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桜の舞う頃に  作者: 銀命
二年 一学期
73/79

翌日談

「え、えっと...じゃあ帰るね。」


彼女が僕に返事をくれてから3分ほどが経っただろうか。江藤さんはそう言ってきた。

その3分程の間に何をしていたのかといえば何もしてないというしか無かった。だって実際そうだし。

江藤さんはそれまでの緊張の余波から、僕は嬉しさからひたすら突っ立っていた。見つめあっていたとも言う。うん、後者の方がいいね。結果的にそうなってただけだけど。

そしてふと我に返った江藤さんが帰宅宣言をしてきた。要はただの帰りの挨拶だ。


「うん。じゃあバーー」


ふといつも通りにバイバイと言いかけたが、何だか「バイバイ」とか「さようなら」というのはもう会えなくなってしまうような気がした。今までは気にならなかったが一度思うと後生の別れのように思えてならない。


「またね。」


うん。これがいい。言いかけたバイバイとかさようならは大原に言ってやろう。むしろあいつにはそっちの方がぴったりだ。最近大原に対する扱いがどんどん雑になってる気がするけど気にしない、気にしない。

でもまぁいろいろ助けてくれてはいるからな、前言撤回だ。僕の決意がとても軽いなとか思わなくもないけどそれはそれだ。

今日は気分がいいからね。大抵のことは許せそうだ。あ、でも前うちに来たときに大事に飲んでた牛乳を全部飲んでったのは許さない。やっぱあいつには「さよなら」でいいや。



そんで翌日なわけだけど。

やっぱり正式にお付き合いさせて頂くこととなるとなんだか気分が違うものだね。昨日会ったばかりなのにもう会いたくなってくる。これは以前からだけど。

どうしよっかなー?昨日の今日で会いに行くってのは引かれるかな、やっぱり。でも会いたいものは会いたいしな。むしろこの夏はよく今まで会わずに過ごせたなというぐらいだし。

よっしゃ行っちゃえと思ったがふと思い出した。確か今日は江藤さんは夏期講習があるから会えなかったはずだ。念のため手帳を取り出してみるけどやっぱりそうだった。残念無念。こればかりは仕方がない。

あちゃー。しょうがない、宿題でもやるか。

ちょうどそのときチャイムが鳴った。大原特有の鳴らし方だ。あれ煩いことには煩いんだけど一発で大原だって分かるのは利点でもある。煩いけど。何度でも言おう、煩いけど。


「ほらほら、お前の心を癒しにきてやったぞ。ってもう必要ないみたいだけどな。」

「見てわかるのか。」

「あぁ、お前が自主的に宿題をするなんてよっぽどだもんな。でもまあ傷ついた時にはある種有効だしな。ひたすら無心になるのは。」

「...一応言っておくが振られては無いからな。」

「そうか...ついに妄想までしだしたか。」

「人の話を聞けよ。」

「聞いてるじゃんか。え、まさか万が一にでもありえないとは思うけど承諾されたのか?」

「思いっきり疑ってんじゃねえっての。そうだよ。」


自分で言ってるとだいぶ恥ずかしいなこれ。

それから昨日の彼女とのやり取りを大まかに教えてやった。僕としては事細かに、それこそ1日かけてでも語りたいぐらいだったけど相手が大原だったからな。こいつにそこまでしてやる義理はない。今だって貴重な牛乳飲んでるし。次お母さんが買ってきてくれるの明後日だってのに。


「ふーん、恋を教えてほしい、ね。」

「うん、まぁ思い出すとその台詞が物凄い気がかりなんだけどまぁいいか、とね。」

「まぁ付き合ってもらえるだけ良かったんじゃないの。お前なんかが。」

「お前人のこと思いっきり馬鹿にするなおい。」

「だって事実じゃんか。じゃあ言ってみろよ、お前のPRポイント。」

「ぐ...真面目?」

「どこがだよ。あー、もうほらいいからとっとと宿題再開しとけ。」


それでも何だかんだ言いつつ最後に小さく「まぁ、おめでとな。」とか言ってくるからずるい。きっと学校のみんなはこういうのを見てこいつの事をツンデレとかギャップ萌えとか言ってるんだろうな。陰でよく噂されてるよ。知ってるやつが少なすぎて都市伝説レベルにまで信じられてないけど。

ちなみに宿題はちゃんと終わった。大原のおかげでってのが若干気になるけど。

今回の題名は最初後日談にしようと思っていたのですがそれだと最終回っぽいと思ったので苦肉の策でこうなりました。ちなみにまだまだ続きます。

最近は台風が多いですね。特に東北・北海道の方々と熊本のあたりはとても大変なことになっています。

非力な私に出来ることはせいぜい募金ぐらいかもしれませんが微力でも力になれたらな、と思います。

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