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桜の舞う頃に  作者: 銀命
一年 一学期
10/79

移動教室  後編

2日目



二日目は登山だ。

正直言ってやる気がでない。

なぜわざわざ運動しなければならないのだ。そんなもの希望者だけでやれば良いだろう。山に登ったところで何を学べると言うのだろう。

あー景色がきれいだねーで終わりだろう。確かに綺麗だとは思うよ、うん。流石の僕でもそれぐらいは思う。しかしわざわざその為だけに山に登ろうとは思わない。そんなもの写真集にたくさん載っているではないか。それで十分だ。

そして、僕の機嫌が悪い一番の理由が江藤さんを見ることが出来ないからだ。山道は狭いから二列ずつになって進む。当然その時は三組は二組の後ろだ。しかも僕と江藤さんの間はかなりあるため全く見えない。いくら大原の撮る写真があるとはいえ、山に登る間ずっと姿を見れないのは耐えられない。

おぉ神よ。何故僕は三組なのだろうか。



などと心の中で散々文句を言ったが当然誰かに届くこともなく、予定道りに登山が始まった。

始めの方は問題なかった。しかし、十分ほどたった頃から少しずつ疲れがやって来て、五分後には徐々に周りに遅れ始め、その五分後には最後尾にいた。


何故だ。まさか開始二十分で最後尾になるとは…せめて一時間は持つと思ったのに。

だが、僕の体力も限界だ。付いてくれている先生には悪いが、一旦休憩にさせて貰らおう。このまま倒れるよりかはマシだろう。



そんなこんなで途中で休憩を五回ほど挟みつつ、ようやく頂上へ着いた。

予定では二時間で付くところが、僕だけさらに四十分かかった。他の奴らはもう昼食を摂っている。

のそのそと僕も準備を始める。だがしかし!ここで嬉しいことが起きた。皆が既に昼食を摂っていて、僕は空いていれば自由に場所を選べる。

そう、江藤さんの観察をしながら食べれる位置を陣取ることが出来たのだ!

なんと嬉しい誤算だ。しかも江藤さんは目立たない端の方にいるため回りはがら空きだ。

僕が食べ始める時には食べ終わって読書し始めたが、気にしない。というかここまで持ってきているのか。先生方も反撃を恐れているのか、それとも単に気づいていないのか何も言わない。

前者だとしたら江藤さんはどれだけ先生方にトラウマを与えているのだろうか。可愛いから気にしないけど。



まあそんな事があったが、帰りは何もなく終わった。行きのことがあったからか僕は最初から最後尾だった。結果僕は皆より一時間遅れて宿に着いた。



そうして夕食後。

昨日と同じ様に江藤さんの盗撮…コホン、観察及びに護衛へと向かおうとしたとき、一人の女子に呼び止められた。少々苛つきながら着いて行く。

そして彼女は立ち止まり、振り向きざまに懐から剣を取り出した!なんてことはなく、ただ喋りだした。

正直剣を出してくれれば僕の苛つきも解消されただろうが、ただ喋られても苛つきは高まるばかりだ。


「あなたのことが、ずっと好きでした。」


……?………??ドウイウイミデショウ?そんな僕の沈黙をどう捉えたのか知らないが、彼女は語り続けた。


「私、懇談会で見掛けた時からずっと好きでした。付き合って下さい。」


さて、どうしよう。僕の意志としては断る気は満々である。そりゃそうだ。僕は江藤さん一筋なのだから。しかし、断ってしまえば彼女が傷付くことになるだろう。それはそれで不本意だ。いくら好きではない子だとはいえ、傷つかれるのは僕としても嫌だ。それを避けるにはどうしたらよいものか。


「ごめんなさい。僕にはほかに好きな人が・・・」


嘘を吐くのはあまり得意ではないから、真実をぼやかして伝える。すると、突然彼女が表情を変えて言い出した。


「カズってさ、本当は江藤さんの方が好きなんでしょ。見てて丸分かり。でもさ、あんな女のどこが良い訳?私の方がずっと可愛いでしょ。私と付き合った方が得が多いわよ。」


何言ってんだ、こいつは。僕に喧嘩を売りにでも来たのかな。さっきまでのセリフはどこへ行ったのだろう。

気が付けば、さっきまでの迷いはなくなっていた。心の中には目の前にいる彼女への怒りで満ち溢れていた。


「ごめん、君が言った通り僕は江藤さんのことが好きだし、何よりそうやって人の悪口を平気で言える人は大嫌いだ。確かに見た目は君の方が可愛いかもしれない。けれど、江藤さんの心の方が君の心よりよっぽどきれいだ。だから、僕は君と付き合えない。」


そういって僕はそのまま後ろを向き、帰った。

江藤さんを観察する気分でもなかったので、そのまま部屋へ戻った。



三日目は特に大したこともせず、バスに揺られつつ帰った。

なんとか収めました。

カズが断る理由がちょっと強引な気もしますが。

三日目の説明が少ないのはカズの機嫌が悪いからです。

明日はちょっと更新できるか分かりません。

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