第91話 カラスマ最大の弱点
※何度かお知らせしていた冒頭部分の書き直しですが手直しはせずにこのまま最新話を更新し続けることにしました。すみません。いつも読んで下さっているかた! 誠にありがとうございます! これからも更新するので、良かったら読んでくださいね!
第91話 カラスマ最大の弱点
すごくつまんない話だから手短に言うよ。
俺の父親は二人いる。
前の父親は、俺が幼稚園の時に死んじゃってるんだけどね。
その父親が家庭内暴力をやっていた。
いわゆるDVってやつ。
仕事が上手くいかないのか、職場で誰かにいじめられているのか、お母さんを殴るんだ。
それを俺は止めないで、押入れの中で枕をかぶって震えてた。
社内不倫があったけど、俺は見て見ぬふりをしてたって、前に言ったよね?
都合の悪いことには目を伏せる。俺が事なかれ主義になったのは、多分そのせいかもしれない。
押入れの戸の隙間から部屋を見ると、おかあさんが殴られてた。
男のくせに女を殴る奴は最低だと思ってた。
だからなのかな。
俺は女を叩けない。
絶対に。
ここが夢の中だって、異世界だってゴメンだね。
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「さぁ、カラスマ! オレを殴ってみろよ!」
ズーランが立ち上がる。
さっきまで足腰立たなかったのに……もう元気いっぱいみたいだ。
「うう!」
対する俺。
もう疲労感と痛みで立っていられない。
なんとか意識を奮い立たせて、1/12ガーネットを操作している。
「立っているのがやっとみたいだな。お前を始末するのにゴウレムなんかいらねぇズラ!」
ブーツから予備の鞭を取り出すズーラン。何の変哲もない普通の鞭みたいだが、今の俺には十分脅威だ。
「ほら、どうした? かかってこいよカラスマ!」
ビシュッ!
ふりかぶって鞭を飛ばしてくるズーラン。
俺は1/12ガーネットを手に呼び戻す!
「『力場発生フィールド展開装置』!」
貼ったバリヤーに当たって、止まる鞭。
「だからそいつは通じねえ!」
飛び込んでくるズーラン!
突き刺すようなキック!
バリヤーに穴が開き、ズーランのヒールブーツが俺に迫る。
「受け止めろ! 1/12ガーネット!」
手の上に乗る1/12ガーネット。棺を盾のように掲げてキックを受け止める。
「っしゃああ!」
しゅばっ!
ふりかぶった鞭を飛ばすズーラン。その鞭がバリヤーに開いた穴を正確に通り抜けて俺に迫る!
1/12ガーネットはズーランの蹴りを押し返している!
うけとめ……られない!
「ぐあっ!」
俺の顔面を痛打する鞭。
痛い。痛い。痛い!
倒されて床にごろごろ転がる俺。
「しゃああ!」
その俺にズーランの追撃の蹴りが迫る!
再び俺を守ろうと倒れた俺の上に立つ1/12ガーネット、
棺を盾にして蹴りを受け止めるが、
がっ!
受け止めきれずに1/12ガーネットごと、蹴り飛ばされる俺。
「うげえ……」
俺の精神力も限界に来ているみたいだな。
ゴウレムに送れる力が弱まり、1/12ガーネットのパワーが落ちてきている。
「女を殴れない? 女だから戦えない? オレはお前みたいなフェミニスト気取りが一番ムカつくんだよ!」
このままじゃ負ける。
負けたら疾風は取り戻せない。
だが、ズーランは、……攻撃できない。
女をぶったり、殴ったりできない。
やりたくないんだ!
だが、絶対に負けるわけにはいかない……!
どうする俺!
