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桜の舞う頃に  作者: 銀命
一年 二学期
36/79

スキー教室  その六

二日目の夜。

僕は部屋にいた。

もちろん個人部屋ではない。大原との二人部屋だ。

結局二日間の間に滑れるようにはならなかった。インストラクターの先生には悪いけど。

僕の運動神経って何なんだろう。

疲れを癒すためにも久しぶりにのんびりと本を読んでいた。大原は余計暇そうだったけど。無視だ無視。昨日さんざん付き合ってやったんだから我慢しろ。


そのとき足音が聞こえてきた。無駄に鳴らしている。要は騒がしい。

何となく嫌な予感がする。というか嫌な予感しかしない。


バタンッと音を立て扉が開いた。

「入るぞー」という声とともに部屋にあがってくる。

部長さんだ。

うわーやっぱりだ。


「なんでこんな時間にこんなところに居るんですか。」


ちなみに男子の部屋と女子の部屋の位置は分かれていてお互いに入ってはいけないはずだ。


「ん?ちょっとお前に忘れものを届けに、な?」


その顔は完全に悪い顔だ。

右手に持っていたのは僕の時計だった。

たしか夕食の時にいったん外して机の上に置いておいたはず。

帰るときに見かけたら忘れるはずがない。つまり部長さんに取られたということだ。

ほんとに器用な人だ。


「ところでお前さんや。そろそろ告白してみ「嫌です。」


即答した。

もちろんだ。今の僕にそんな大それたことができるわけがない。

身分をわきまえろってことだ。もちろん僕が。

というかあなた昔リア充化するなとか言ってなかったか。


「別に良いんじゃねえの?案外上手くいくかもよ。」

「大原に言われたくない。七年間片想いの奴に。」

「っちょ、それ今出すか!というか何で知ってんだよ。」

「これでも付き合いは長いからな。見てれば分かる。」


こいつは一見常に爽やかスマイルを浮かべているように見えるがよく見るとだいぶ表情に感情が出ている。

ある程度の付き合いがあれば結構分かるのだ。

言い合っていると部長さんが止めた。


「ちょっとそこの君。大原君といったかな。君から見て二人はどうだ?」


無駄に偉そうに。


「はい、隊長。江藤さんを前にしたこいつはほとんど喋れません。本人が言うには普通に喋れているとの事ですが、実際には言葉と言葉の間にお互い一分ほど間があります。なんでこんなんで江藤さんのメアドをゲットできたのかが不思議でなりません。江藤さんはこいつのことは周囲の奴よりちょっとだけ距離の近い人という認識です。」


大原は敬礼しながら言った。

こいつら息ぴったしだな。ほんとに初対面か。なんの隊長だよ。

テンション高い組同士だからかね。

というか僕は普通に江藤さんと喋っているぞ。間なんて・・・くっ、否定できん。


「そうか。それでこいつが卒業までに告白することはあると思うか。」

「恐らく卒業間近になったころにするかと。こいつはヘタレなので振られる可能性を考えてそれまではしないと思われます。」


おいこら。何さりげなく人の悪口いってんだよ。誰がヘタレだ。言ってることは正しいけど。

そう言われたらそれまでには告白してやろうじゃないか。


(今この発言により卒業までに告白する気にはなったと思います。しかし、すぐには無理なので今年度中は無いと思われます。おそらく来年あたりかと。雰囲気を重視するので桜のある春頃かと。)


ん?大原が部長さんに向けてなんか小言で言いやがった。

まぁいいや。とにかく告白するなら二年の卒業式の日かな。雰囲気的にも桜の木があると良し。呼び出し方法はやはり手紙だろう。


「報告ご苦労。では私はそろそろ立ち去るとしよう。さらばだ。」


そう言って部長さんは部屋を出ていった。

それからしばらくして先生が見回りにやってきた。部長さん、流石だ。

二日目の夜でした。

今回の回のような感じのが無いとカズがいつまでも告白しない気がしたので。

私的に部長さんと大原の組み合わせは好きです。なんかノリがいいところとか。

ちなみに大原の片想い相手は今後は登場する予定はありません。告白する予定とかないので。

あれ、カズよりもヘタレじゃ・・・


そ、それはさておき次回は帰ります。やはり滑りません。

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