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第51話 バトルアリーナ

第51話 バトルアリーナ


 お祭り時の神社の参道。左右に露店が敷き詰められた一本道が、見渡すかぎりずっと続いている。

 

 道はもう通勤ラッシュもかくやという大混雑で、道の先に向かうものと、帰ってくるものでごったがえしている。


「こっちよカラスマ」

「はぐれちゃダメよ」

 俺はシズルとマズルにぐいぐいひっぱられながら、人ごみを進んでいた。


 しかし色んな人種が居るな。

 エルフ、ドワーフ、獣人、顔がトカゲみたいなのもいる。……それにまじってロボット、ゴウレムか。


 行き交う人で一様に違うのは、表情だ。


 道を行くものは誰もがわくわくした顔をしているが、帰ってくるものはだいたい落胆したりがっかりしたりこの世の終わりみたいな顔をしている。

 ごくたまに満面の笑みで力強く歩いてくる奴もいるが。


 この光景どこかで見たことがある。


 ……ああ、競馬場に行く時のそれだ。


 皆行く前は賭けに勝ったつもりで居るからわくわくしているが、だいたい負けて帰ってくるんだよね。


 これから俺は双子に連れられてギャンブルか何かをしにいくんだなと直観で分かった。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 一本道がようやく終わり、巨大な建物が見えた。


 ドーム球場のようなつくりに見える。


 そのドームに向かって人々の長い列が続いているが、道の脇には巨大な看板が目立つようになってきた。


 看板に描かれているのは、皆強そうな人物の姿だ。


 鎧を着込んだエルフの騎士。杖を担いだ魔法使い。筋骨隆々のドワーフ。この世界でゴウレムと呼ばれるロボットの姿もあった。


 格闘ゲームのキャラの選択画面みたいだなと思う。


 鞭を持ったきわどいボンテージ衣装のおねーさんの看板。いいね。ケツが素晴らしい。


 道の途中に人だかりが見えた。龍の頭をつけたゴウレム。それを連れた男に人が集まっていて、皆一様にサインをねだっている。


「あっ、爆龍のジュウベイだ。私もサイン貰ってきていいシズル? 高く売れるわよ」

「何いってんのマズル。それよりいいのがあとでいくらでも作れるでしょ」

「それもそうね」

「それもそうでしょ」


 なにがそれもそうなんだ?


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 ようやくドームの中に入った。


 すごい熱気と、観客の声。


 雰囲気は格闘技のイベントの会場だな。


 というかそのものだな。


 だだっ広い空間に、鉄格子で囲われたリングがいくつも並んでいる。


 一番近くのリングでは、ゴウレム同士が戦っている様子が見えた。

 鉄格子は観客たちが取り囲んでいて、一応に怒声を上げて応援している。


「ほー」

 と、思わず感心してため息が漏れた。さすが異世界だな。


 ドームの中はすり鉢上をしていて、中央にはいかにも特別そうな巨大なリングがあり、

 それを観客席が取り囲んでいる。


「ここはバトルアリーナよ、腕自慢の剣闘士やゴーレムマスターが集まって、戦う場所なの」

 と、シズル。


「へー」


 日本で有名なバトルものの少年漫画、気を集めて空を飛んだり手からビームとかを出す奴。

 その中に格闘の天下一を決める武道会の話があるんだが、雰囲気はまんまそんな感じだな。


「ここでは毎日戦士の試合があるんだけど、試合ごとに戦士を予想して賭けることができるの」


 なるほど。


 あっちにあるのは、予想屋かな?

 強そうな選手のポスターが小屋に貼ってある。

 どの選手が勝つか、注目株を予想している感じ。勝ちを予想した紙を売ってるのか。

 競馬場にしか売ってない特別な競馬新聞と一緒だな。


「なぁシズル、マズル。儲け話って言ってたけど、俺は何をしたらいいんだ?」


「「殺し合いよ」」


「そうか……殺し合いか」


 殺し合いか。


「ちょっと待て」

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