どうしたらいい……。
仰向けに倒れている俺。
かつかつとブーツの音を立て、俺に近づいてくるズーラン。
その姿が、上空の大型魔導ディスプレイに大写しになっている。
どうでもいいが、この位置からだと、ズーランのビキニアーマーのパンツ部分が、よく見えるなぁ……。
パンツ。
魔導ディスプレイ。
パンツ。
魔導ディスプレイ。
パンツ。
……良いことを思いついた。
思いついたけど……これ……さすがに、やっていいもんなんだろうか。
「くたばれカラスマーッ!」
ズーランが足を振り上げ、蹴りの予備動作に入った。
ストンピング? 俺をそのまま踏みつけるみたいだな。
とどめとばかりに全体重を乗せている。
もはや手段を選んでいる余裕は無い。
俺はやるしかなかった。
ぴしゅん。
次の瞬間。
『うおおおおおーッ』
と、観客席からどよめきが上がる。
「なんだ?」
と、観客席を見るズーラン。
何が起きたのか事態を飲み込めていないみたいだな。
『くまさんだ……』
『くまさん』
『くまだ……』
と、観客席から、どよめきが起こる。
「くまさん……?」
「そうだ、くまさんだズーラン」
と俺。
上を指差し、
「魔導ディプスレイを見てみろ!」
と教えてやる。
見上げるズーラン。
上空の大型魔道ディスプレイには、ズーランのパンツ、ビキニアーマーの下にはいていたパンツの『くまさん』プリントが大写しになっていた。
あわてて、自分の腰を見るズーラン。
ボンテージのビキニアーマーのパンツ部分。
その留め金が切れて、下に落ちていた。
今ズーランは下着のパンツ一丁だった。
「いやああああああああああああああああーッ!」
顔を真っ赤にして叫ぶズーラン。
慌ててパンツの前を両手で隠す。
「それだとおしり側が丸見えだぞズーラン!」
「!!」
右手を前、左手をうしろにやって必死に隠すズーラン。
「な、なんで?」
「これだ!」
手を上げる俺。
手には、クナイを構えた1/12ガーネットが乗っている。
ヨロコビヤC・A・S=カスタマイズ・アクセサリー・シリーズ、『トビクナイ』。
忍者が投げてつかう手裏剣の一種だ。
キャリアーの裏ブタに仕込んでおいた。
「こいつを投げて、お前のビキニアーマーパンツの留め金を破壊したんだ!」
「なあああああっ」
トビクナイ、第2弾を構える1/12ガーネット。
「トビクナイの残弾はまだまだあるぞ! さあギブアップしろズーラン! さもなければ次はパンツを切……」
はらり。
え?
はらり?
はらりって……。
あ……。
マングローブ。
熱帯のジャングルなんかの河口付近、海と川がまじりあう湿地に生える森のことだ。日本では、沖縄県と鹿児島県に群落がある。
なんということだ……。
ビキニアーマーの留め金だけを切り裂いたつもりが、勢いあまってその下の下着のパンツまで同時に切っていたらしい……。
パンツがはらりして……。
ディスプレイには……。
「いやあああああああああああああああああああああああああああああーッ ギブアップーッ!!」
「ごめんズーラン! わざとじゃないんだ……」
と、謝ろうとした時には、ズーランの姿はリング上にはなかった。
転送の腕輪で転移したのか……。
まぁいい、とにかく。
とにかくだ!
「勝った……」
俺は……!
「勝ったぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
リング上に大の字になる俺。
『ザ・ビッグバトル! 優勝はカラスマ!』
と、ジャッジの声が響く。
『ワアアアアアアアアアアアアアー』
観客席から、歓声が響いた。
顔の近くには、1/12ガーネットがいる。
優勝賞金二億エン。
これで俺は疾風を取り返すことができる!
よくやってくれた……お前のおかげだ、1/12ガーネットよ……。
その時だ、1/12ガーネットがひとりでに動き出し、
ばきっ!
「ほげえ!?」
俺の顔を殴りつけた。
「なんで……!?」
「なんでじゃない!」
ガーネット(本物)の声だった。
見ればガーネットが観客席の最前列から飛び出しリングサイドに押しかけていた。
「あんな勝ち方があるか!」
ばきっ!
1/12ガーネット。ああ、あいつが……、ガーネット(本物)が動かしているのか。
そういえば、これ(1/12ガーネット)、あいつも一緒に作ったんだよな。
胸の形が気に入らない、そんなに垂れてないとかものすごく怒って!
一緒にパテをこねて胸の形とかボディラインとか、あいつが納得いくまで調整したんだった……。
この世界。ゴウレムをつくった人間には操作権が生まれるんだっけ。
「恥を知れこの女の敵!」
ばきっ!
「ローブは外すなっていったでしょ!」
ばきっ!
「雑巾て何よ! 雑巾て!」
それは俺が言ったんじゃないんですが……。
ばきっ!
「だいたいあの必殺技はなによ! 人の名前で遊ぶな!」
ばきっ!
とにかく……
ばきっ!
ザ・ビッグバトル。
ばきっ!
俺は優勝した。
ばきっ!
だが、その優勝の喜びに浸ることなく、
ばきっ!
自分の作ったプラモデルに殴打されながら、
ばきっ!
俺の意識は遠のいていった……。
ばきっ!
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