第61話 ダブルアタック!
第61話 ダブルアタック!
超スピード。
一瞬で時速600キロの最高速度に達した疾風は、雷のようにチャペルに迫る!
「『侵されざる白銀の盾』」
だが、疾風の動きを察知したチャペルは、本体を再び光の繭で包む。
俺は疾風の機体をひねって、光の繭をギリギリでかわしつつ、超高速で旋回させた。
チャペルの背中をUターンした疾風は今度はゴウレムへ向かう!
「『侵されざる白銀の盾』」
光の繭が再びゴウレムを包んだ。
さすが反応が早い!
だが、同じく疾風は光の繭を掠めてゴウレムの背中側へ回りつつ、急旋回!
Uターンした疾風はもう一度チャペル本体へ突っ込む!
「『侵されざる白銀の盾』」
光の繭が再度チャペル本体へ移動する。
チャペル、ゴウレム、チャペル、ゴウレム。疾風は目標を交互に変えて飛ぶ。
そのたびに、光の繭がターゲットとなった対象に移動して防御を完璧する。
絶対防御の名前は伊達ではないか。
上空から見れば、疾風は∞の字を描きながら超高速で飛び続けている状態だ。
∞の字のふたつの○と○の中には、チャペルと、ゴウレムがいる。
疾風がチャペルに向かえば、チャペルは自分を繭で覆い、通り過ぎればゴウレムを覆う。
そのサイクルのリズムが出来た。
タイミングはそろそろか……。
光の繭で覆われたチャペルをめがけて疾風が飛ぶ、バリヤーに当たるか当たらないかぎりぎりをかすめて背後へ飛びすさる!
その背中をUターンして、疾風はゴウレムに向かう!
「『侵されざる白銀の盾』」
チャペルを覆っていたバリヤーが、ゴウレムに移動した!
今だッ!!!
その時、弾丸となった疾風のシルエットが二つに分かれた。
戦闘機となった四式戦飛行ユニットを蹴って、生身の疾風が後方に飛び出したのだ。
飛び出した先にいるのは、生身のチャペルだ!
「何っ!?」
目を見開くチャペル、呪文の詠唱が追いつかない!
がッ!!
疾風の加速に任せた右ストレートが、バリヤーの無いチャペルの顎をとらえた。
パンチが炸裂した。
「ごぶらッ……」
口から血を吐いて倒れこむチャペル。
「チャ、チャペルさんが……」
「やられたッス……」
「よっしゃあああああああああああああああああああああッ!!!」
チャペルを殴った疾風は、反動で宙へ放り出される。
そこへ8の字を描いて戻ってくる四式戦飛行ユニット。
空中でユニットにしがみつく疾風。
「上手くいったぞ!」
さすがにあの一撃を喰らって立ち上がってはこれまい!!
その時俺は完全に勝った気で居た。
セイクリッドシルバーを覆った光の繭がまだ消えていないことに気がつかなかったのだ。
俺は疾風を手元に回収する。念のため、元の巡航形態に組み替えて……。
その時だった。
「『侵されざる白銀の盾』」
チャペルの体が動いた。
「なんだと!?」
倒れたチャペルの体を、再び光の繭が覆った。
「許さん……許さんぞカラスマ……」
そしてゴウレム、セイクリッドシルバーが動き出し、チャペルの元へ向かう。
「よくも……。よくも俺の……顔に、キズをつけてくれたな」
そんな陳腐極まりないセリフを……。
これってアレか? 美系キャラが自分の顔を傷つけられてぶち切れてすごいパワーを発揮する展開か?!
チャペルはよろよろと立ち上がると、ゴウレム、セイクリッドシルバーを光の繭の中に入れる。
光の繭が大きく広がり、その中で、セイクリッドシルバーがチャペルに背中を向けた。
セイクリッドシルバーの背中が、ぱかりと割れた。
「何だ!?」
よろよろと立ち上がったチャペルが、セイクリッドシルバーの背中から中に乗り込む。
チャペルが搭乗を終えると、セイクリッドシルバーの背中の蓋がとじた。
そして、その両目がギンと光を放つ。
パワードスーツ?
乗り込み型だったのかアレ。
アレ、かっこいいじゃないか。
というか、そんなこと出来るんなら最初ッからやれよ。
チャペルの乗り込んだセイクリッドシルバーが、その場で何かを確かめるように小刻みにジャンプを始めた。
『よし……、よし……よし、よーし』
セイクリッドシルバーの中から、拡声器のように加工されたチャペルの声がする。
『ハァッ!!』
その時だ。
掛け声と同時に、セイクリッドシルバーが、跳んだ。
まるで発射された大砲のように、俺のいる鉄格子の上目掛けて飛んできた!
「嘘だろッ!!!」
つーか、まだ続くのこれ?!
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