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大学サークル巡り前編

 一日目。バンドサークル。




 バンドと百合は、切っても切り離せない。

 女の子達がバンドを組んで演奏していたら、それはもう、百合なんだよ!

 最近はバンドを題材にした百合作品も増えてきたからね! 『ロックザリア充』や『君と奏でるメロディーに愛を乗せて』などがある。


 という訳で、バンドサークルを描く事にした私は、紅玉大学バンドサークル『もったりメロディーズ』のライブ会場に訪れていた。




「お前ら! もったりしてるかぁー!」

「きゃー! かっこいいー! 夢弦様ー!」

「こっちむいてー!」

「うわ凄い、女の子ばっかり。バンドってモテるんだな」


 バンドをやる理由の過半数がモテたいからだという統計を見たことがある。

 辞める理由の過半数がモテなかったから、という統計も見たことがある。


 ようはモテるのだ。音楽バンドというものは。異性同性関係なく。


「私達はロックバンド、もったりメロディーズ! それじゃあ、メンバー紹介! 私はMCを務める、ベース担当の広沢夢弦(ひろさわむげん)!」

「私がリーダーでベース担当の鳴音鐘(なるねしょう)。よろしく……」

「わわわ、私が……ギター兼ボーカル担当のののの、神楽坂響(かぐらざかひびき)。どうも申し訳ありません!」


 謝られた。どうやら、神楽坂という人は極度のあがり症のようだ。


「ちょっと! 響! 固くなりすぎだよ、リラックスリラックス!」

「夢弦ちゃん……」

「響! もしライブ中に失敗したら……分かってる?」

「ひいぃぃぃ、すいません鐘さん! やっぱり無理です!」

「もし成功したら……ご褒美をあげるからさ……」

「鐘さんと夢弦ちゃんのご褒美……私、頑張ります!」


 何なんだ、この三人は。でもこれもきっと百合だ。

 大人しく見ていよう。


「本当はもう一人ボーカル担当の子が居たんだけど、ライブ前に逃げちゃってさ……ボーカルは響が兼任するね」

「ヨヨヨよろしくお願いしまつ!」


 駄目だ、神楽坂さんが緊張しまくってる。多分このライブは失敗するな。


「おやっ、客席に見慣れない顔がいるね。私達のライブに来るのは初めてかな?」


 観客巻き込み型だった!


「え、あ……はい」

「なにか嫌なことがあったのかな? 心なしか浮かない表情をしているよ」

「実は、親友と喧嘩してしまって……私が悪いんですけどね」

「そう、でも大丈夫! 私達の演奏を聞けば、きっと元気になるよ!」

「ありがとうございます」

「では、聞いてください! 『今日も明日ももったり』」


 何だその曲名は。もったりしてるタイトルだな。

 次の瞬間。神楽坂さんが左足で地面を強く踏みしめた。


「お前ら、しかと聴け! 私の魂の演奏をな!」

「きゃー! 響様ー!」

「かっこいいー!」


 凄い人気だ。あの神楽坂って人。

 確かに良くみると、顔立ちが良くら女性なのにイケメンという言葉が似合う。スタイルもいい。


「はぁーもったりもったりー、もったりもったりー」


 ズコーッ。何だこの脱力ソングは。どこがロックなんだ。


「気も今日も明日ももったりもったり! なんだか体がダルい、動きたくもない、何もしたくない。そんな日はもったりしよう!」


 あれっ? なんだろう……この歌詞、聴いてると、少し元気が沸いてくる。


 「難しく考えちゃ駄目! 肩の力抜いて気楽になろう、そしてもったりしよう!」


 不思議な歌……心を奪われてしまいそうだ。


「嫌なことがあったら、もったりしよう! 逃げてもいいから、もったりしよう! もったりしよう!」


 もったりしたくなってきた。


「怖いなら戦わなくていい。自分の命大事に。笑われたっていい。笑い返してやれ。自分に正直でいい。だからもったりしよう! 泣いてもいい。無理しちゃ駄目! 生きろ! 君は尊い。だからもったりしよう! もったりもったり!」


 私……今日からもったり生きます。


「ご静聴、ありがとうございました! 『今日も明日ももったり』でした!」


 いや、全然静かじゃなかったけどね。皆もったりコールで騒いでたけどね。


「はぁ……はぁ……あれっ、いつの間にか演奏終わってた?」


 演奏中の記憶がないのか? 二重人格とか?


