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夢見少年物語  作者: イノタックス
8章 高校2年、始まり

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43話 月夜野兄妹

「お、お兄ちゃん? なんでここに──」

「いやぁ……ただ通りかかって」


思いっきり目をそらして答えている。

あれ、ちょっと変だよね。一応言っておこう。


「ここ、南校舎1階の一番奥だよ?」

「うっ……」

「……お兄ちゃん?」

「そんな顔で見るなよ、美月ぃ。……悪かったよ、盗み聞きしてて」


妹に睨まれて、すぐさま謝る月夜野君。

盗み聞きされてたのか……って、一体どこから!?


「えっと、月夜野君。その──どのタイミングから聞いてたの?」

「『タメ口で話しましょう』くらいから」

「ああ、そこからね」


そこから聞いたのなら、僕と三上さんの秘密はバレていないはず。


「本当に悪かった。……美月が連宮たちとちゃんと打ち解けられたか、心配で来ちまったんだ」

「僕は怒ってないけど……月夜野さんは」

「……はぁ、仕方ないなぁ」


かなり反省しているようで、俯いている月夜野君の元へ歩き、月夜野さんが優しく話す。


「心配してきてくれたんでしょ? だったら──怒れないわ。ありがとね、お兄ちゃん」

「美月……!」


──本当に仲がいいんだな、月夜野兄妹。

それはそうと、一つの疑問が僕の頭の中に存在していたので、訊いてみる。


「なんで月夜野さんがここに来るって知ってたの?」


サッカー部の練習もあるはずなのに、なんで来れたのか、ってことも分からない。


「サッカー場に来た根原に教えてもらったんだよ。今は休憩中だから来れた、ってわけ」

「なるほど」


月夜野さんをここに連れてきた以上、月夜野君にも伝えておこうと思ったのかも。

こんなに時間差があったことの説明も、サッカー場が少し離れた場所にあるから──ということで片付く。


「そろそろ休憩終わる時間だし、俺はもう行くよ。……美月をよろしくな、連宮、三上」

「うん!」

「任せて~」


僕と三上さんの返答に満足したらしく、月夜野君は部室を飛び出していった。


「よし、執筆に入ろう!」

「ああ!」

「しっかり見学しますー!」


月夜野君の妹想いな一面を見れた、そんな高校2年初日だった。


◆◆◆


翌日は入学式だったので、僕たち2年生と3年生はお休み。

始業式から2日後、木曜日。午後2時。


「来ないですね……」

「呼びかけ、頑張ったんだけどね……」


僕と部長は、部室で椅子に座り、テーブルにぐたーっと倒れこんでいた。

新入生への部活入部の呼びかけを終えた後。……なのだけど、文学部に見学しに来る新入生はいなかった。

──そのタイミングで、部室のドアがノックされた。


「は、はい! 今行きますー!」


ダッシュでドアまで行き、ドアを開けて生徒を部室へ誘導する部長。

──新入生ではなかった。


「見学の人ですよね!? どうぞどうぞ、ぜひ見学していってくださ──」

「部長、その人が月夜野さんです」

「君が月夜野さんか! 連宮君から話は聞いてるよ、ゆっくりしていくといいよ」

「は、はい! 月夜野美月です、今日はよろしくお願いします!」


月夜野さん、やっぱり少し緊張気味。

先輩と話すのにも、慣れていないのかな。


「じゃあ、今日も書き始めようか」

「はい、部長。ああそうだ、月夜野さん。三上さんはもう少ししたら来るからね」

「うん、分かった!」


2年生だけど、部長も歓迎してくれた。

月夜野さんも加わって、もっと賑やかな部活になりそう!


──新入生に入ってもらいたい気持ちも、ないわけじゃないけど。

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