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桜の舞う頃に  作者: 銀命
一年 三学期
45/79

配布

僕ら文芸部での部誌の配布は基本的には校内に置いておくぐらいだ。

しかし、最後に部長さんがやりたかったというだけの理由で直接配ることになった。

なんとはた迷惑な...

というかこの部員で配って受け取ってもらえるのだろうか。


「よし、じゃあ全員いるな。そんじゃ渡すから基本的にそれぞれの持ち場で配れよ。持ち場についてはさっき言ったな。んじゃ、レッツゴー!」


ちなみに僕の持ち場は二年生の階だ。伊藤君と江藤さんが一年生のクラスのある三階、僕と副部長さんが二階、部長さんが三年生のいる一階だ。

あえて僕と江藤さんを離したような気がするのは考え過ぎだろうか。いいや、わざとに決まっている。

ああ、つまらない。

とはいえ僕の持ち分である三十部ぐらいはすぐに配れるだろう。

というか十部は残しておくらしいけど、それでも僕の三十部は少なすぎるだろう。

どれだけ僕が期待されていないかよく分かる。

だが、その見込みは間違ってはいないところが悲しいところでもある。

まぁあんまり悲観的になっても仕方ない。とりあえず部長さんのテンションを見習って頑張るか。



三十分が経った。

途中で一度副部長さんと会ったが、その時点ですでに残三十部となっていた。

彼女は最初の時点で七十部のはずだ。つまり、四十部配れたということだ。

僕?僕は残り二十部だ。副部長さんより少ない。

...配れた部数も少ない。

ほら、やっぱり学年も違うし?同じ学年である副部長さんよりも人脈も少ないわけじゃん?

だから仕方ないさ。うん...うん。

はぁ、やっぱり僕には部長さんみたいなポジティブキャラは無理だ。

この効率で行けばあと一時間で配り終わるだろう。多分大丈夫だ。


さらに一時間が経った。

副部長さんはあとわずからしい。

途中で見に行ったが江藤さんは結構配り終えていた。

やっぱり江藤さんは女神だからね。みんなも受け取るのだろう。

その恩恵か伊藤君もそれなりだった。

...どちらも僕よりも何倍も速く配れていた。

ちなみに部長さんはより早くもう終わっていた。

僕は残り十二部だ。

つまり僕が最下位だ。

...人は人。僕は僕だ。気にしない、気にしない。みんな違ってみんな良い、だ。とても良いセリフだ。金子さんは素晴らしいと思う。


その時、目の前を一人の男子が通りかかった。

「宜しくお願いします」と言いつつ、渡す。

彼は受け取ってくれた。

そして、歩いて行き...

ゴミ箱に、捨てた。

彼は笑っていた。へらへらと、笑っていた。


ふざけるな。ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな。

お前ごときが、粗末に、扱っていいものじゃない。

江藤さんの、部長さんの、副部長さんの、伊藤君の苦労が詰まった作品を粗末に扱うな。


思わず彼の方へ向かいそうになった僕の方を、誰かがつかんだ。

副部長さんだ。

彼女は何も言わずにただ首を振った。

それだけだが、僕の足は止まった。

それを見た彼女はそのまま歩いて行き、部誌を拾った。

そして、それを彼に向かって()()()差し出した。

それを見た彼は青い顔で受け取り、走って逃げた。

・・・一体彼は何をされたのだろう。

気が付いたら僕の怒りは完全に消えていた。


その後、副部長さんは僕の配布を手伝ってくれた。

彼女がいるとなぜかみんな受け取ってくれた。

むしろ受け取ろうとわざわざ遠くからやってきた。その中には先生までいた。

ほんと彼女は何をしたのだろうか。

副部長さんの謎が深まった一日だった。

気が向いたので書きました。

というよりカズの普段見せない一面と副部長さん無双を書きたかっただけですが。

「みんな違ってみんな良い」私の好きな言葉の一つです。


では、次回こそ合唱コンに行きたいと思います。

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