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桜の舞う頃に  作者: 銀命
一年 三学期
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バレンタイン

今日は二月十五日。月曜日だ。

ここまで言えば僕が何を言いたいかお判りでしょう。

そう。バレンタインだ。

一応本来のバレンタインは昨日だけど昨日は日曜だったから実質今日であると言えるだろう。


周りの男子たちはこの貰えるチョコの数を競い合っている。

だが僕はそんな事には興味ない。

問題は江藤さんがどうするか、だ。

もちろん僕が貰えるか否かも大事だ。だが、それ以前に女神のごとき江藤さんが他の野郎共に配るかどうかだ。

これはとても重要なことだ。

起こりうる事態は三通り考えられる。


その一。江藤さんが誰にも配らないとする。

それは平和的であると言えるだろう。


その二。身近な人のみに配る。例えば文芸部員とか。

これはとても僕にとってうれしい状況と言えるだろう。


その三。周囲の人全員に配る。つまりクラスメイト全員に配る状況だ。

これはこれで平和的なのだろうがとても複雑な気分だ。


僕としてはその三だけは絶対に起こらないでほしいところだ。

その二であることが一番望ましい。(ぼくにとって)

そして幸運なことに今日は月曜だ。

つまり文芸部がある日である。

よってより起こりやすい日である。と思う。

はぁ。一体どうなるのだろう。

一応今まで観察してきたデータから何となく思考の傾向を読むこともできるが、それはあまりにも夢が無いというものだろう。



さて、昼休みになった。

今日は普段以上に江藤さんの動向に気を付けて行動してきた。

特に休み時間は一秒たりとも目を離さなかった自信がある。

しかし、いつも通り机から離れることは無かった。

よってその三は防がれたと思って大丈夫だろう。

残る可能性はその一と二だが、一体どうなることやら。

普段の鞄よりわずかにふくらみがあるような気もするのだが、考え過ぎな気もするし...

よし。ここは気長に待つことにしようじゃないか。


放課後になった。

今のところ誰にも渡していない。

これはひとまずほっとしたというところだろう。

なにせ他の人には誰にも渡さなかったのだから。

これで僕も貰えないとしてもまぁいいというところだろう。

ちょっぴり残念ではあるが、仕方がないと言える。

闇雲に誰彼構わず渡されるよりよっぽどましだ。

江藤さんが女神ともいえるその親切な心でクラスメイト全員に配る可能性もなきしにもあらずといったところだったし。

ところでさっき帰りの準備をしようとしたら鞄がやけに重いと思ったらチョコがいっぱい入っていた。

はっきりと数えたわけじゃないが十五くらいではないだろうか。

名前があるものにはきちんとお返しをしようと思うが、中には無記名で入っているものもあり、どうしようか迷う。

貰いっぱなしだとなんか借りを作ったみたいで気になるのだ。

まぁ江藤さんからではないことは自明なのでどうでもいいけど。

というか義理とさんざん銘打ってあったのだから本気でどうでもいい。

というわけで急いで江藤さんを観察しに行かねば。


ってな訳で今二組の前に来たわけなのだけど、信じたくない光景があった。

江藤さんが大原に渡していた。

何を?チョコを。

・・・よし、Uターンだ。

一旦クラスに戻り、再び二組に戻る。

うん。江藤さんはもういない。

大原のみだ。


「おい、大原ちょっと来い。」


全力の笑顔で呼び出してやった。

大原は苦笑しながらやってきた。


「さすがに男子から、しかもお前から貰ってもな...いや、お前なら有りか?」

「用件は分かってんだろう?」

「もちろん。お前が動くとなればこれだろう?」


そういって見せて来た。

そこにはそこら辺で適当に買ったのが分かる百円もしないチョコがあった。


「これをあげるからもう付きまとうなってよ。完全なお前のとばっちりとしか思えないのだが。」


僕はさっと顔をそらした。

これは...セーフか。ギリアウトにすべきか。

うーむ。

まぁいっか。こいつだし。リア充だし。いつも情報流してくれるし。

僕は回れ右をするとそのまま部室へと向かった。

だから大原が苦笑しながら何かをつぶやいたのに気が付かなかった。



そして時は今。

部活終わりである。

帰り際に部長さんと副部長さんから貰った。

まぁこれはそれなりに扱おう。というか雑に扱えない。

そんな事したら何されるか分からない。

正直この人たちなら呪いをかけることもできる気がする。

だってこの人たちだし。

結局いまだに江藤さんからは貰えていない。

とりあえずいつも通り一緒に帰ることにはなったのため、完全に可能性が無くなったわけではないとはいえ不安にはなる。

なにせ大原の奴が貰ったからな。

あいつだけとなると、ねぇ。どうしてくれようか。


そして、分かれ道となった。

結局何も起こらず別れとなった、その時。


「これ...クリスマスも貰ったし。いつも仲良くしてくれるから。」


僅かに顔を赤らめながら差し出していた。

何を?チョコを。

やばい、何この破壊力。

今すぐ悶えたい。可愛すぎる。女神すぎる。

なぜか僕も赤くなりながら受け取ることができた。

うわー。良かったー。

安心感が半端ない。

本気で嬉しいよこれ。


「それじゃ。また。」


そういって彼女は去っていった。

僕はしばらくその場に立ち尽くし。

その後、全力でガッツポーズを取った。

周りの人に思いっきり微笑ましい表情で見られていたのは気にしたら負けだ。

久しぶりに予告詐欺をした気がします。

いやー見事にバレンタインを忘れてました。

見事に今日です。

皆様の様子はいかがでしょうか。

それでは、次回こそ合唱コンです。(三回目)

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