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ヒーローは逃げられない  作者: なあこ
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prologue. それは出会いの前兆

 風の音以外聞こえない静かな場所。

 ぽっかりと空いた穴の淵に、二人の子供が立っていた。

 強く手を繋いでいる二人は、真っ黒な穴の中をじっと見ている。

 動くことなく穴の中を見ていた二人は、不意に小さく目くばせをして、穴の中に足を踏み入れた。


 安全地帯から踏み出した足。吸い込まれるようにして穴の底に落ちていく二つの影。

 強風が、二人の体に打ち付けられる。そっくりな顔をして、色違いの着物を着ている二人は、表情を映さない顔で一つ、呟いた。


「「…さむ。」」


 示し合わせたかのように揃った声は、風の音に搔き消されていった。

 双子は落ち続ける。


 ずっと、ずっと……


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