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第118話 デン侯爵家よりの使者

第118話 デン侯爵家よりの使者


 異世界で目が覚めた。


 ベルン男爵邸の俺の部屋だ。


 伸びをする。


 さて今回はどのくらい寝たんだろう。


 あんまり時間が経ってないといいな。


 ベッドのヘッドボードを見る。


 飾ってある、疾風と、1/12ガーネットに魔力が回って、肌とかプラモデルの質感から、本物の人間っぽく変化するんだ。


 あれ見るの好きなんだよね……って、


 無い。


 というか居ない?


 どこに行ったんだ?


 疾風にリンクをはかる。


 疾風の視界が繋がった。


 おお、ガーネットのアップだ。


 ガーネットが持ってるのかこれ?


 おお、このアングルから見るとナイスおっぱい。


 やっぱこいつは最高だぜ!


 ……じゃなくて。


 この部屋は食堂だな。


 ルナリアと、メイド長も居るし、行ってみるか。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 食堂についた。


「お前ら俺の疾風を勝手に触るなって言ったろう!」


 ガーネット、ルナリア、メイド長が、疾風と、1/12ガーネットを持って何かやっている。


「おはようカラスマ。起きたのね」

 と、ガーネット。


「おはようございます。カラスマさま」

 と、ルナリア。


「おはよう。カラスマ」

 と、メイド長。


「ああ、おはよう……ってなにやってるの?」


 食堂の机の上には、カラフルな布がいくつも並べられている。


 これは? 服か?


 人形用の小さい服が、何着も机の上にある。


 疾風は今、緑色のドレスを着せられているところだった。


 1/12ガーネットは赤いドレスか。


「着せ替え?」


「そうよ」


 モノコックウェポンズ・フラウは着せ替え人形じゃないぞ! 男のホビーだ。いや、男らしいホビーかと問われればコメントに若干困るけれども……。あ、そうだ、男が想像の翼を広げて楽しむホビーだ。今度、そんな難問を問われたら、これでいこう。


「しかし、なんでまた……」


「だってこの子達裸じゃない」


「はぁ?」


「疾風も、小さいお姉様も裸のままだとかわいそうです」


「いや、裸じゃないんだけど」


 疾風も1/12ガーネットも素肌にぴっちりしたバトルスーツ、ボディスーツを着ているという設定だし、実際そういう感じで塗装してあるんだが。


 そうか、異世界人はボディスーツとかわからないか。


 こいつらの目から見れば、疾風や1/12ガーネットは裸に見えていたのかもな。


 ビッグバトルに出場するときもガーネットは絶対ローブを着せろって譲らなかったし。


「御前様、そろそろ私にも疾風を貸していただけませんか?」


 と手には背中がばっくり開いたセクシーラメドレスを持っているメイド長。


 この人メイド服以外だとああいうのが好きなのか。まぁ、イメージ通りだ。


「え、待ってよ! 今このドレスに合うウィッグを選んでるんだから」


 ウィッグ……。かつらまで揃えてある……。こないだまで3食雑草スープでしのいでたのに、豊かになったもんだなぁうちも(しみじみ)。


「だから着せ替え人形にして遊ばないで……」


 その時だった。


「わからん! わからんわからん! 全然さっぱりわからん!」


 ハウが食堂に駆け込んできた。

 すごい剣幕なんだが?


「なんですって!?」

 と、立ち上がるメイド長。


「御前様、お嬢様と中に居てください」


「わかったわ……」

 と、ガーネット。


「カラスマ。疾風と小さい御前様に戦闘態勢を! 我々と共に出てください」


「どうしたんだよ?」


「敵襲です」


 なんですと……!?


