スキー教室 その七
三日目
思ったよりも三日間は早かった・・・と思う。
実際三日程度じゃあ僕は滑れるようにならなかったし。
まぁ僕の運動神経が恐ろしいほどにないというのが主な原因だろう。
というかそれ以外に原因が見当たらない。ほとんどの生徒は滑れるようになっていたのだから。
密かに運動音痴仲間として仲間意識を持っていた同じクラスの子までが滑れるようになっていたのは結構ショックだった。裏切り者め。
結局三日間参加した意味はあったのだろうか。
むしろデメリットしかなかったような…
いいや、気にしたら負けだ。
そんなわけで今は帰りのバスへ向かっている。
どんなわけなのだという突っ込みは無視だ。そんなわけと言ったらそんなわけなのだ。
しかし、一人で向かっているわけではない。
行きと同じく部長さんが一緒だ。もちろん荷物持ちとして。
別に僕に力が無いから持ってもらっているわけではない。部長さんが余力があるから持ってくれただけだ。
僕に力が無いわけじゃ…
無いわけじゃないもん。
・・・やめておこう。これ以上この話を続けても自分が傷つくだけだ。
そんな風に自分の心の中の友達と話していると、リアルの部長さんが話しかけけて来た。
「何でカズはそんなに力が無いんだ?私より力が無いってのはちとまずいんじゃないのか。」
「部長さんを基準にしないでください。部長さんを基準にしたらたいていの人はまずい事になるでしょうが。そうですね・・・強いていうなら小学生の時に数年引きこもっていたのが原因でしょうかね。僕としてはそんなに関係ないとは思いますけど。」
「いやいや、関係大有りだろう。ちなみにそれいくつの時だ?」
「えーと…三年生から五年生の時ですかね。」
「うん、それ完全にその影響だろうが。なんでそれで関係ないと思うのかが謎だろうが。」
うーん、そんな関係あるのかな。
引きこもる前後で大して変わってないから特に問題ないかと思ってたが。
よく考えてみたら変わってないってのがまずいのかな?
まぁ過ぎたことは良いじゃないか。どうせ今更鍛える気なんてさらさらないわけだし。
「そういや僕が本を読むようになったのもその時期ですよ。最初はゲーム三昧だったんですが強くなりすぎてそれだけでは大して面白みがなくなりましてね。それで縛りと言いますかハンデと言いますか、そんなわけで本を読みながらパーフェクトを狙うってのが目標になりましてね。ちなみに結局パーフェクトになる前に大原に連れ出されましたからいまだに目標は達成できていないんですけどね。だから今でもゲームは得意ですし、今文芸部にいるのもそのそのとき在りしといった感じですよ。」
「ん...そうなのか。だとしたらその引きこもり時代に感謝すべきなのかもな。後一人足りなかったら部として成立しなくなっていたところだったしな。」
もちろん嘘だけど。
僕が文芸部に入部したのは江藤さんが入ったからというのがとても大きいのだけど。
というかそれ以外に理由なんてなかったりするのだけど。
まぁそれは部長さんも気づいているだろうからいいのか。
というか五人以上いないと部として認められなくなっていたのか。危ないところだったな。
部長さんだったら無理矢理でも人数連れてきそうだけど。
「おっ、もうバスが見えて来たぞ。バスまで競争だ。」
部長さんは無理矢理話を切るかのように言い出した。
というか部長さん自身の荷物に加えて僕の荷物の八割ほどを持ちながら走れるとかどんだけだよ。
なんかこのハンデで負けるのも癪なので僕も走り出す。
もちろん僕は惨敗だった。
なんであの距離から七秒ほども差がつくんだよ。
今回でスキー教室編は終了です。
何でこんなに長くなった...
今回は主にカズの過去についてですかね。触り程度ですけど。
そのうち番外編とかで書くかもしれません。というか書く予定です。
それでは次回、ようやくクリスマスです。




