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第81話 再戦! 絶対防御

※大切なお知らせ

現在、あらすじと、冒頭1話~6話の書き直しを検討しています。ご了承下さい。

第81話 再戦! 絶対防御


 侵されざる白銀の盾(セイクリッドシルバー)のチャペル。


 神官であり、神聖魔法によって自分をバリヤーで包むことが出来る強敵だ。


 バリヤーは既に展開済み。光の繭で完全に自分の乗るゴウレムを覆っている。


 チャペルの乗った僧兵型ゴウレムは、光の繭に捕まって空転するアルタを巨大なメイスで弾き飛ばす。


『ああああれえええええええええええーッ』


 どこかに飛んで行くアルタ。


 ひどい。


 チャペルは動かない。


 マテリアルを自分の手に呼び戻して、俺は装着していた両手足のC・A・Sを取り外し、チャペルとにらみ合う。


『再戦を待っていましたカラスマ。この日、この時、この瞬間をもたらしてくださった我が主に感謝します!』


「俺は二度と御免だったんだが」


 前回俺は本当に苦労、というかものすごい痛みに耐えてこいつを倒した。


 だが今回は……。前回と同じ手が通じるか?


 少なくともマテリアルは疾風のように空も飛べなきゃ、馬力もない。


『以前の私と思って油断をなさらぬよう! 私はこの二週間、貴方を倒すために修行を重ねてまいりました。ハァッ!!』


 気合と共に、光の繭の濃度が明らかに上がった。


 バリアーの強度が何倍にもなってるのが見た目にも分かる。


『重ねて、私は今日一人で戦いにきたわけではありません! モンク僧たちよ!』


「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーッ!!」」」


 観客席から一斉に野太い唸り声が上がる。


 上空の魔法モニターに観客席の様子が移しだされた。


 なんだ?


 観客席の最前列。チャペルと同じ神官服を着たハゲの筋肉ムキムキのオッサン達が肩を組んでおり、それが画面の左右いっぱい……、


 えっ? これ、もしかして全周囲にいるの?


『我がサンマルティーノ教団の誇るガチムチモンク僧軍団でバトルフィールド周囲の最前列を固めておきました。前回みたいな破廉恥極まる作戦はもう使えませんよ!』


「迷惑すぎるだろそれ」


 観客席が絶対汗臭いぞ。というか画面が臭いぞ。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 実況&解説席。


「ベリーサンクス! モンクの皆さん! 観戦チケットのお買い上げありがとうございます!」

 と、ジャッジ。 


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


「なぁ、今回ってフィールドから出たら、失格になるんだから意味なくないか……?」


『……』


「今気づいたのかよ!」


『おのれカラスマ! なんと卑怯な』


「俺関係ないだろ!」


『問答無用!』


 チャペルがメイスを構える。


「まあ、そっちの準備は万全だってのは分かった。だが俺も事前に準備をしてくるとは思わなかったのか?」


『何!?』


「一応そんなことだろうと思って既にお前の痛みを耐えられる分の(中略)は事前に揉みまくってきた」


『なッ、なんだと!?』


「もう一度言う! 俺はお前のバリアーに耐えられる分の、『揉み溜め』をしてきた」


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 3時間前。


「頼む御前様! ガーネット! 俺は絶対に疾風を取り返したいんだ! そのためにはチャペルの絶対防御をもう一度破らなきゃならない!」


「……」


「そのためにはあのバリアーに触れても痛みに耐えられる分の『おっぱい補正』、『バフおっぱい』をチャージしていくしかないんだ!」


「……」


 土下座。


「……」


「お願いします! お願いします! 先っぽだけ、先っぽだけでいいから!」


「余計に悪いわ!」


「くそう、こんなに頼んでも駄目なのか?」


「……」


「疾風……俺の疾風が……」

 頭を抱えてうずくまる俺。


「……」


「カラスマ様……」

 

