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第69話 母の急変

第69話 母の急変


 時刻は深夜になっていた。


 色々なことに疲れた。ひどく詰め込まれた日だった。


 だが、シズルとマズルは軽やかな足取りでデニアの町の雑踏を駆けていく。


「折角スカーレット様にお会いできたのに。カラスマのやつ!」

 とマズル。


「いいじゃない。また会えるわよ」

 とシズル。


 2人の声は弾んでいた。


 2人の悲願がようやく叶った日になったからだ。

 猛毒を受けて床に伏せる母親。彼女の治療のために必要だった高額な血清。


 市場に出回らないそれを手に入れるには、専門のハンター団を揃え、この島より遠く離れた魔獣の生息地に派遣し、時間を掛けて獲物を狩らなくてはならない。

 運がよければ数週間。そうでなければ数ヶ月。 


 たくさんのプロフェッショナルを長い期間拘束して動かす以上、気の遠くなるような額の諸経費が必要だった。


 だが本日、2人はそれを思わぬ形で手に入れることができた。  


 異界人カラスマさまさまだった。


 あとは冒険者ギルドに発注さえすればいい。血清が手に入るのも時間の問題だ。


「やったねマズル!」

「やったねシズル!」


 2人はもう何度目かわからないハイタッチをする。


 早く家に帰ろう。


 母親は寝ているだろう。


 今日はすぐに眠らなければ。

 このまま朝まで起きているのもいいかもしれない。


 明日の朝一番で冒険者ギルドの門を叩くのだ。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 家の前に着くと、様子がおかしいのに気づいた。


「シズル、マズル!」


 2人を雇ってくれているパン屋の店主が青い顔をして立っていた。


「どうしたの店長?」


「どうしたのじゃない、今までどこに行っていたんだ?! 早くお母さんにあってやりな。中に先生が来てる」


「うそ」


「ええ……」


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 シズルとマズルの母親の病状が急変したのはその晩のことだった。


 かかり付けの医者は、今夜が峠であることを2人に告げた。


「そんな、よくもならないけど、悪くもならないって」

「病人の加減は誰にもわからないものなんだよ、シズル」

「そんな、やっと、ようやく間に合ったのに、そんなのって! そんなのってないよ!!」


 マズルは駆け出し、玄関の外で泣き出した。


「そんなのってない。そんなのってないよッ!!」


 シズルが追いかけてくる。彼女も泣いていた。


「マズル、今は少しでも長くお母さんのそばにいてあげよう。そうしてよマズル」


 マズルの肩を抱くシズル。


 そこへ、ふらりと客がやってくる。

 

「こちらにヘイズル様はおいでですかな? 『三つ顎』のヘイズル様は?」


 褐色に銀髪のエルフの少女が居た。

 母親の昔の名前を呼ぶ。

 見た目の割りに妙に年かさのある口調で喋る。


「帰って頂戴。母には会わせられません!」


「ふふ……」


 微笑を浮かべる少女。


「殴るよ!」


 マズルが食って掛かる。


「そう邪険になされますぬな。……お二人がお求めのものはこちらにございます故」


 少女は懐からポーションの瓶を取り出した。

 鈍い光を放つ液体が入っている。


「「それは……!」」


「エンプレスと申しますのじゃ」


 シズルと、マズルに向かって、


「以後お見知りおきを……」


 うやうやしく、少女=エンプレスは辞儀をした。

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