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第93話 機嫌の良い御前様

第93話 機嫌の良い御前様


 ベルン男爵邸。


 夜。


 なんということだ。


 屋敷の各所、各々が使用するスペースに、明かりが点いたではないか。


 夜はいままでローソクで足元を照らしながらおっかなびっくり歩いてたのに……。


 でかい魔石が買えてどうのこうのと言っていたが、この屋敷、照明がつくんだな。


 疾風と1/12ガーネットを使って影絵遊びをしてみる。


 ラジオ体操。


 組み体操。


 超人プロレスの必殺技。


 やめよう、塗装が剥げる……。


「カラスマー。お風呂沸かしたから入っていいわよー」


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 ベルン男爵邸。

 スーパー銭湯スペース。


 なんということだ。


 湯船にお湯が張ってある。


 しかも、前回入った水風呂の一番小さな湯船じゃなくて、小さいほうから数えて2番目に大きな湯船にお湯がなみなみと張ってある。


 ちょっと泳げちゃうぞこの湯船。


 今まで水を入れたタライで体を拭く生活だったのに……。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


「カラスマー! 暑かったら言って頂戴!」


 なんということだ。


 屋敷の中を涼しい風が吹いている。


 魔導エアコン?! そんなのまであるんだ。


 屋敷に備え付けられてたけど、屋敷全部に繋がってる大規模なやつだったから魔石がなくて使えなかった?


 いままで暑い日は、1/12ガーネットにうちわをあおがせてしのいでたのに。


 すげー快適これ。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 ベルン男爵邸。


 トイレ。


 なんということだ。


 魔導ウォシュレットが動いてる……。


 それはいい。


 というか水道が通ってたのね、この屋敷。


 井戸から組んできた水をためといて、いちいちタンクに入れなくても済むようになったのか。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


「カラスマー、ご飯にしましょう!」


 ベルン男爵邸。


 その食堂。


 夕食時。


 なんということだ。


 テーブルの上に肉が並んでいる。

 生野菜もある。

 魚の大皿料理も出てきた。というかエビ? ロブスター?


 さらにテーブルの下には真新しいテーブルクロスが敷かれているぞ。


「遅いわよカラスマ、呼んだらすぐに来なさい」

 と、ガーネット。


「お待ちしていました、カラスマ様」

 と、ルナリア。


「ごはん」

 と、ハウ。 


 こいつら、全員、なんか新しいドレスを着ている。


 ルナリアはその上に、相変わらず俺のサマーセーターを着ているが……。

 そのサマーセーターもクリーニングに出したみたいになんか真っ白くなってる。


「では、スープをご用意しますね」

 と、メイド長。

 メイド服が新しいデザインのやつになってる。


 というか、今メイド長が、配膳したスープにも肉が浮いている。


 いままで薄い芋のスープしか食べられなかったのに、なんということだ。

 

 こいつら……。どんだけビッグバトルで、というか俺で稼いだんだろう……。


 スープを配膳しおえたメイド長が、下がって壁際に立つ。

 

「メイド長もそこに立ってないで、一緒に食べましょう!」

 と、ガーネット。なんか今日一日妙にハイテンションなんだよなこいつ。なんかいいことでもあったのか? まあ金回りが良くなれば誰だって機嫌も良くなるか。


「は、はぁしかし……、私には職務がありますので」

 と、メイド長。


「メイド長、私からもお願いします」

 と、ルナリア。


「ごはん」

 と、ハウ。


「そうだよ、それがいいと思う」

 と、俺。


「そうですか……では」


『いただきます』


 その晩。俺たちは揃って食事を取った。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 カラスマの部屋。


 というか俺の部屋。


 なんということだ。


 ベッドに、ふかふかの敷布団と掛け布団がしいてある。


 いままでベッドの板に直接薄いシーツをしいて、それに丸まって寝ていたのに。


 なんということだ。


 とりあえず、疾風と1/12ガーネットを布団の上に飛ばして、ぽふぽふぴょんぴょんトランポリンさせてみる。


 ぽぷぽふぴょんぴょん。


 ぽふぽふぴょんぴょん。


 ああ。


 なんて快適なんだろう。 


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 ベルン男爵邸。


 ガーネットの執務室。


「御前様」


「なぁにメイド長?」


「何か、良い事でもあったのですか?」


「えっ!?」


「ずっと頬が緩みっぱなしですよ?」


「そ、そう?」


「ええ」


「そんなの、……カラスマが稼いできたからに決まってるじゃない。あいつに稼がせれば我が屋敷の財政難も一気に解決するし、こんなに頬が緩むことも無いんじゃない?」


 カラスマの優勝に賭けたおかげで、火の車だった屋敷の台所事情は劇的に改善された。


 疾風を取り戻すためにカラスマに貸付た2000万エンは、利子つきで彼から返還されることになっている。


 また、屋敷で生活させる代わりに、屋敷の全員の生活費も彼が稼ぐ約束になった。


 ベルン男爵家が抱える借金はまだまだ多額であるが、生活費で屋敷が困窮することはないだろう。


「そうですか」


「そ、そうよ……」


 その時、窓の外、庭で突風が巻き起こった。


 窓の外に目をやれば、疾風にひっぱられたカラスマが、空へと飛んでゆくのが見えた。


「また、散歩だそうです。まったく、どこへ遊びに行っているのやら」


「そう……」


 嬉しそうに、ガーネットが立ち上がる。


「御前様? どちらへ?」


「屋敷の巡回。また屋敷に照明がついたのが、ちょっと嬉しくて……」


「そうですか」


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 カラスマが出かけたこと。不在なのを確認して、ガーネットは彼の部屋に入る。


 カラスマのベッドのヘッドボードには彼が組み上げたプラモデルの数々が飾られている。


 台座に飾られた、バスターコフィンキャリアー。


 ジャイアントアームハンドと、ジャイアントレッグフッド。


 聖騎士の鎧。


 そこに並んで、雑巾……。


 もとい、ガーネットが縫った1/12のローブが飾ってある。


 ズーランとの戦いでボロボロになってしまったが、彼は捨てずに回収していたのだ。 


「ふふ……」


 台座に着せられたローブ。


 その大事に飾られたローブをガーネットは嬉しそうにちょこんと指で押すのだった。

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