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みなもの想いⅢ 編集への感謝

 彩果が無理をし過ぎて体調を崩していた。やはり私の言う通りだったよ。

 ここは立浪編集長の慈悲に甘える事にしよう。彩果に何かあったら、私は、一緒に死ぬ事を決めているからな。彩果の居ない世界なんて、生きる意味は無い。その逆も然りの筈だ。私達は、心も体も繋がっているんだ。


 それにしても、立浪編集長と赤崎さんは変わらないな……私が高校生の頃から、あの二人にはお世話になってきた。私が一人前の漫画家になれたのも、編集さん達のお陰だ。


 私はこう見えて、編集さんへの感謝を忘れた事はないからな。そもそも編集さんが居なければ本は出版できない。その事を理解してない人が多い気がする。


 私が本を買って、一番最初に見るのが一番後ろのページだ。その本の出版日、第何刷か、そして編集人の名前を見る。常識だろ? 本好きならその本の情報を知るという事はな。


 まず出版日を見てこの本がいつ発行されたかを知る。その時の私は何をしていたか、世の中はどうなっていたか。時代を知る事も、私の楽しみ方の一つだ。


 初版の初々しさもあれば、人気が出て重版され、世間から認められた貫禄もある。ちなみに私の『つきめば』の第一巻は六刷までいったぞ。


 そして、発行人や編集人を見ると、この人のお陰で、この本が生み出されているんだと、実感する事ができる。 もちろん印刷所も確認するぜ、その本が刷られた場所だからな。


 編集さんは偉大だ。文句を言う作家が多いけれど、皆理解していないんだ。自分一人で本を出版したと勘違いしているんだ……編集の悪口を書いた本を出版する人は……ちょっと理解できない。生理的に受け付けない。なら全部自分一人で編集して出版してみろ。そんな同人誌みたいな事を、商業誌で出来るのかどうか。

 人に読ませる内容にする為に編集さんが口出しして、修正をするのは当然の事。お金を出して買って貰って、読んで貰うんだから、それなりのものにしなくては……だから文句言うなよ。言ってもいいけど、心の中に留めておけ。なんて事を私なんかが言っても、誰も耳を傾けてはくれないのだろうけどな。


 編集さんが出世する為なら幾らでも踏み台にされてやる。編集さんの方が作家より上にいるべきなんだ。


 もし……編集さんが漫画や小説を書いたら、絶対面白いものが書けると思う。赤崎さんがそうだったな。 編集者としても優秀で、ラノベ作家としても、売れっ子になってるからな。自分で書いた方が面白いなんて、編集失格の発言なのにさ、本当に自分で描いて書籍化されて、大ヒットさせるなんて、赤崎さんは凄過ぎるよ。


 立浪編集長の過去は知っていた。前に会った時に聞かされていたからな。あの人は、人に無理をさせる事を恐れている。だから無理はしすぎずに休めと言ってくれる。部下やクリエイターには、絶対無理はさせない。上司が全員、あの人みたいだったら、もっといい世の中になると思う。


 私は、環境に恵まれ過ぎているな。つくづくそれを実感するのだった。

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