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桜の舞う頃に  作者: 銀命
一年 二学期
35/79

スキー教室  その五

部長さん達の所に戻ると、既にインストラクターの先生はいた。

わお、先生仕事早いですね。まるでこうなることを見越していたみたい。

というか見越していたのか。


「おーカズ。戻ってきたのか。大丈夫だったか?」

「大丈夫だったか、じゃないですよ。大変だったんですよ。探しに来てくれても良かったじゃないですか。」

「いや、まぁな。見つけてやって恩を売ってもいいかなーとは思ったけど江藤が先生が向かったから必要ないって言うから、じゃあいっかってことで。」

「純粋に僕を心配してくれたっていいじゃないですか。しかも『じゃあいっか』って何ですか。軽いですよ。」


僕が軽く頬を膨らませてふて腐れていると端で副部長さんが笑っていた。

理由を訊いてみたが教えてはくれなかった。そのうち分かるらしい。


ふと周りの視線がいつもより多い気がしてあたりを見ると同じ学校の人が僕らを見ていた。

しかし、僕の顔を見ると納得したような顔をしてまた滑り出す。

・・・もしかして僕らにインストラクターの先生が付いていることに疑問をもってみたら僕がいて納得したと。そういうことですか。

要は僕に運動神経が悪いとそう言いたいわけですね、はい。

さっき雪だるまになったばかりだから否定はしないけどさ。もう少し遠慮しようよ。


と、そのとき集合がかかった。

時計を見るともう時間だ。いつの間にか大分時間が経っていたらしい。

結局僕の今日の成果は何もなしだ。しいて言うならば僕はやはり滑れないということが分かったことだろうか。あと部長さんは当然のように滑れると。あれで初めてらしいから恐ろしい。あの人に欠点なんてあるのだろうか。・・・あ、結構あった。抜けてるところとかハイテンションなところとか。軽く数えても二十はぱっと浮かぶ。欠点だらけじゃないか。


帰ろうと振り向くとそこにインストラクターの先生の姿があった。

あらまぁこんなところで何やってんですかお兄さん。って僕の指導及び監視か。

結局二つ目の雪だるまはできなかったから仕事をしたと言うべきなのか、それとも指導をしていないから何もしていないと言うべきなのか。おそらく後者だろう。

明日よろしくお願いしますね、と心の中でつぶやいた。

その言葉が通じたのか通じていないのかは無表情のせいで分からない。

というか僕の周りには無表情な人が多くないか。例外が大原と部長さんしか見当たらない。ちょっとショックだ。その例外は逆にテンションが高すぎるし。

まともな人プリーズ。


戻ろうとすると、前にいた江藤さんがハンカチを落とした。

僕は当然拾う。地面に着く前に。

その間、一秒にも満たず。

当然だ。江藤さんの持ち物が地面についてしまってはいけないからな。


「ありがとう。」


江藤さんは小さく言った。


「どういたしまして。ところで江藤さん、スキー上手だったね。やったことあるの?」

「うん。前に一度。お父さんに連れられて。」

「へーそうなんだ。何かコツでもあるの?」

「さぁ?普通に滑るだけだけど。」


江藤さんは感覚はだった。

意外だ。

それにしてもお父さんポジションずるい。

あぁ、江藤さんが僕の子だったらな。

いやいや、子だったら付き合ったりはできないじゃないか。

しかし子供のころを見れるのは素敵だ。それに家での様子も見れる。

ただ子であるならば将来は他の男と付き合う可能性も大きくあるわけで。

いやいや、それは子でなくとも同じか。


僕が悩んでいるうちに江藤さんはすたすたと一人で先に行ってしまった。

とりあえず悩んでも仕方ないか。僕が江藤さんの父親になれるなんてことは無いのだから。

今できる最善を尽くそうじゃないか。


そう決めたスキー教室一日目だった。


結局今日何もしてなくね?

ようやく一日目終了です。

一日目が長かった代わりと言ってはなんですが二日目のスキーシーンはカットさせていただきます。

いや、ね。ひたすら部長さんがハイテンションで滑っている後ろで無言で滑るその他大勢+教えられながらも転ぶカズを描いても地味じゃないですか。

ということで次回はちょっとだけ場面が飛びます。


ちなみに今回の最後のカズのお悩みシーンは割と私の好きな場面だったりします。一度は入れたかったと思ってました。

それではまた次回に。

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