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桜の舞う頃に  作者: 銀命
一年 一学期
12/79

発行

急に決まったが、他の人はそんなに問題ないみたいだ。多くてもあともう少しで完成するばかりといった所らしい。部長さんが確認した時に僕だけ二話分残っていてとても気まずかった。

せめて全員が伊藤君様に無関心な目だったらどんなに楽だったか。

いいや、僕は悪くない。他の人が早いだけだ。試しに他の人を捕まえて書かせてみなさいな。一月の間にそんな5000字を三本も書けないから。


そういえば、伊藤君のご両親は有名な作家らしい。ペンネームは絶対に誰も言わないのであくまで「らしい」だが、だいぶ定着していたりすることから嘘では無いと思う。しかし、なぜそれで息子には博文と名付けたかはなぞだが。

しかし、プロの息子だというのならばこの執筆速度も有り得なくはない。

ただ、江藤さんとかは知らないが。


何はともあれあと二本書かなくてはならないのだ。しかし、そう簡単に良い案がでる訳もなく・・・

そもそも人物の設定が難しいのだ。

そう副部長さんに相談したら、


「まずは身の回りの人をモデルにしてみたらどうかしら。」


と言われた。とても頼りになる先輩だ。これが部長さんだと、


「そんなもん適当にパーと考えて後はストーリーに合わせて少しずつ変えていけばいいだろ?」


とか言われた。訳分からない。まずパーとって何だし。

あの人って結構大雑把な性格だが、頭だけは良いのだ。というか、何事においても天才と言える。実際、部紙の発行許可だって普通そんなあっさり貰えるはずがない。部長さんが特殊なのだ。


とは言ったものの、さすがの副部長さんにも見落としている点がある。僕の身の回りの人といってもそこまで親しい人がほとんどいないのだ!エッヘン!

あれ、副部長さんだ。どうしたんですか。えっ?僕に親しい人が少ないのはデータに入れていない?あくまで一般論だ?えっでも・・・

はい、すみませんでした。威張る事ではありませんでした。すべて僕が悪いです。世界に平和が来ないのも僕が悪いんです。僕が居なければ…!


なんて茶番を演じていたが、やはり居ないものはどうしようもない。というか、今軽く心折られかけたし。危ない危ない。あともうちょっと続けてたら本気で飛び降りていたかも知れない。ギリギリセーフだ。


そのとき僕は閃いた。人物設定も決まり、僕に得がある方法。強いて言うならば勇気を代償とする。


「あの・・・江藤さん。宜しければ僕の小説のモデルになってくれませんか。」


そう、江藤さんをモデルとする事だった。江藤さんならば大分性格も掴めているし、書きやすい。さらに、モデルのためと言い、堂々と観察ができるのだ。どうだ、完璧だろう。

さっきまで悩んでいたことはいったん保留だ。部誌の発行まで時間が足りない。無駄なことを考えている時間はない。

意外に江藤さんもあっさり許可してくれたし。



・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


そんなこんなで一ヶ月

間に期末試験があったりしたが、何とか間に合った。うん、僕頑張った。

ちなみな今回は中間試験のようなミスはせず、きちんと計画的にこなした。

かなりこの一ヶ月はハードだったのだ。少なくとも僕にとっては。

印刷等に関しては二年以上でやるそうだ。忙しいだろうに、お疲れ様です。


そして、その一ヵ月の間に僕の考えにも少し変化が起きた。

江藤さんをこそこそと見ている僕のことを心が汚れていると思っていたが、江藤さんは一種の芸術なのだ。芸術品を鑑賞して何が悪い。

もしばれて何か言われたらそのとき正直に話せばいいじゃないか。

そう思うようになっていた。


あともうひとつ忘れてはならないことがある。

僕の正式な観察の最終日に江藤さんに言われたのだ。


「カズ君って大原君と仲が良かったよね。お願いがあるんだけど…

私の事をコソコソ見るのは止めてくれるよう頼んで貰えないかな。コソコソやられるとどうしてもややこしいし…」


と。

観察しているのは大原だと勘違いされていたようだ。ドンマイ。


一応解決編です。普段より少し多目となっております。

一ヵ月の間にカズがより危険となってしまいました。

これでそろそろ一学期は終わるはず...

次回は合宿です。

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