何をしていたのだ」
↑記憶残ってる
頭を抱えてその場で蹲る。
「わ、わたし...僕は何も覚えていない、僕は何も覚えていない...」←バッチリ覚えている
アーフェ「一人称が...私に、奴の教育の所為だ...」
メイド三姉妹の母「私が育てましたぁぁ!!」
あの後はメイド服を脱いで、先程まで着ていた僕のテーマカラーの緑色の服を着てベットに横になる。
「はぁ...今後はもう無いようしなきゃ、迷惑をかける...」
そう呟いて眠ったとさ