 それまで黙っていたルナリアが口を開いた。


「私の、私のでは駄目ですか?」


「駄目だ!」


「どうしてですか!?」


「……俺は犯罪者にはなりたくない」


「そんなッ!」


「……(ちょっと待って、じゃあ好き放題にされてた私って何?)」


「とにかく駄目なものは駄目なんだ」


「いいえカラスマさま! 今は疾風を取り戻すことだけを考えてください! 手段を選ぶ余裕はないはずです!」


「くっ……!」


「あなたの疾風に対する思いは、その程度なのですか?」


「ううっ……!!」


「その手を汚す覚悟をお持ち下さいカラスマ様。疾風を取り返す術は……」


 俺の手を取るルナリア。


「ここに、このルナリアの胸にあるのですから」


 その手を胸に持っていこうとする。


「ええい!」

 と、ガーネットが叫んで、ルナリアがつかんだ俺の手を叩き落とした。


 痛い。


 超痛い。


「わかったッ!」


「えっ?」


「揉め!」


「……いいのか?」


「くどい、私とて武家の当主。二言はない!」


「じゃ、じゃあ!」


 (中略)


「ふえあぁぁ……ッ」


 ガーネットが太ももをがくがくと震わせたのち、全身を痙攣させて倒れた。


 びくんッ、びくんびくん。


「……ありがとう御前様。これであいつと戦っても勝てるはずだ」


「ひゃひゃいふひゃあ(中略)ひゃあ」

 

「はい、お姉さま。これで勝てなかったらブチこ……、あのそんな汚い言葉私言えません」

 通訳ありがとうルナリア。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


『貴様の破廉恥さ! 神が許してもこのチャペル絶対に看過ならん! セイクリッドシルバー最大出力!! いくぞカラスマッ!』


 メイスを構えたセイクリッドシルバーが、特濃の光の繭に包まれてドスドス突進してくる!


「来いッ、チャペル!! 『おっぱいバフ』で補正された俺の根性を見せてやる! そのバリヤーの痛み、もう一度耐えてやるからな!!!」


 棺をぶん回すマテリアルを拳に乗せて、迎え撃つ俺!


『神罰執行!』


「根性!」


『魂まで滅してくれる!』


「根性!!」


『悔い改めよーッ!』


「ド根性……と見せかけて、マテリアル、静岡製アフターモデリングパーツ、『力場発生フィールド展開装置』リンクアップ!」


『えっ?』


 マテリアルの背中についたLEDが点灯し、その体、及び俺を柔らかい光が包み込む。


 静岡製アフターモデリングパーツ、『力場発生フィールド展開装置』は取り付けたロボットにバリヤーを発生されるという設定のプラモパーツだ。(ちなみにヨロコビヤではなく静岡の有名メーカー製)

 大仰な名前がついてはいるが、その実、ただのボタン電池を内臓したLEDの発光パーツだ。


 だが、それは現実世界の日本での話し。


 この夢の中、異世界では、それが『本物』になる。


 マテリアルと俺の体は今本物のバリヤーに包まれていた。


 そして力場発生フィールド展開装置の中枢回路が、相手のバリアー波長を特定し、同調・中和する!


 つまり。


 激突する俺と、チャペル。


 その双方のバリアが重なった瞬間!


 お互いのバリアーが重なった部分が掻き消える。


『なっ!』


「おりゃあああああああああああ!」


 跳び出すマテリアル!


 回転する棺が、セイクリッドシルバーのアゴに命中する!


『ごべらッ……』


 吹き飛ぶセイクリッドシルバー!


 インパクトの衝撃で後ろに後退するマテリアル。


 キャッチする俺。


 ずずん。


 セイクリッドシルバーの巨体が吹っ飛んで、地べたに沈む!


『……解呪魔法!? ディスペルマジックだとぉッ!!』


 ガクガクしながら立ち上がるセイクリッドシルバー。


 脳震盪起こしたな。


「というわけでお前のバリヤーはもう攻略済みだ! 今日はとことん殴り合おうじゃないか!」


『おのれカラスマ!』


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 観客席。


「おのれカラスマ!」

 観客席の鉄パイプの手すりを握りつぶすガーネット。


「おっぱいバフとか関係ないじゃない! あいつ騙したのねえええええええええええええええ!」


 その時だった。


「はっ」

 と、メイド長。


「!!」

 と、ハウ。


 尋常ではない殺気がバトルフィールドから観客席まで届いたのは。

 

□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 チャペルを見下ろしていたはずの俺の視界が、突然オレンジ色に塗りつぶされる。


 続いてくるのは知覚できないほどの圧と熱波。


 これは……。


 爆炎!?


 俺とチャペルの体は、次の瞬間大爆発に巻き込まれていた。

 

拙作はいかがだったでしょうか?

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