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夢見少年物語  作者: イノタックス
3章 根原家の事情

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15話 中央病院へ

翌日、金曜日。


「……ふわぁ」


ゴールデンウィーク初日。

一晩寝ても、気分は優れないまま。

枕元のスマホで、時間を確認する。


「7時、か」


三上さんたちとの約束の時間は、10時。

まだ、だいぶ時間がある。


「……起きよう」


寝ていても、気分は優れない。

起きて、宿題でもしていよう。


◆◆◆


「ごちそうさま」


母さんと2人で朝ごはんを食べ、食器を片付け、廊下へと出るためにドアを開けると。


「おお、おはよう奏太」

「おはよう、お父さん」


起きてきたお父さんが、そこにいた。


「休日なのに、今日は早いね。部活に行くのか?」

「ううん、部活は休みだから、友達のお見舞いに」

「お見舞い?」


──お父さんたちには、根原君の容体に関する情報は行っていないみたいだ。


「入院した友達がいるんだよ」

「そうなのか……病気か?」

「多分そう。詳しいことは僕も知らないから、今日聞いてこようと思って」

「なるほどな。元気だといいな」


そうだね、と返して、僕は部屋へと戻るため、階段を上っていった。


◆◆◆


「お! つれみー来たね!」

「おはよう、高波さん、三上さん。もしかして、遅れちゃった?」

「いや、まだ集合時間5分前だよ。自分は高波さんに呼び出されたから、15分前に来ちゃってたけど」

「呼び出されたの?」


一体、なんで?


「暇だったから!」

「随分シンプルな理由で……」


さすが高波さん、といったところか。


「それじゃ、出発しようか。中央病院だから、歩きでいい?」

「うん、大丈夫だよ」


ここから15分ほど、駅とは反対方向に歩いたところにある、中央病院。

風邪を引いたときとかに、何度かお世話になったことがある。

割と大きめの病院だ。


「よし、しゅっぱーつ!」


高波さんの合図で、僕らは中央病院へと歩き出した。


◆◆◆


「そう言えば、つれみー」

「ん、なに?」


歩き始めて5分ほど経った頃、高波さんが僕に訊いてきた。


「昨日のこと、お父さんたちにはバレなかった?」

「うん、バレなかったみたい」

「……つれみーは、隠したままで辛くないの?」


──的確に、痛いところを突いてきた。


「本当は三上さんみたいに、隠さずに、正直になったほうがいいんだろうけど……まだ早いかな、って思っちゃって」

「なるほど。その感覚は分からないけど、つれみーにはつれみーのタイミングがあるだろうからねぇ。気長に頑張れば、いっか!」

「うん、そう思うよ」


思ってる。

思ってはいるのだけど、やっぱり不安だ。

この先、僕は両親と妹に、僕のことをちゃんと話せるのだろうか。


「連宮君なら、きっといつか、話せると思うよ」

「え……」


僕の気持ちを知ってか知らずか、三上さんが、そんなことを言ってくれた。


「連宮君は自分の親を説得してくれた、だから、って言うのも変だけど……連宮君が話すときには、自分も力になるよ」

「──あ、ありがとう」


とても頼りになる。


「お、見えてきたね」


住宅街を抜けると、中央病院が姿を現した。


◆◆◆


受付で『根原悟君のお見舞いに来たのですが』と言ったら、すんなり通してくれた。

既に面会の時間にはなっていたので、僕らはエレベーターに乗って、5階へ向かう。


「案外スムーズに来れたね」

「だねー。もっとややこしい手続きとか、あるんだと思ってたよ。指紋認証! ……みたいな」

「高波さん、どんなSFの病院を想像してるの……?」


度々思うけど、不思議な思考回路してるよね、高波さん。


「根原君、元気かな……」

「もう少しで分かるから、そんな暗い顔しないの。担任の話じゃあ、容体は安定してるみたいだし、大丈夫じゃない?」

「だといいんだけどね……」


不安なものは不安なのだ。


◆◆◆


5階に到着し、根原君が入院している512号室へ着き、扉をノックする。

中から『はーい』と低い声。根原君ではないようだけど……?


「失礼します」


ドアを開けて、入る。


「えっと、どちら様、かな?」

「根原君のクラスメートの、連宮です」

「ああ、クラスの子だったか」


すごく納得している様子。


「同じく、三上です」

「高波ですー」

「おや、3人も来てくれたんだね。ありがとう、息子のために」


──ああ、根原君のお父さんだったか。


「いえ、友達ですから、当然です」


根原君は、僕の大切な友達だ。

お見舞いに来るのも、当たり前だろう。


「──へえ、悟に友達、か」

「……?」


根原君のお父さん、随分と驚いている。

理由を訊こうとしたところで、ようやく思い出した。


──根原君にとっては、僕が初めての友達だったんだ。


「はい、友達です」


だから、ここはしっかりと言っておかなければいけないだろう。

僕は、根原君の友達なのだから。


「……えっと、連宮君、どういうこと? 随分驚いているようだけど」

「友達だってことだけで、そんなに驚かなくてもいいと思うよねぇ」


案の定、2人とも疑問を抱えていた。

こういう事態だし、教えても大丈夫だよね。

この2人なら、変な噂が立つこともないだろうし。


「僕が友達になるまで、根原君、友達がいなかったらしいよ」

「……」

「……え?」


こちらも、案の定。

三上さんはそうでもないが、高波さんは──相当驚いていた。

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