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桜の舞う頃に  作者: 銀命
一年 三学期
48/79

合唱コンクール 後編

さて、全クラスが終わった。

何というか・・・結果は分かり切っている気しかしない。

まず女神さまのいる二組は優勝確定だとして、僕のいる三組最下位で決まったかな。良くて下から二つ目だ。

まぁ別にどこが二位になろうがどうでもいいんだけどさ。

勝ったところで何もないし。


そんなことを考えていたら結果発表が始まった。

各学年上位二位のみの発表だ。

まずは一年の二位から。


「一学年の二位は...二組です。」


なん...だと。

いやいや、おかしいでしょ。女神さまのいらっしゃる二組が二位とか。

大原の奴どれだけ足引っ張ってんだよ。

というか二組が二位なら一位はどこだって話だし。

僕の困惑に構うことなく結果発表は淡々と進む。


「一学年の一位は...三組です。」


わおびっくり、我らが三組でした。

どうしよう江藤さんに合わせる顔が無い。

いや、まあ本人はそこまで気にしていないという可能性もあるけど。僕みたいに。

僕の周りがわっと沸く。

とはいえいくら気にしても仕方ない。

心に引っかかる部分もあるけどここは一先ず喜ぼう。他のクラスメイトにも悪いし。

そう思ったらなんだか少し気が楽になった気がした。

そうだ、考え方を変えればいいんだ。

大原の奴のクラスが負けたと。

うん、これなら全く気にならない。




「では、これで合唱コンクールを終わります。」


こうして僕らの初めての合唱コンは終わった。

このまま江藤さんを付けつつ帰ろうかと思っているとき、部長さんに呼び止められた。


「おーカズ。この後暇か?暇だな。よしじゃあちょっと来い。」


勝手に暇だと断言された。

間違ってはいないんだけどさ。

というかそもそも僕の日常から江藤さんの観察という予定を除いたら何も残らないくらいには常に暇なわけだけど。



「うん、この辺りでいいかな。」


部長さんが一人呟いている。

僕は学校の裏に連れてこられた。

一体僕になんの用だろうか。

人前で言えない事...犯罪計画?

いやいや、やるなら一人でやって欲しいものだ。僕まで巻き込まないでほしい。


「あの、さ。カズ。後一週間ほどで卒業だから言うだけ言っとこうと思って。こんなこと言ったらヘンに思うかもしれないけど...その...」


珍しく部長さんが口ごもっている。

何でもはっきりというのに。


「何ですか?直接手は貸しませんけど、自首の付き添いぐらいならしますよ?」

「はっ?」


しまった。間違えた。

流石に部長さんが犯罪に手を出すことは無いか。

お嬢様だし。

いや、でも厳しく躾けられて逆に、という話も...


「いや、カズが何を考えているのか知らないけど。その、言いたい事は、な。ずっと前からカズのことが好きだったってだけだ。どうせ相手にはされないんだろうけどな。んじゃ、それだけだ。言いたかっただけだから気にしなくていいぞ。あ、後来年からはさゆりが部長だからな。間違えないよう気を付けろよ。それとちゃんと支えてやるんだぞ。あいつはなんでも一人で抱えこむからな。んじゃあこれで。じゃーな。」


それだけ言って部長さんは去っていった。それだけ、というには多すぎる量だけど。

えっと...?

あの部長さんが?

なんで僕に?

部長さんとの思い出が次々と出てきた。

夏休みの合宿、遊園地、スキー教室にクリスマス、大晦日にそして何より文芸部としての日々。後なぜか水族館。

もちろん僕が部長さんのことが好きかと聞かれればイエスだろう。だがそれが江藤さんを上回ることは、ない。あくまで先輩として、だ。

それを恐らく部長さんは分かっていたのだろう。


部長さんの最後のセリフは本来卒業式などで聞くセリフだ。

それを今言ったということは...これからは僕を避けるつもりなのだろう。

自分が上回ることはない。だから振られる。確かにそうだっただろう。

だけど...だけど、それは僕が言うべきことだろう。

僕だっていつかの移動教室での彼女はともかく、部長さんのようにあれだけ純粋に思ってくれる人を拒むのは辛い。

部長さんはそれを察して自ら離れて行ったのだろう。あの人は賢いから。そうすれば僕が傷つくことは無いと思って。

確かにそれに気づかなければ僕だって楽ではあっただろう。

でも、それは避けちゃいけないことだと思う。

僕が、直接言わなくては。

次回は部長さん視点の閑話です。

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