「やったよー! 演奏大成功! さすが響だね!」

「ふん、やるじゃねーか! さすが私の見込んだだけはあるね」

「鐘さん! 夢弦ちゃん!」

「はい、約束のご褒美!」

「ずるいよ、夢弦、私も」



 そういうと、二人は、神楽坂さんの両頬にキスをした。

会場中が声援で包まれていた。


「きゃー! 鐘様と夢弦様が、響様にキスをなされてますわ!」

「なんて、なんて尊いんだ……」

「いつも演奏の後はこうしてるんだ!」


 確かに尊い、まさかこんな光景を見る事ができるなんて。聴きに来て良かった。


「描きたい! この光景を!」

「さっきの落ち込んでた子? もう大丈夫なの?」

「はい、皆さんの演奏を聴いて勇気ともったりを貰いましたから!」

「それは良かった。で、私達を描きたいってのは?」


 私は事情を話した。


「成程、君はプロの絵描きさんなんだね、分かった!

私達を描いていいよ! そっくり描いてくれると嬉しいな。」

「本当ですか! ありがとうございます!」

「おい、そこの一年! 描くからには可愛く描け!」

「もう、鐘ったら、気にしなくてもいいから! あの子ちょっと変わってるし」


 あなたも相当変わってますよとか、言わないようにしよう。だって、頭にキノコの山をのせてるんだもん。


「これはキノコの山じゃないよ? くせ毛だよ」


 思考を読まれた! 超能力か。


 「できた。『演奏の後のご褒美』」


「おおっ良く描けてるじゃん!」

「及第点だね。」

「これが……私たち……」

「喜んで貰えて嬉しいです!」

「これでプロへの道が近づいたね、私たちの存在がSNSで広まれば、スカウトの目にも止まるだろうし」


 演奏中じゃないから無理じゃないかな……それに気づいたんだけど、どうやら彼女達は、魔法を使っていた事が分かった。

 

