お返事
「お話があります。」
彼女はそう言おうとしたのだろう。だが実際には「お話がありまふ。」だった。
珍しく噛んでた。珍しく噛んでた。とても大事な事なので2度言いました。はい。とても可愛い。もともと赤みがかかっていた頬が違う意味で赤くなって小さく言い直してる所がよりグッドだ。
現実逃避だけど。
ああもうこれ言われるパティーンだね。
拒否されるんだろう。
拒絶されるんだろう。
改めてそう思うと自分の思考にスッと染み込むような感じがしてあっさりその事を受け入れられた。今まで何度も否定して逃避して拒否してきた事だったのに。本人が目の前だからだろうか。
何にしろあっさり心の整理がついたのは良いことだろう。まぁこれまでに1ヶ月以上かかったからあっさりと言えるか分からないけど。多分言えないか。
思考が1段落着いたのを見計らったかのように彼女は再び口を開いた。
「カズ君が私の事を好きだと言ってくれて嬉しかったよ。お返事に1ヶ月以上かかっちゃってごめんなさい。
「これだけ時間かけちゃったからまず最初にお返事をするべきなんだろうけど、その前に私の話を聴いて下さい。
「私が文芸部に所属してから色々な話を書いて来ました。その中にはミステリーも有れば日常物も有った。そして当然恋愛物も。
「けれども恥ずかしい事に私には愛とか恋とか好きだという感情がよく分からない。
「私だって今まで色々な恋愛物の小説とかも読んできたよ。でも。でもね、読んでいて思うの。結局、恋と友情は何が違うのかなって。
「沢山お話したいという思いも、相手が幸せになって欲しいという思いも友達にだって抱くものでしょう?
「それで以前、学校で友達に聞いてみたの。そうしたら彼女の答えは『友情とは何か違くないかな?具体的にこうとは言えないけど。』だって。
「他の子にとっては考えるまでも無い事なんだろうね。けれどやっぱり私には分からないの。
「だからーー」
彼女はここまで一息とまではいかなかったけれども、一纏めに告げてきた。肺活量どうなってんだろう。
そして次の言葉には躊躇いがあるのか1度喋るのを止め、深呼吸をしだした。
…案外ただ息が持たなかっただけかも知れないけど。
ちなみにいつもより口調が硬いのは予め考えてたセリフだからだろう。頑張ってなるべく自然に話そうとしてるけど、言葉の端々がやっぱり硬いままだ。
でも、ようやく彼女の思っていた事が聞けた。感じていた事が聞けた。
ここまで言われれば流石の僕にも分かる。
というか最初から分かっていた。
納得したはずだったんだけどなぁ…改めて本人の口から言われると心に来るものがある。
それでも受け入れなければ。心を騙して偽って演じてでも受け入れなければいけないのだろう。最初から分かってた筈なのに。なのにどうしてこんなにも辛いのだろう。
これが恋だと言うのなら。ならば僕はもう恋をしないだろう。これだけ辛いのはもう嫌だし、なにより江藤さん以上に恋焦がれる人などもう居ないだろうから。
だからこれが最初で最後の恋だ。
初恋であり、最後の恋だ。
だからもう諦めよーー
「だから、私に恋を教えて下さい。」
ふぇ?
え、なに?つまり詰まる所結局どういうこと?
「えと、どういうこと?」
「えーと、コホン。恋って感情はまだ良く分からないけど、別に恋愛したくないわけではないの。だから私に恋という感情を教えて下さい。こんな私で良ければお付き合いさせて下さい。」
これは何だかちょっと微妙だけど。でも…
心の底から嬉しさというか何だか暖かいものが広がってくる。
ついさっきまで諦めていただけに余計に嬉しい。
好きな人と付き合えるってこんなにも幸せな事なんだなぁ。
こんな幸せな気分になれるなら。今まで生きてて良かった。
たとえ現世の幸せを全て使ったのだとしても。神様、ありがとう。
何だか最後のセリフがあまり上手く表現出来た気がしません…後々いろいろ考えてみてこれ以上にしっくり来るのがあったら変えるかもしれません。
あと江藤さんのお返事セリフが見づらかったらすみません。線対称で点対称な作者名のあの方の書き方を意識してみました。
それにしてもデートスポットとか分からないorz…どうしよう




