第31話 「最低最悪人間の屑! コイツはそもそも人間なの? 助けてくれてちょっとだけカッコいいとか思った私がバカだった! ただの痴漢じゃない。呼び出した報い? このままじゃ……このままじゃ私は……」
「ふぅふふぁりあはう」
「え? なに?」
おっぱい御前様が何かを言っているが、よくわからない。
「ふぅふふぁりあはうりあはう」
「はい、お姉さま! ええと、……全身から力が抜けてしまって動けないそうです」
通訳ありがとうルナリア。
「ふぅふふぁりあはうりあはう」
「はい、お姉さま! この先はルナリアのおっぱいを使うようにと」
「ふんはあ!」
おっぱいが『違ッ!』と目で訴え首を横にブルブル振る。
なんだ元気に動けるんじゃないか……。
まぁそれは置いといて。
「ダークエルフよ。お前が嘘を言っていることはお見通しだ。お前には指一本触れない」
おっぱいが、『えっ? ……ちょっと私と扱いが違いすぎない?』と言った目で俺を見た。
無視する。
「どうして? どうして揉んでくださらないんですか?」
お前がそんなまっすぐな瞳で俺を見るからだ……。
「わたし……魅力がないですか?」
「……そうじゃないんだが」
「ならどうして! どうしてなんですかカラスマ様!」
「それをやめろ、そんなまっすぐな目で、純粋な目で俺を見るな……」
だめだ。こいつのおっぱいは揉めない……。
「お前はきっと、俺の良心が夢の中に具現化させた。最後に残った俺の良い部分の象徴なんだろう」
「わけがわかりません」
「あいつを見ろ!」
おっぱい御前を指さす。
「エルフなのに程よい筋肉が付いてしかもおっぱいがあんなにでかいんだぞ! 俺の欲望そのものがこの夢の中に具現化した、まさにザ・エロースだ」
おっぱい御前よ。お前は俺の深層心理がこの夢の中に作りだした俺の理想のおっぱいなんだ。
「んいいいいいいいいいいいい! んんーーーーー!」
「はい、お姉さま! ええと、……違う違うそんなんじゃないから。と申しております」
「わかった。御仁! ……いやカラスマ殿!」
メイド長がいつの間にかすぐそばに立っていた。びっくりする。
「我々の胸ではどうか?」
えっ?
「どうか……ってケガしてる女を夢の中だからって揉めるわけな……あれ?」
メイド長。さっき確かに擦りキズやミミズ腫れが全身の肌に見えたんだが。今はきれいさっぱり消えている。肌がなんかしっとりしてる。
若い子はつやっとしてるけど、しっとり。
水滴を弾かずにじゅっと消える感じの。しっとり。
ああ、そうだ、これ夢だったな。
しかしおっぱい御前もすごいがこのメイド長は更になんかすごい……。
ごくり。と口の中のものを飲み込んでしまう。
「じゃあ、遠慮なく……」
なんか怖いけど。いいか。
あっ、この人……。
「陥没……」
「なにか?」
ギロりと冷たい目で睨まれた。気にしてるのか……。
「いいえ……」
「ならはやくしろ」
「はい」
ひんやりしていた。
(中略)
「ありがとうございました。」
メイド長は肩で息をしている。
「わからん……」
ハウが上半身の服を脱いでいた。
「え? いいの?」
「わからん」
(中略)
ちょっと毛深い。
なんだか猫をなでてる気分だ。
手を見せてもらう。
肉球だ!
ぷにぷに!
ぷにぷにぷにぷに
しっぽがモフモフしてる。
(中略)
けものも肩で息をしている。
「はぁ……」
「どうですかカラスマ殿? もう……満足されたでしょう?」
「わかった」
「よかった……、それではこれで……」
「今はっきりわかった……」
「えっ?」
「いまはっきりわかった。他のおっぱいと触り比べてわかった!」
おっぱい御前姉エルフの肩をつかむ。手が後ろに回ったままだからだ。
「お前のおっぱいはやはり最高の俺のおっぱいだ 俺の究極のおっぱいなんだ」
御前様はまるでこの世の終わりのような顔をしていた。
「ふあぁぁぁぁううふあぁぁ!! あうーーーふあうあー」
「はい、お姉さま! ええと、……これ以上は胸の形が変わってしまうから許してほしいと」
「駄目だ!」
「ほぶあああ」
「俺がこの夢から覚めるまで揉み続ける!」
「ほぶあ……」
おっぱいエルフは死んだ魚の目をしていた。
「だが俺も鬼ではない。
それほどまでに揉んでほしくないというなら、わかった……、もう揉むのはよそう」
「はうううう!」
涙を流して喜んでいる。
「だから吸わせてもらう!」
「んごお!?」
「揉むのは終了、これからはチューチューの時間だ!!!」
おっぱい御前は白目を剥くと、太ももをがくがくと震わせ、そのまま全身を痙攣させている。気絶してしまったらしい。
「お姉さまーッ!」
まぁいい。意識はなくとも乳はある。
「クズかこいつ……」
とメイド長。
「いや……いやいや……(ないっすわ)」
と動物コス。
「なんとでも言え! いいか?! この夢は俺の夢だ! 俺は夢の持ち主だ! いわば俺の持ち物だ!」
「はい、ルナリアはあなたの持ち物です」
「いや、そういう意味で言ったんじゃない」
なんかこのダークエルフは調子が狂う。
「とにかくだ! 夢から覚めたら2度と同じ夢は見れない。このおっぱいを俺は夢から覚めるまで堪能するんだ! 夢なんだからいいじゃないか、誰も傷つかないんだから!」
その瞬間だった。
俺の体がばちんと音を立てて、全身にショートしたような火花が散った。
視界が一瞬白く焼けつく。
世界がばったりと転がった。