 この世界には魔法というものが存在しているようだ。でも私は使う事が出来ない。


 私の絵は良く魔法のようだと言われるが、魔法など使ってはいない。だけどそんなものは使わずに、人々を魅力する事ができる。だから私は凄いんだと、みなもは言ってくれた。


 魔法を使ってる絵師の人もいるようだけど……

 もし使えたとしても、私は頼らないだろう。




「友達と仲直りできるといいね!」

「え? あっはい、ありがとうございます」


 魔法を使うなんてインチキだと思っていたけど、絵を描かせてくれたし、やっぱりいい人達だ。


「じゃあ次の曲を演奏するから、君も歌ってみる?」

「え? いや……私は見てるだけで」

「遠慮しないで! 響ってあんまり歌上手くないからさ、君が歌った方が良さそうだもん」


 私は近づくで壇上に引っ張りだされた。


「ひいぃ……なんて横暴な……後輩いじめだ……」

「それじゃあ、聴いてください! 『今日も明日ももったり』」

「一曲目と同じじゃん!」

「私達、これしか演奏できないからさ、一回聴いたから歌詞も覚えてるでしょ? 一度聴けば覚えられる魔法をかけたからね」


 確かに、頭の中に歌詞が浮かんでくる。これが魔法の力……


 そして私は歌った。ねっとりしながら、歌いきった。


「君、歌上手いじゃん!」

「思わぬ所に才能が眠っているもんだね」

「えへへ、ありがとうございます」

「じゃあご褒美にキス! ほら、響と鐘も!」

「上手かったよ、一年生にしてはね」

「夢弦ちゃんが言うなら!」


 私は三人同時に頬にキスをされてしまった。


「挟まってしまったぁ!」


 何たる不覚! バンド百合ハーレ厶の邪魔をしてしまった……でももう絵は描けてる。この調子でサークルを巡っていこう。




 二日目。キャンプサークル。




「いやー、部室キャンプというのも、いいものだ

ねぇ。部費がなくて、ずっと部屋キャンなんだけどさ……」


 私は、室内に貼られたテントに寝っ転がっていた。

 女の子達が仲良しキャンプしてたら、それはもう百合なんだよ!


「色君だったかな? どうだい? 部屋キャンというのも、いいものだろう?」

「そうですね……」

 

 彼女はキャンプサークルの部長さん。

 岡野涼(おかのりょう)。私にキャンプサークルを見学させてくれている。


「どうしたんだい? 浮かない顔をしてるね」

「友達と喧嘩してしまって……」

「そうかい、そういう時は、キャンプをすればいい。何も考えずに、ボーッとする事も時には必要だよ」

「はぁ……そうですか、ありがとうございます」


 確かに、ここ最近色々な事があったからな、少し考え過ぎてたのかもしれない。体も心も休めなければ……


 私は、岡野部長の言葉に甘える事にした。


「漫画でも読みたまえ、部室に沢山あるからね」

「本当だ、いっぱいある!」


 キャンプ中に読む為だろうか。中には私が好きな漫画もたくさんある。


「これにしよう。『ふわサバ』」


 『ふわサバ』女子高生達がサバイバルを行う百合漫画で、オタクの間にサバイバルブームを巻き起こした。

 同時に遭難者も続出したけれど。

 

「カップラーメンでも食べるかい?」


 そう言うと部長は、水を淹れたやかんを持ち、指をパチンとならした。 すると湯気が立ち始めた。

 そしてカップ麺の容器にお湯を注ぐ。


「後は三分待つだけだ」

「凄い……一瞬で水がお湯に……これが魔法か」

「お陰で費用が浮くよ」

「本当に便利ですね、魔法って」

「水をお湯にする程度の力だよ、炎が起こせる訳じゃないし、そんな人は居ないからね」

 

 それでも、使えれば生活が楽になるだろう。

 みなもの料理も、もっと簡易なものになるかもしれない。といっても、私が使える訳でもないけど。


「あっそういえば……キャンプファイヤーやらないんですか? ここで」

「ここ室内だけど!? 突拍子もない事を言うね」

「あっそうだったそうだった。疲れてるのかな、私」


 新月の事が頭から離れなかった。このまま仲違いしたままだったらどうしよう。 その事ばかり考えているからか、いつもより判断力が落ちていた。


「そんなに大事な友達なのかい?」

「はい……小学生の頃からの付き合いで」

「いいなぁ、そう言うの。私はずっと自然と戯れていたから友人が少なくてね、憧れるよ」

「自然が友達というやつですか」

「友達と呼ぶには、大きすぎる相手だな。自然に生かされてるに過ぎないからね。でも楽しいよ、身を任せるのもさ。相手を理解するには必要な事なのかもね」


 身を任せる……か。新月相手にそれをやったら、セクハラされ放題になるだろう。私の尊厳というものは破壊されるだろう。でもそうなったとしても、許して貰えるのなら、私はどんな事だってするだろう。


 ずぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ。

 

 私はカップ麺を勢いよく啜る。


 「よっぽどお腹がすいてたんだね」


 昨日から、ほとんど食べる事が出来なかったため、空腹だ。でもどんなに落ち込んでいても、食欲には抗えないようだ。


「さて、マシュマロでも焼くかな……って、なんだいその目は。もちろん外でだよ!」


 ていうか、グラウンドでキャンプをやればいいのでは。


「ぶちょー! テントの建て方が分かりません!」

「しょうがないな、私が教えてやろう」


 部員の女の子だ。外でキャンプをしていたのだろうか。

 

「部長! 火ってどうやって起こすんでしたっけ?」

「全く仕方ないな、君たちは、私が享受してあげよう」


 部長の女の子達が、部長さんを頼っている。

 そうか! これは『百合ハーレム』だ!

