第101話 レジンを型に注ぎこむ~複製完成。
第101話 レジンを型に注ぎこむ~複製完成。
ベルン男爵邸。
工房。
工房には、メイド長と、ガーネット、ルナリア、ついでにハウ。俺と、ムトーさんがいる。
大きな制作机の上には、メイド長の靴を複製するために作ったシリコンゴムの複製ブロックが2つ置かれている。
「いよいよ靴を複製するか」
と、俺。
切り込みを入れた複製ブロックを、隙間ができないようにがっちりあわせ、ガムテープでぐるぐる巻きにして固定する。
うん。ぴったりはまったな。
次に注ぎ口からレジン液を注ぐ。
「レジンの樹液のオス液をA液、メス液をB液としようか、A液とB液を秤で計って両方均等になるようにする」
と、ムトーさん。
秤はキッチンにあったやつを使うか。
でかい紙コップを2つ用意し、A液とB液を入れて均等になるように図る。
OK。
これをビーカーに入れて混ぜるんだが。
「私がやってみてもいいですか?」
と、メイド長。
メイド長の靴を作っているわけだし、本人が出来るだけ制作に関わったほうがいいだろう。
「空気が入らないように気をつけて混ぜてね」
と、ムトーさん。
A液を先にビーカーの中にいれ、B液を入れる俺。
「さぁ、混ぜて」
「はい」
メイド長は棒で丁寧にすばやく、A液とB液を混ぜていく。
「なんだかお料理をしてるみたいですね」
と、ルナリア。
「メイド服着てる人がやってるから特になぁ」
と、俺。
「ここで、ミスリルの粉を入れよう。固まった樹脂に魔力を加えてくれるはずだ」
混ぜるメイド長のビーカーに、ミスリルの粉を入れるムトーさん。
A液とB液が反応し、こぽこぽ熱を出してきた。
「この液体はもう固まりはじめてるから、すぐにシリコン型の中に注ごう」
ビーカーを持ちあげ、それを注ぎ口に向けて傾ける俺。
ビーカーが熱を持っていてちょっと熱いな。
とろとろとろとろ……。
空気が入らないように慎重に、シリコンゴムの型の中にレジン液を注ぎこんでいく。
型の中が、レジンで一杯になった。
この工程を靴の左右で2回繰り返す。
「レジンが固まるまで、1時間くらいかかる。また休憩するか」
「みんなでご飯にしませんか?」
と、ルナリア。
「ごはん!」
と、ハウ。
「じゃあ、食堂に行きましょうか? 私がスープをつくるわよ」
と、ガーネット。
あの庭で生えてる食べられる草を入れたスープをムトーさんに出すのか?
勘弁してくれよ、御前様。
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工房。1時間後。
「美味しかったです。いやぁ、カラスマさんはあんな料理を毎日食べられてるのか。いいなぁ」
意外に好評、大好評だった。
ビーカーの中に残ったレジンはカチカチに固まっている。
これなら、複製型の中のレジンも固まった頃だろう。
複製型から、靴のレジンを取り出す作業に入る。
べりべりべりべり。
シリコンゴムのブロックを巻いたガムテープをはがす。
そして、シリコンゴムを切り込みに沿って左右に裂く。
めりめりめりめり。
ぶりん。
っと、中で固まった靴がでてきた。
レジンで複製したので、白い色をしている。ミスリルの粉の粒がキラキラ光ってラメみたいになっているな。
この工程を靴の左右で2回。
机の上には、メイド長が持っていた本物の羽うさぎの夫婦と、今複製して作った羽うさぎの夫婦がある。
色は違うが、そっくりそのままのものが2つ。
「すごい。同じものが、もう一つできちゃった……」
と、感心するガーネット。
「これが、レジンによる複製だな」
と、俺。
「あとは、この複製した靴のゴウレムを修理すれば、メイド長の靴が……あれ、メイド長?」
メイド長が、銀縁メガネを浮かせ、目元を押さえている。
「……うう」
泣きぼくろに、涙がつたっている。
メイド長が泣いていた。
「カラスマ。ムトー様。……ありがとうございます」
あの鉄面皮のメイド長が。無表情で俺をボコボコにした上、去勢しようとしたメイド長が。怪我をしてる俺のみぞおちに容赦なくエルボーを喰らわせるあのメイド長が。
泣いている。
「メイド長さん。泣くのはちょっと早いですよ」
と、ムトーさん。
「そうだよ、修理はこれからなんだ。泣くのはもうちょっと待ってよ」
と、俺。
「はい」
と、メイド長。
さて、メイド長の期待に応えるためにも、ここからが原型師の腕の見せ所だな。
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