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夢見少年物語  作者: イノタックス
14章 それぞれの、秋と冬の

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69話 2日目の再会

「はい、文芸誌です。ありがとうございましたー!」


午前11時。ひたすら、文芸誌を配布する。

2日目も変わらず。


「連宮ー、文芸誌、ここに置いとくぞ」

「ありがと、優斗君!」


昨日ほど忙しくはないけど、それでも部室に来るお客さんの足は途絶えない。

間違いなく、呼び込みに行っている三上さんと美月さん、そして真菜……の3人のおかげだよね。

昨日の文化祭終わりのミーティングで、色々作戦を練った甲斐があった。


◆◆


文化祭1日目終了後、部室にて。


「うーん、チラシを今から作るのは難しいし、何よりお客さんの荷物になるから、これは無理そうだね。あとは……」


明日──文化祭2日目のために行った作戦会議。

でも、どうもうまく進まない。


テーマは『今日と同じくらい、お客さんを呼び込むには』。

文学部の文芸誌を求めてきてくれる人は、ほぼ間違いなく、1日目に来るだろう。早く手に入れたいはずだし。

だから2日目は、確実に客足が遠のく。……という三上さんの予想は、このままいけば間違いなく、当たる。

だから始めた作戦会議なのだけど、あまり納得のいく案が出ない。


「あとは、えっと……なんだろう、もう出尽くした気が」


三上さんも美月さんも、優斗君までもが案を出してくれた。

もちろん、僕もいくつか案を出した。さっきの『チラシを配る』ってのもその一つ。

でも、三上さんの言う通り、問題があった。……む、難しい。


「あ、あの」

「真菜?」


おずおずと、真菜がその口を開く。


「真菜ちゃん、何か案、思いついた?」

「はい、一応……」

「どんなことでもいいから、言ってみてくれると嬉しいよ」

「……! は、はい! えっとですね」


そういえば、まだ発言していなかった。発言『は』していなかった。

ずっと何かを考えているようだったけど、一体何を?

『皆さんが気にならないなら、の話ですが』と前置きをして、真菜が提案する。


「文学部が『部』ではなくなるということを、あえてアピールしてみる……というのはどうでしょうか」



「それを、アピールするの?」

「はい、美月先輩」


提案は、続く。


「文学部が『部』ではなくなる。──つまり、次回の文化祭からは『文学部』の出し物はなくなる、ということを伝えてみるんです」

「……なるほど」


三上さん、納得がいった様子。


「今回の文芸誌に、貴重性、みたいなものをつけてみるってことだね?」

「はい! 興味がなかった人も、そこに惹かれて文学部の出し物に来てくれるのでは、と思ったんです。ただ、人によっては『同情』で来てくれる人もいるでしょうから、そこの問題が……」

「うん、自分は真菜ちゃんの意見、すごくいいと思うよ」

「ほ、ほんとですか!?」


真菜、三上さん──というか『部長』に褒められて、すごく嬉しそう。


「同情で来てくれる人も、文芸誌を受け取ってくれるなら、大事なお客さんだ。そういう人も夢中にさせちゃえるような文芸誌を作ったでしょ? 自分たちは、さ」

「は、はい!」

「うん、その意見を採用しよう。明日までに呼び込みの言葉を考えておくよ。……みんな、明日も一日、頑張ろうね!」

「はい!」


真菜に続き、僕たちも元気に返す。


◆◆


午後1時半、部室にて。

三上さんたちの呼び込みのおかげで、午後1時には文芸誌を予定していた冊数分、配り終えることができた。

2日目の終了時刻は午後3時。それまでまだ時間があるけど、『文芸誌の配布は終了しました』という立て札を部室の外の廊下に置いて、残りの時間はゆっくりすることに。


「休んじゃってて平気なのかな」

「大丈夫だよ、連宮君。運営委員会には報告してきたから」

「ああ、それなら大丈夫だね」


『予定していた冊数配り終えたため、早めに切り上げたい』と運営委員会に言ったところ、承諾してくれたらしい。目標に達していることを評価もしてくれたんだとか。

というか、いつの間に報告を? ……ああ、お昼を買いに行ったとき、三上さんの姿がなかったなーそういえば。

何も言わずに済ませるなんて、さすが文学部部長、頼りになる。


「ごちそうさまでした。さて、片づけを始めようか。今からやったら早すぎるかもだけど……ん?」


廊下からの物音に、三上さんが反応。

物音というか、話し声。……あれ、この声って!



『うーむ、連絡なしで来たのは失敗だったかしら』

『驚かせようと思ってたんですけどね。まさかもう、配布終了してたとは』

『でもまあ、校内にはいるんじゃねえか? 多分だけどよ。連絡してみようぜ』


う、うわー! 来てくれたんだ!

……って、喜んでる場合じゃない。早くドアを開けねば。

僕が椅子から立ち上がるのと同時、三上さんも立ち上がって、僕と一緒に廊下へ続くドアの元へ。

美月さんは……誰が来たのか、真菜に説明してる。

ドアのカギを開け、ガラガラっと勢いよく開けると。


「ありゃ?」

「お、開いた」

「おぉ、ひさしぶりだな!」


廊下に立っていたのは、懐かしの人たち。


「「おひさしぶりです、橋崎先輩、安喰先輩、五十嵐さん!」」

「ええ、ひさしぶりね、連宮君、三上さん」

「しばらくぶりだね、元気そうで何よりだよ」

「君たちの顔が見たくなってね、俺も来ちゃったぜ!」


昔と変わらない笑顔の、すっごく素敵な先輩たちが、そこにいた。

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