 一人の女の子が大勢の女の子を侍らせるという百合シチュエーションの一つ。

 まさかキャンプサークルで見る事ができるとは……

 きっと部長さんは、日頃キャンプの知識をひけらかして、部員の女の子達に凄い凄い言われてるんだ。


「さすが部長です。聡明なお方です」

「なんでも相談してくれ」

「尊いなぁ……皆さんを絵に描いていいですか?」

「構わないよ、せっかくだから色君もこっちに来たまえ」


 この流れはまずい……また混ざってしまう……逃げないと!


「どこへいくんだい? 皆、色君を捕まえてくれ」

「あなたも岡野部長にメロメロなんでしょ?」

「一緒に部長に甘えよう!」

「また挟まってしまったぁ!」


 女の子達に両手を伸ばし、ご満悦の様子な部長さん。 これが酒池肉林というやつか! 

 だけど私がその中にいるのは違う! 私は見てるだけでいいのに……


『キャンプ中に百合ハーレム』


 一応私は絵を描いた。私が混ざっているので失敗作ではあるし、これを投稿することはないだろうが。




 三日目。料理サークル。




「今から、この大きな鍋に具材を混ぜて、料理を作りたいと思います!」

「色さんはその様子を描いていいよ」

「ありがとうございます」


 料理と百合は切っても切り離せない。

 女の子達が仲良く料理をしてたら、それはもう百合なんだよ!


『時が経てば腹が減る。毎日グルメ日和』『双子姉妹料理日和』など料理を題材にした百合作品は数知れず。ちなみに私は『時グル』の大ファンだ。

 『時グル』の主人公達と同じ大学生達の料理が見る事ができるんだもん! 描かせていただきます!

 ちなみにこのサークルには、部長さんと副部長さんの二人しかいないようだ。


「まず用意するのは、エリンギ! これを鍋にぶち込みます!」

「次はキャベツ! これも切らずにぶち込みます!」

「他にも小松菜、キャラメル、松茸、もやし、キウイ、酢等など……」


 何を作るつもりなんだ……闇鍋かな?


「入れてー」

「入れてー」

「混ぜてー」

「混ぜてー」

「蓋をして加熱してー」

「一分待ってー」

「蓋を開けたら!」

「カマンベールチーズフォンデュの出来上がり!」

「おー! って、具材が全然違うじゃん!」


 何故だ。チーズなんて入れてなかったのに。

 小松菜とかエリンギはどこ言った。


「魔法です!」

「魔法便利過ぎない?」

「じゃあ食べようか。色さんも一緒にどう?」

「え、結構です」

「遠慮しないで」


 そう言うと部長さんは、私を羽交い締めにした。サークルの人達強引すぎる。


「はい、あーん」

「挟まってしまったぁ!」


 多分、普段はこの二人でイチャイチャしながら料理したり、食べたりしてるんだろう。


「他にもタピオカとかシフォンケーキ、あとマリトッツォもあるよ?」

「いつ作ったんですか、めっちゃ胃もたれしそう……てかタピオカとか古いな」

「魔法です!」


 魔法便利過ぎる。


「食事というのはね、心の安定を保つものなんだよ! お腹が空いてたら、冷静な判断が出来なくなってしまう」

「だから、まず空腹を満たす事からだよ! なにをするにもそれからだよ」

「怒りっぽくなってしまうのは……お腹が空いてるからか……」


 確かにあの時は、少し空腹だった気がする。ホットドッグもポッキーも、新月が食べちゃって、私はお茶しか飲んでなかったし……だからついイライラしてしまったのかもしれない……

 

