第62話 痛みを乳で乗り越えろ!
『おおおおおおおおおおおーッ!!』
野生のゴリラって意外と機敏で、ジャンプしたりもするのよね。
そんなことが頭をよぎった。
騎士鎧の塊、まさにゴリラのようなゴウレムが、リング上から俺の居る鉄格子の上目掛けてジャンプしてくる。
「うわああああああああッ!!」
セイクリッドシルバーは、俺のいる高さには届かず、ちょっと下に着弾する。
衝撃でぐらんぐらんゆれる鉄格子。
たまらず落ちる俺。
地面に激突する直前で疾風が俺のズボンのベルトを受け止める。
くの字に曲がる俺の体。
「ぐええ」
全体重が、ベルトにかかって、腹に刺さってすごく痛い。
落下した俺を追いかけて、セイクリッドシルバーも飛び降りてきた。
地震のような揺れとともに地面に巨大な穴があく。
なんて運動性だよ……!
『装備型ゴウレムと戦うのははじめてかカラスマよ?』
違うね。お前なんかよりもっとデカイのと戦ったことがある。
『喰らえッ!!』
俺目掛けて振り下ろされるメイスを、
ガッ!! と
たまらず疾風で受け止めた。
メイスは光の繭で覆われている。
「痛てててててててててててーーーーーーーーーッ!!!!」
疾風で受け止めた瞬間から、強烈な電気風呂に入ったような痛みが全身に伝わってくる。
痛い、超痛い、ものすごく痛い!! 吐くほど痛い!! 痛い痛い!!
あまりの痛みに、俺は膝を突く。
涙がぼろぼろ出てくる。
だが疾風を離すわけにはいかない。メイスの直撃は俺の運動神経じゃ避けられない。
「ひぃひぃふう……ひぃひぃふう……」
痛みをなんとか緩和しようと呼吸法を試す。……ちがう、これじゃない。
なんとか、意識を保たねば……でもどうやって!!!
「いけーッチャペル!!!」
「やられろカラスマー!!!」
目の前の鉄格子の向こうに、シズルとマズルが居た。
そうだ、痛みを耐えるにはこれしかない!!
「シズル、マズル!!」
「「何よ!!」」
「お前たちの力を貸せッ!!」
「「はぁ!?」」
俺は鉄格子の先に手を伸ばすと、シズルとマズルの(中略)をつかんだ。
「「ぎゃあああああああああああああああああああああ」」
やわらかい感触が俺の手のひらに広がる。
……幸せだ。
シズルとマズルが鉄格子の隙間から俺の顔をボコボコに殴りつけてくるが気にしない。
全身に走る電気風呂みたいな痛みに比べれば、どうということはない
その痛みも、両手に広がるぷにぷにのやわらかさで上書きしてやる。
心頭滅却すれば火もまた涼し!
ならぬ、別のことに意識を集中させて痛みを忘れる作戦だ!
『この痴漢野郎!! 今すぐその子たちから手を離せ!!』
嫌だね!
さて、反撃開始だこの野郎!!!
俺は2人の(中略)を揉みながら、意識を疾風に集中させる。
疾風=俺は痺れに耐えつつ、セイクリッドシルバーのメイスを押し返し、光の繭ごとセイクリッドシルバーの体に張り付いた。
光の繭は網戸のような弾力で押せば、どこまでもめり込んでゆく。
セイクリッドシルバーの胸のアーマーに疾風の手が届いた。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおーッ」
疾風の手が敵ゴウレムのアーマーをがっしりとつかむ。
電気風呂のしびれ、いっそうの痛みが俺の体に伝わってくるが、
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ……。
俺は力のかぎりシズルとマズルの(中略)を揉んで耐える。
「「いやああああああああああああああああああああああああああーッ」」
「なにやってんだこいつら……」
とジャッジ。
駄目だ、敵のバリヤーに密着した分、痛みの反動がきつい! いくら(中略)の感触があるとはいえもう限界だ!
一撃でヤツを仕留めてやる!!
俺は、これ以上ないくらい疾風に意識を集中する。(その分疾風とのつながりが強くなり感覚が研ぎ澄まされ痛みが増すが、揉みに揉んで耐え切った!)
そして、俺のエネルギーを疾風に流し込むようにイメージする。
「疾風ッ! 四式戦装甲、リンクアップ!」
瞬間、疾風のアーマーの隙間から光が漏れた!
「ハ45=誉エンジン全開ッ! 最大回し! 回転数2400!」
疾風の推進機関が唸りを上げ、その瞬間セイクリッドシルバーの巨体が宙に持ち上がった。
『なんだとぉぉ!!!』
絶対防御の上からつかまれたセイクリッドシルバーは、背中をつかまれたカブトムシのように手足をぐるぐるともがいている。
「チャペルよ! 空の旅へご招待だ!」
ゴリラのような巨体が急加速しそのまま上空へと飛び上がる。
疾風=俺はセイクリッドシルバーをつかんだまま、その場でスピンをかける。
螺旋を描きながら上昇、セイクリッドシルバーは竜巻となって空へ上がってゆく!!
『うおおおおおおおおおおぁぁぁ?!?』
見たか、2000馬力の底力!!
高度がみるみる上がる! 歩道橋の上、マンションの屋上を越えて、まだ足りない!!! デパートの屋上、もっとだ! もっと! もっと! 都庁の高さ、ここだッ!!
「エンジン停止!!」
竜巻となったセイクリッドシルバーが、回転しながら頭を下にして落下を始める。
「錐揉み回転、百舌鳥落とし!!」
地面に激突する瞬間、俺=疾風はセイクリッドシルバーを放り出す。
セイクリッドシルバーの巨体が、リングに深々とめりこんだ。
上半身が完全に埋まり、足だけが突き出ている。
……。
……。
……。
……。
……。
……。
……。
……。
……。
……。
……。
……。
セイクリッドシルバー=チャペルを覆っていた光の繭が、今度こそフッと掻き消えた。
……。
……。
「し、試合続行不可能!! よってこの勝負、カラスマの勝利!!」
ジャッジが俺の勝利を宣言する!!
「やった……」
「「やったじゃねえぞ痴漢野郎が!!!」」
双子から放たれたストレートを喰らって、俺の意識も遠のいた。
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