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桜の舞う頃に  作者: 銀命
一年 三学期
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私の好きな人

私は宮野麗。中学三年生で、もうすぐ卒業する。

私には思い人がいる。

文芸部の後輩だ。

彼は一年生だから私が卒業してしまったらもう会うことはほとんど無くなるだろう。

もちろんこれからも時々顔を出すつもりではいるから、全く会えなくなるということにはならないだろう。

けれども、会える機会が今よりずっと減るのは間違えない。

だから・・・だからこそ、私が卒業するまでにはいつか告白と言うものをして、これからも共に過ごしたいと思っていた。だけど、な。


告白ってこんなにも緊張するものなのだな。

とりあえず合唱コンの後にカズを連れ出した所までは良かったのだが、そこか先が言葉が全く出てこない。

さっきからずっと「えっと」しか言ってない。

そんな風に自分の思考は冷静なのに言葉は全くでない。

そんな時、いきなり


「何ですか?直接手は貸しませんけど、自首の付き添いぐらいならしますよ?」


なんて言い出した。

思わず「はっ?」と間抜けな声を出してしまった。

いきなり何を言い出すのだカズは。自首?私が何かやらかしたと?

やっぱりカズは面白い。そんなところも好きだ。

だが、カズのおかげでいつの間にかすんなりと言葉が出て来た。


「いや、カズが何を考えているのか知らないけど。その、言いたい事は、な。ずっと前からカズのことが好きだったってだけだ。」


自分でもあっけないほどにあっさりと言葉が出て来た。

どころか言葉が出てき過ぎた。


「どうせ相手にはされないんだろうけどな。んじゃ、それだけだ。言いたかっただけだから気にしなくていいぞ。あ、後来年からはさゆりが部長だからな。間違えないよう気を付けろよ。それとちゃんと支えてやるんだぞ。あいつはなんでも一人で抱えこむからな。」


何を言っているのだ私は。

これではまるで最初から好かれていないと思っていたみたいじゃないか。

そんな訳ないだろうに。

私はカズと共に過ごしたくて・・・

いや、もうやめよう。

本当は私も分かっていたはずだ。

カズが好きなのは私ではなく江藤なのだと。

初めから彼の視界には江藤しか映っていなかったのだと。


四月

私はカズと出会った。

私が最初に彼のことを知ったのは部活紹介だった。

私が紹介役として前に出たとき、彼のことが視界に入った。

なにあれカワイイ。

それが彼の第一印象だった。

実際彼はまるで小動物のようでとてもかわいかったし、今でもそう思っている。

彼が文芸部に来てくれると嬉しいな。

そう思ったのを今でも覚えている。

その後彼が入部してくれた時にはうれしさで頭が真っ白になってしまい、彼の名前を忘れてしまった。

とっさに何とか自然に振る舞えたが、あの時はあれが限界だった。

今ではもう少しマシに振る舞えるようになったかな。


しかし、その帰り道は江藤と一緒に帰っていたからまさかとは思って江藤と別れた後少し鎌をかけてみたら案の定反応があった。

彼が好きなのが江藤だと気づいたのはあの時からだったか。

あの時は大分ショックだったな。

その後軽く釘を刺しておいたけど、それでもあの後は結構悔しかったな...


五月の体育祭でカズが必死に走ってる姿は本気で可愛かったな。

転びかけてるときには思わず声を出しちゃったっけ。

そういやその後のテストでは酷い点数だったらしいな。

そんなところもやっぱり可愛いよな。


六月にはあまりカズと会えなくて無理矢理部誌の発行回数を増やしたな。

結局彼と会える回数は増えたけど、その代わり江藤との仲も深まっちゃったんだよな。

あれは失敗だった。

とはいえ私が言い出しっぺだったから引っ込みがつかなくなってまた悔しい気持ちになった。

私のアドバイスの仕方が悪かったのかな。あの時もっとうまくアドバイスができていれば、少しは違ったのかな。


夏休みにはお父様とちょっと喧嘩してもやもやしていたから癒しを求めて無理矢理合宿を作った。

クジではカズが江藤と一緒になったんだよな。

ちゃんと細工しておいたはずなんだけどな。

でも夜にまた会えたのは嬉しかった。まぁカズが出て行ったのが見えたから私も付いて行っただけなんだけど。

でもあの時はっきりカズの口から江藤が好きだと言われてなんか嫌な気分だったな。


その後にもカズに会いかったけど二人で行くのは照れ臭かったから文芸部のみんなで遊園地に誘った。

江藤はカズが好きであるという点を除けば普通に良い奴だからな。あれはあれで皆で楽しかったな。


二学期になって今度は水族館なんかに誘ってみたけど、さゆりにカズに構い過ぎて勉強の方がおろそかになっていると言われて無理矢理ドタキャンされられたんだよな。

あの時はムカついたけどさゆりも間違っては無かったんだよな。でも寂しいことには変わりなかったけど。

かわりにスキー教室や冬休みにはいっぱい遊んだし、プラマイゼロだ。


三学期はみんなで部誌の発行をした。

最後にはカズと二人になれるかと思って準備をゆっくりやったのにさゆりに私の分までやられちゃって早く帰ることになっちゃったんだよな。このころにはもう大分勉強の方は持ち直してたのに。

代わりに配布の時はカズの分まで多く配ってあげたりして。

それでも早く終わったからそのあとはカズを見てたけど、あの時のカズには惚れ直した。

あれだけ文芸部のことを考えてくれているだなんて思ってもみなかった。

あれは嬉しかったな。



たった一年だったけど、その一年でこれだけたくさんの思い出があったんだ。

ああ、やばい。

思い出したら涙が出て来た。

どうせ最後だ。せめてカズが傷つかないようこのまま去ろう。

このまま会わなければカズもあっさり忘れられるだろう。


「んじゃあこれで。じゃーな。」


これで、お別れだ。

ちなみに部長さんがいつも遅れてやってくるのはカズの前に行くのに心の準備が必要だからです。実際には一番早くやって来ています。

部長さん視点の一年間はもう少し細かく書きたかったのですが、全体の量などから減らしてみました。

次回はカズと部長さんのお話合いです。

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