『魔法を込めた料理。ごちそうさまでした!』


 何とか描けた。でも私が混ざってるからこれも没だな。

 



 私は、美術室の側を通ったので隙間から、雪菜と陽花をを覗いていた。


「陽花ちゃん、上手く描いてよ」

「分かってるよ、だからプルプルしないでほしいな」

「ずっと同じポーズを取るのって、難しいよ」

「うちの気持ちが分かったでしょ?」

「時の鐘のポーズって難しいね」


 たしかに、直立不動でいるのって、案外難しかったりする。ていうか時の鐘だったんだ。雪菜のポーズ。

エッフェル塔みたいに両手あげてたから。そうはみえなかった。……時の鐘のポーズってなんだ?


「にしても、早く仲直りしてほしいよね、彩果ちゃんと新月ちゃん」

「あの二人の事だからね、今までだって喧嘩しては、お互いにハグしてキスして、仲直りしてきたからね」


 してないけど! ハグはしたけどさ。


「私ね、この四人でいる時が、一番楽しい!」

「雪菜……うちもだよ」

「あっでも! 陽花ちゃんといる時がもっと楽しいよ! 私の恋人だもん」

「分かってるよ、それはうちも同じ」

「えへへ、陽花ちゃん!」

「雪菜……」


 二人はキスをした。二人だけの美術室で。


「私ね、彩果ちゃんが美術サークルに来てくれて、本当に良かった! 私達を助けてくれたし、何より一緒にいて楽しいもん。あっもちろん新月ちゃんもだよ」

「うちも、やっぱり彩果がいると、明るくなるよね、新月とのやり取りも見てて楽しいからね」

「二人が仲直りできなかったらどうしよう……」

「大丈夫だよ、きっと大丈夫……」


 雪菜……陽花……

 私はその場を後にした。絶対仲直りしなきゃ、だからこの勝負、絶対勝つ!




 四日目。野球サークル。




 紅玉大学の女子野球チームは、地区最強を誇っていいる。正直そんな事はどうでも良くて、私からしたら、女の子達が仲良く野球している光景が見たい。

 女の子達がスポーツをしていたら、それはもう、百合なんだよ!


「色さんも、野球やってみる?」

「結構です、私は見てるだけでいいので、皆さんの絵を描かせていただくだけでいいので」

「そうなの? じゃあこれから野球の試合をするから、よく見ててね」

「大谷さん、もうすぐ試合だよ!」 

「分かった! すぐ行くね」


 彼女は部長の大谷さんだ。きっと彼女もハーレムを築いているに違いない。


「大変! センターの子が練習で怪我しちゃったみたい!」

「どうしよう……うちの野球部は九人しか居ないのに、このままじゃ不戦敗になっちゃう」


 いや、強豪チームなのに部員少なすぎ! でもこのままでは試合を見れないな……諦めるか。


「大丈夫、助っ人がいるからね、色さん! 出番だよ!」

「無理です! 私にはできません!」

「大丈夫、センターだし、立ってるだけでいいから!」


 冗談じゃない。女の子達に混ざって野球をしろというのか。百合に混ざれというのか。


「おねがーい!」

「大谷さん……分かった、出るよ」

「ありがとう! じゃあさっそく着替えてね」


 いつ以来だろう。野球をするのは、高校時代に女子野球部の助っ人としてやった以来か。


「それでは、聡明紅玉大学野球部対、金剛大学野球部による、練習試合を行います!」

「めんどくさ……早く終わらせて絵を描きたいのに……何でこんな事やってんだろ」


 私は守備位置についていた。早く終わらせよう。


「センター!」


 そんな事を考えていると、私の守っている方向に打球が飛んできた。

 私は打球に向かって走りだし、スライディングキャッチでボールを掴んだ。


「アウト!」

「すげー! 何だ今の守備!」

「メジャーリーガーみたい!」

「凄いよ色さん! ファインプレー!」

 

 早く試合を終わらせよう。もちろん、勝って。

 負けるという選択肢はないのだから――

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