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法律初心者の異世界奮闘記  作者: T.N
第1章 魔科学世界と法
10/21

第9話~1年間の始まり その6~

5月19日修正:東エリア→西エリア、東エリア→西エリア

6月1日修正:転移してから3日目。→転移してから2日が経過した。

「は~、疲れた~。」


 俺は、あてがわれた自室であるセントラルタワー2001号室に戻って早々、そう呟いて備え付けられた椅子に寄りかかった。


「明日から本番か・・・。」


 国立中央学校のメンバーにマルセラを加えた4人と晩飯を共にして、その後解散となった。

 今日の目的であった、この世界の常識に触れること、この国の街並を目で見て肌で感じ、それに適応すること等、それなりにやれたと思う。適応できているかは、まだ分からないが・・・。

 ただ、この国の人達が日々過ごしている様子は確認できたと思う。市街地を見て回り、公共機関を確認し、学生達の活動を見学した。

 そして、準備ができ次第、法定編纂会議へと臨むことになる。それまでの間に、俺も出来る限り、この国の状況だけでなく、自分の法律の知識について確認しておかなければならない。いざ、会議が始まった時に、自分の法律の知識に不安が残るようでは話にならない。俺が呼び出された意義が失われるだけでなく、請け負った仕事が達成できなくなる可能性もある。ゆえに、明日から編纂会議までの間は、出来る限り法律の勉強に時間を割かなければならなくなるだろう。


「異世界か・・・。」


 正直、驚き以上に楽しかった。俺の世界よりも進んだ文化を持つ世界。しかし、少しばかり元の世界の雰囲気が感じられる世界。こんな世界を体験できるなんて夢にも思わなかった。

 自分の世界にはない最先端科学。そして、魔法。

 おそらく、死ぬまでに魔法なんてものに触れる機会は皆無と言ってもいいだろう。

 そんな中起こった奇跡。

 これから何が起こるかわかったもんじゃないが、今日の出来事はとても有意義だった。愚痴を言っても始まらないのだし、今この瞬間を楽しむのが最良だろうと思って始まった1日目。

 元の世界では体験できないことを色々と体験できた。

 今日から始まる異世界生活、色々あるだろうが1年間頑張ってみようと思えた。


「さて、この部屋にも慣れないとな。なんせ1年間お世話になるんだしな!」


 セントラルタワーの客室は、ニッポンでいうところの「王子」の名を冠するホテルの客室のようだった。ただ、違うのは、色々と便利になっている点、例えば、ルームサービス的なものは大体魔科学システムによってなされていることだった。飲み物なんかも、自動で補充されるし、室内で利用できる機能はスマホで操作することができるよう設定されていた。空調なんかもスマホで操作できる。

 客室の話はさておき、俺は晩飯での出来事を思い出していた。


* * *


「マルセラをよろしくね、ケンにーさん。」


 アンリは肉を頬張りながらもそう俺に告げてきた。

 年若いマルセラのことを思ってだろう。早期に学校を卒業し、そのまま国家公務員となり、ひたすら父親の仕事を手伝ってきた少女。自分と年が変わらないにもかかわらず、国の中枢で一人奮起するマルセラという存在を、アンリはとても心配していた。


「私達よりも上の年代の人達っていうのは、魔科学専攻という条件をつけると、40代から50代になるんだよね。マルセラが所属してるところは、まず間違いなく同年代の人なんていないと思うんだよね。だから、にーさんが私の代わりと言っちゃなんだけど、マルセラをきにしてやって。」


 お前はマルセラの家族かなんかか!と突っ込みたくなる感じではあったが、真面目に話していたこともあって、そんな気にはなれなかった。この甲斐甲斐しくもマルセラを気にかけている様子を見ると、それまでの言動が嘘のように思えてならなかった。

 同様のことを、エミーやアンジェからも言われた。どうやらマルセラは素晴らしい仲間に恵まれていたようだ。


「俺自身がどうなるかわからないが、気にかけられる状況だったら気にかけておくよ。」


 と、俺としてはそう答えるしかなかった。


「よろしゅうな♪」


* * *


「・・・アイツ、卑怯だよなぁ。」


 そうひとりごちつつも、顔がにやけているのがわかった。なぜか、無性に気に食わなくなって、慌てて表情を元に戻す。

 ともあれ、晩飯もうまかった。アンリオススメの店ということで行った先はまたもや定食屋チックなところだったが、何でも揃ってる上に味もそこそこ良く、お値段もリーズナブルと三拍子揃った名店だった。

 ちなみに、アンリはステーキを頼んでおり、俺はラーメンチックなもの、エミーは中国料理的なもの、アンジェはフランス料理的なもの、マルセラは日本料理的なものと、それぞれが思い思いの品を注文していた。


「あれは絶対とんこつラーメンだったな。濃厚なスープがたまらなかったなぁ・・・。」


 晩飯の内容を思い返していると、結構いい時間になっていることに気が付き、就寝の準備へと取り掛かることにした。

 風呂場も備え付けられていたので、今日の疲れを風呂とシャワーで洗い流し、オススメの飲み物として液晶画面に写っていた牛乳の生搾りを選択して、どこからともなく現れた牛乳を右手に持ち、左手を腰に当てて一気に飲み干す。

 ぷはー!と言い放って、明日の予定をスマホと連動したオートビジョンで確認していく。

 話は変わるが、今日訪れたのは、セントラルシティの南エリアと西エリアだけであったが、北エリアは工業エリア、東エリアは外港エリアとなっていた。後者2エリアは、閉鎖的なエリアであり、行ったところで色々と制限があることから、行っても仕様がないとの事だった。ゆえに、南エリアと西エリアを散策することで今日の予定は終了となったのだ。

 俺の仕事の本番は明日から始まる、そう心の中で覚悟を決めて、俺はベッドの中へと吸い込まれていった。




 そして、異世界転移してから2日が経過した。

 ついに、ジャポネーゼ王国第1回法典編纂会議が開かれようとしていた・・・。


修正点があり、混乱してしまうおそれがあることから、ここで補足を入れます。

セントラルシティを中心に、北が工業エリア、東が外港エリア、南が繁華街エリア、西が公共エリアとなります。

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