スキー教室 その四
うう...寒い...
周りを見渡しても見えるのは真っ白な風景のみだ。
どうしてこうなった……
十分ほど前
僕と伊藤君は無理矢理部長さんに連れて行かされて部長さんの滑りにつき合わされた。
とはいってもそこは僕の運動神経だ。当然やったこともないスキーなんかできるわけない。
不思議なのは伊藤君は普通に滑っていったのだけど。
いつまでもボーッとしているわけには行かない。後ろには先に連れられたと思われる江藤さんが待っているのだ。ここは頑張ってきれいに滑ってみせなければ。
だがまぁ山すら碌に登れない僕がいきなり綺麗に滑れるわけなく。
まるでアニメや漫画のように見事に雪だるまとなった。そこまではまだ予想内だから別にいい。
問題なのはあらぬ方向に転がってしまったためどんどん他の人たちから遠ざかっていくのが見えた。
あっ。と呟く江藤さんの声が聞こえた後、僕の意識はブラックアウトした。
そうして今に至る。
流石に江藤さんが部長さんやらに伝えて探しに来てくれているだろうけれど、部長さんとなるとちょっと心配だ。ほおっといても大丈夫だろうとかいってそのまま滑り続けそうだ。うわぁ、ありうる。
そもそも今僕の意識がブラックアウトしてからどれくらい経ったのだろうか。
時計も何も見えず、時間の感覚が無い。
あぁ、僕は死ぬのだろうか...
あれ、なんだか眠くなってきたな...
瞼が重力に反して閉じようとしてきた。
・・・重力に反して?
そのとき僕は気が付いた。僕は逆さまになっていた。
ちょっ。道理で頭に血が上ってると思ったわけだよ。
早くだれか助けて。そろそろ脳出血になっちゃうよ。スキーで転がって頭に血が上って脳出血で死亡ってシャレにならないよ。なんか悲しいし。
そのとき、誰かの声が聞こえてきた。
「おーい、カズ君。そこにある見事な雪だるまはカズ君で間違いないのかい?」
それはクラスの先生の声だった。
どうやら探しに来てくれたらしい。
必死に主張しようとするけど体が動かない。
仕方なくそのままの姿勢で待っていると雪だるまが砕かれたらしい。シャベルが突っ込んできた。
うおっ、そこ目の前。見事なほどギリギリのライン。あともうちょいで顔にぶっ刺さってるから。もっと慎重にしろよ。いや、お願いします。
そしたら今度は足に思いっきり当たった。
…痛い。先生のイジワル。
流石に反省したのか今度は少しずつ削られていった。
「おーカズ。無事だったのか。よかったな。」
そう言って僕を掘り起こしてくれた。
無事だったのかって僕が無事でないとでも思っていたのだろうか。
いやまぁ僕の体力だったら後五分もしたら確実に危なかっただろうけど。
そこは生きててよかったとかほかに言いようがあるでしょうが。
助けてくれたから特に文句は言わないけど。
「早かったですね。江藤さんから聞いたんですか?」
時間を見ると転がってから五分もしていなかった。
流石に早すぎるだろうと思いながら聞くと、
「?江藤なら今も宮野と一緒に滑ってるぞ?それがどうかしたのか?」
わお驚きだ。見事に僕のことは無視したらしい。
まぁ江藤さんだから普通に許すけど。
んじゃあ何でこんなに早く?
「いや、まぁな。なんかカズだったらこんなことになりそうだと先生たちで交代で見てたからな。まぁすぐに助けられたようで何よりだ。」
・・・なるほど。ずっと感じていた視線は先生方の視線だったのか。
食堂で僕の方をチラチラ見ていたのもそれなのか。
まぁそのおかげで助かったのは事実なんだろうけど、ね。なんか気分は微妙だ。
暗に僕が必ず転ぶと言われてるし。
「そんなことは良いから宮野たちのところに戻らなくていいのか?今ならインストラクターの先生を一人専属でつけるぞ?」
はい、またこうならないよう先に手を打っておくということですね。
それなら先にやっておけよ。自分で言っていて悲しくなるけどさ。
そういうわけで部長さんたちのもとに戻っていった。
ちなみに私はスキーは昔に一度だけやった限りでほとんど覚えていません。おかしな表現があるかもしれませんがお気になさらず。
本当、何でスキー教室編なんて書き始めたんだろう...
後、すっかり忘れていましたがクリスマスに短編を一本投稿させていただきました。こちらも宜しくお願いします。
http://ncode.syosetu.com/n7511da/
まだ一日目すら終わっていない...