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 屋敷の入り口に立つ、俺、メイド長、ハウ。


 丘の下がよく見下ろせる場所だ。


 俺は疾風と、1/12ガーネットを武装させて肩に乗せている。


 ハウの隣には、真っ赤なジャガーのゴウレムが控えている。こないだムトーさんの工房で修理を終えたものだ。


 屋敷に続く、丘の坂道を登ってくる一台の馬車がある。


「あれは?」


「デン侯爵家の馬車ですね」

 と、メイド長。


「デン侯爵?」


「貴方が倒した巨大な緑のゴウレム。それに乗っていた人物といえばわかりますか?」


「……ああ」


 全身に石とか刺青とか入れていた露出狂のエルフか。それこそ(中略)にまで石と刺青を入れていたっけ。


「俺がやっつけたあと、なんかでかいミミズに乗って逃げていったけど、仕返しにきたのかな?」


「デン侯爵は御前様の結婚相手……でした。ベルン男爵家の借金を肩代わりする代わりに、嫁入りの話を持ちかけてきたのです」


 初めて聞くそれ。


「借金のかたにガーネットを嫁入りさせようとしたってことか?」


「はい。ですが、嫁入りの日に御前様は馬車強盗一味に誘拐され、デン侯爵も馬車強盗に返り打ちに遭い、嫁入りの話はその後立ち消えになったはずなのですが……」


「ん?」


 話がよく見えない。


 整理しよう。


「ガーネットは馬車強盗に誘拐され、それを取り返そうとしたデン侯爵は返り討ちにされた」


「はい」


「デン公爵は俺が倒した?」


「はい」


「その馬車強盗って……もしかして」


「……」


 こほん、とせき払いをするメイド長。


「馬車強盗一味とデン侯爵配下の手勢は戦闘となります。その戦闘中、劣勢になった馬車強盗一味が呼び出した召喚獣……それがカラスマ、貴方です」


「……」


「……」


「それ、どっちかっていうと、俺がすごい悪者だよね?」


「……」


「あと、デン侯爵ってどっちかというと被害者?」


「……」


 俺、あの時、ルナリアが泣いてたから、泣かせた奴をやっつけたんだけど……というかみんな性的に襲われる寸前で、すごいことになってたからそれを助けたつもりでいたんだけど。


 どっちかって言うと悪物の片棒かついでたのね。


「ガーネットを誘拐したってことは、馬車強盗一味はメイド長とハウと……」


「ルナリアお嬢様です」


 だからあの現場に居たわけか。あいつまで巻き込むことはないだろうに。


「誰がリーダーだったの?」


「ルナリアお嬢様です」


 まさかの計画犯とは……。


「馬車強盗の顔は……見られてるんだよね?」


「……といいますか、貴方を呼び出したのは当男爵家だと、さきの裁判で宣言してしまいましたから……」


「そっかー」


 とりあえず、疾風のエンジンを暖めますかね……。


「デン侯爵家としても馬車強盗に返り討ちにあった事実は体面上隠匿したいはず。おおやけに我々を訴えることをしないのはそのためだと思っていたのですが、ついに事態が動いたなという感じです」


「まぁ、俺たちに正義はまったくないけど、あいつとその部下はルナリアを全裸にして泣かせた悪い奴だからな。あとガーネットも、おっぱい丸出しにして手錠をかけた……。メイド長もひどい格好にして……」


 言っててなんだかムカムカしてきた……。


「それだけで万死に値するとおもうよ」


「カラスマ……」


 異世界転移して、道理を潰して無理を通す、俺TUEEE系主人公みたいなムーブをしてやろうじゃないですか。


 さて、ドンパチの始まりかな?


 と思っていたら様子がおかしい。


「カラスマ。あの馬車の様子が見えますか?」


「俺の肉眼じゃ無理だけど、疾風の目なら……(メイド長は馬車が見えてるのか?)」


 疾風の視点に集中して、馬車を見る。


 馬車には家紋の旗と、白旗が掲げてある。


 御者台の男がさらにこっちに手を振って、さらに白旗を振っているな。


 あのアロハシャツにあごひげの男、見覚えがある。あれはたしか。


「ハングドマンって、言ったか」


 ハングドマンの引く馬車は丘をゆっくり登ってくる。


 俺たちは、到着を待つことにした。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 デン侯爵家の馬車が、屋敷の玄関で止まった。


 身構える俺たち。

 

「いよぉ、花嫁強盗のみなさん、しばらく!」


 御者台の男が言った。


 ハングドマンをにらみつけるメイド長。メイド長の靴はこいつが壊したんだったな。


「何、こわい顔しなさんな。今日の俺たちはただの郵便屋さんだ」


 御者台から降りたハングドマンが、馬車の扉を開ける。


 中から降りてきたのは……。


 ダークエルフのロリな女の子だった。


 ローブを着てるけど、その下にゴスロリの衣装が覗いてた。


 ハングドマンのアロハといい、こいつらの服のセンスはなんなんだろう。


「エンプレスと申しますのじゃ」


 女の子が喋った。


 いまのじゃって言った? のじゃって。のじゃロリってやつか?


「本日は、我らが主人、デン侯爵家当主より書状を預かってまいりましたのじゃ」


 忠誠ヨーロッパでよくある、羊皮紙を巻いて、蝋で封印してある手紙。


 それをのじゃロリダークエルフが差し出してきた。


「どうか、お受け取りくだされ」


「確かにお預かりいたしました」

 と、受け取るメイド長。


「ありがとうございますのじゃ」

 と、のじゃロリダークエルフ。  


 馬車に乗る、のじゃロリ。ドアを閉めるハングドマン。


「それじゃ、俺たちは失礼するぜ。あばよ異界人!」


 ハングドマンが、御者台に戻る。


 馬車は再び動き出し、丘を下ってゆく。


「本当にただのメッセンジャーだったのか……」


 メイド長は受け取った書状の封をじっと見ている。


「御前様にお渡しします」


 念のため疾風を屋敷の上空に待機させ、俺たちは屋敷の中に戻ることにした。

 拙作はいかがだったでしょうか?

 続きは頑張って書きたいのですが、書く力を得続けるには、ポイントの力が必要です!!!


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