みなもの想い 彩果への重い思い
まさか彩果のお陰で新作を作る事ができるとはな……流石私の嫁だぜ。一体今まで何度助けて貰っただろうか。数えきれないくらいだ。なのにまた助けて貰うとはな……恩を返しきれねぇよ。
「みなも、全部で何巻くらいを想定してるの?」
「『つきめば』が全十一巻だったから、それを超えてみたいな」
「結構な長期連載になるよ」
「大丈夫だ。お前となら、どこまででもいけるさ」
「みなもー!」
「よしよし、本当に可愛い嫁だな」
「えへへ、そんなクサイセリフ。現実で言う人がいるなんてね」
「うっせぇ、一度言ってみたかったんだよ」
「にしても、みなもの作る物語の作画を担当できるなんてね……嬉しいけど……少し妬いてる。私には、そんな才能ないもん」
「お前は、絵が描けるだろ」
「そうだけど……みなもも描けるじゃん」
彩果は物語が作れないと言っていた。その事に劣等感を感じているらしい。そんな必要ないというのに。
そんな事言ったら、私は彩果の様に人を惹きつける絵を描けないぞ。絵は描けるけど、彩果の方が断然上手だ。私が教えた技術を吸収して、師である私を踏み越えて行きやがった。
彩果が中学生だった頃、私はマンツーマンであいつに指導していた。
「彩果、女の臍はくびれより下だ。指は細く長く、体は筋肉を減らして、丸みを帯びさせて描け」
「本当だ! みなもの言う通りにしたら、女の子が上手に描ける様になったよ!」
「こんな事常識だぞ……自分の裸を見てみろ、気づく事が色々あるぞ」
「勉強になります」
「あと巨乳キャラは体を丸めて、貧乳キャラは体を反らせるとエロさが出るぜ」
「本当だ! そんな事まで知ってるんだね!」
「プロだからな」
彩果が私に師事していた頃。あいつは女を描くのが得意じゃなかった。基礎がなっちゃいなかったんだ。それで百合絵を描いたって、尊くなんてならない。
私がいつも女を描く時に心掛けている事を、全てあいつに叩き込んだ。そしたらみるみる上達していった。いつしか私を越えていったんだ。
「おい! 何での家で裸になってんだよ」
「みなもが自分の裸を見ろって言ったから」
彩果は、鏡の前で全裸になって、まじまじと観察していた。
「自分の家で見ろよ、公共の場所で裸になるな」
「みなもの家だもん、私の家でもあるんだよ」
「どういう意味だよ」
「ていうかみなも、私の裸に興奮しちゃった?」
「生憎、お前のロリボディにはピクリともしないね」
嘘だ。滅茶苦茶興奮してる。彩果は、私の好みの体付きをしていたからだ。そう、私はひんぬー派だからだ! デカくて揺れる胸より、まな板の方が私の性癖にドンピシャだからだ。でかけりゃいいってもんじゃねぇ!
「ほらほらー悩殺ポーズ!」
「誰も悩殺できねぇよ」
私は悩殺されてるけどな。頼むから、見せつけないでくれ、これ以上、私を惑わせないでくれ! 今思うと、彩果は魔性の女だと思う。この魔性は、誰由来なんだ、まさか環瑠さん? まさかな。
「どうしたの? もう悩殺されて、理性を保てなくなった?」
「……もう今日は帰れ」
「もしかして、この後私を思って一人エッチするつもり?」
「……うるせぇ、帰れ」
私はその夜、自慰行為にふけった。あの頃には、彩果の事が好きになっていたんだと思う。雪の降る冬の日、始めて出会った時から彩果の事が頭から離れなかった。これが恋という奴なのだろう。私の初恋は、彩果だった。
私の初恋は、見事に実ることになる。今、その初恋相手と夫婦になっている。これはきっと彩果の言う通り運命と言うものだと、思いざるを得なかった。
私達は、運命で結ばれているんだ――
「ねぇみなも、私の事好き?」
「何回聞いてんだよ、その質問。好きに決まってんだろ」
「みなもー!」
「よしよし」
こんな幸せな日常を送る事が出来ているのも、彩果のお陰なんだ。私は、彩果と運命で結ばれた夫婦なんだ。だから噛み締めよう、この日常を。
後これだけは言わせてくれ、可愛すぎんだろ! 私の嫁!




