第105話 激闘! VSドラゴン!
ドラゴンの巨体。その影が俺達を覆う。
全力を出し切ってフラフラしている俺。動けないムトーさん。何を考えているのかよくわからないハウ。
突然現れたドラゴンは、俺達に叫び声を上げる間も与えてくれなかった。
ドラゴンの巨大な口が光りだし、牙の間からマグマみたいな赤い息がこぼれ、
ボアアアアアアアアアアアアアアアアーッ
ドラゴンは、灼熱の息、真っ赤に燃える息を俺達に吐きかける。
視界一面が真っ赤になるほどの熱線と熱風。
だが俺達はそれを浴びることはなかった。
間一髪、ハウが俺とムトーさんをひっつかんでジャンプしてくれたからだ。
襟の後ろをひっぱられて痛いけど文句は言えない。
華麗に着地するハウ。
受身を取るムトーさん。
ずでんと、尻餅をついて着地する俺。
皆慌てて岩の陰に身を隠す。
!
1/12ガーネットは!?
まさかあの炎の中!?
ええっ!?
ドラゴンの吐いた炎が晴れてきた。
もうもうとあたり一面に硝煙が立ち昇る。
その中にぽつんと小さいものが立っている。
1/12ガーネットだ。
俺は慌てて1/12ガーネットを俺の手に呼び戻す。シュシュッっと駆けてくる1/12ガーネット。
手に着地。
熱っ!
熱くて持てない!
持てないけど、溶けてない。煤はついてるけど。
どんだけ頑丈なのジークフリートアーマー?!
自分で作っといてなんだけど。
作るときに「これは竜殺しの英雄の鎧だからドラゴンの炎なんか平気で耐えるんだー」とかイメージしてたのがそのままの性能になってるよこれ……。
ドラゴンの口がもう一度赤く光った!
やばい!
と、同時に倒れこむドラゴン。
『ケェェェー、イャン、イャン、イャン!』
(中略)先生!
(中略)先生が体当たりをかましたのだ!
「ムトーさん!」
「まかせてくれ!」
飛び出すハウ。
倒れこんだドラゴンの顔面に飛び掛り、爪で一撃。
二撃、三撃、四撃、ガッ、ガッ、ガガガッと、連打、連打、連打!
効いてる?
「わからん!」
と、離脱するハウ。
「じゃあこれでどうだ!」
と、ムトーさん。
がつッ、がつッ、がつッ、がつん!
巨大くちばしで、倒れたドラゴンをつつきまわす(中略)先生!
まさに怪獣大決戦!
今言うことじゃないですが、ゲームのモーションそっくりですね。
『ゴバァ!』
さらに口から火の球を吐いてドラゴンに浴びせる(中略)先生!
強いぞ先生! これはいけるんじゃないか?
ブンッ!
ドラゴンは、身を起こしながら同時にしっぽをふりかぶってきた!
ゴッ!
しっぽになぎ倒される(中略)先生!
ああっ、(中略)先生ッの耳が、破壊された。
部位破壊!
(中略)は本物のゲームの中で、一定以上ダメージを受けると、耳が壊れるんだ。
そんなとこまでゲームを再現しなくてもいいじゃないですかムトーさん!
ドラゴンは、(中略)先生を踏みつける。
ハウが飛び出して、もう一度顔をひっかきにかかる。
それをハエでも叩くみたいにべちっと叩き落すドラゴン。
それを岩の陰から見ている俺達。
「くそう、(中略)じゃ、あのドラゴンには歯がたたないか!」
「もっと強いモンスター作ってればよかったのに……」
(中略)先生はゲームの中でプレイヤーが一番最初に戦うボスモンスター。ボスモンスターの中では最弱なのだ。
「だって僕が好きなモンスターなんだもの」
その時、俺達の背景が真っ赤になった。
ボアアアアアアアアアアアアアアアアーッ
ドラゴンが、ブレスを吹きかけてきたのだ。
身を隠していた岩がブレスに揺さぶられて燃える!
「カラスマくん! さっきのもう一回撃てないの?!」
「無理です。もうへとへとで……」
疾風も飛ばせないで、胸に入れているくらいだもの。
「回復薬とかないの!?」
「ゲームじゃないんですから!」
ブレスが止んだ。
と、同時にハウが俺達の隠れていた岩に飛び込んでくる。
「わからんッ!」
ハウはそのまま、俺とムトーさんを抱えると、ドラゴンに背を向けて走り出した。
すごいパワーだなこいつ。
ゴアアアアアアアアーッ!
当然追いかけてくるドラゴン。
ですよねー。
背の低いハウに抱えられてるだけなので、足が引きずられて超痛い!
やばい!
やばいぞこれは!
「あそこ!」
ムトーさんが指をさす! その先には洞窟があった。
飛び込むハウ!
ごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろーッ。
洞窟の中は入ってすぐ坂だった。入り口から下に向かって傾斜している構造をしていたので、俺達はそのまま、下に向かってすべりおちた。
あいてて……。
「みんな大丈夫か?」
と、ムトーさん。
「なんとか」
と、俺。
「わからん」
と、ハウ。
お前はどっちなんだハウ。
入り口が赤く光った。
ドラゴンがブレスを吐いてきたみたいだが、幸運にも炎は入り口のところで止まってる。
助かった。横穴になってるのかな。
「ここでカラスマくんの体力が回復するまで時間を稼げるかな……」
「体力というか精神的なものなんです……。必殺技を使うと精神力ががくっと削られるというか……。カラ元気でも出したいところなんですが……」
疾風を飛ばしてみる。
フラフラと、飛び上がって、ホバリングするだけで精一杯だ。
その時だ。
俺の右手がむんずと、ハウに掴まれた。
「なんだよハウ……」
ハウは上着のシャツをたくしあげると、
「えっ?」
掴んだ俺の右手をそのままシャツの中にずぼっとつっこんだ。
「「ええーっ!?」」
驚く俺と、ムトーさん。
というか直接? 生? マジで?!
俺の右の手の平に筋肉の上にのっかったたゆんとした暖かい感触がモロに伝わる。
ハウは、生で密着している俺の手の平を、その上から自分の手でぐいぐい押し付けている。
「た、確かにそれは元気がでるかもしれないけど……」
と、明らかにドン引きしているムトーさん。
「すいません、ムトーさん。俺、今、ものすごい勢いで元気出てます……」
「ええっ!!? そ、そうなの?」
と、さらにドン引きするムトーさん。
ホバリングしている疾風の推進力が目に見えてぐんぐん上がっている。
疾風の体から、オーラのようなものがほとばしってくる。
「ええーッ、本当にー!」
と、ムトーさん。
「ハウ……」
「わからん!」
「ハウ! お前の気持ちは、わかった! ……緊急事態だ! 他に打つ手がない! お前の気持ち、ありがたく頂戴するぞ!」
俺は残った左手を、ハウのシャツの中にズボっと入れた。
「いくぞハウッ!」
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