次回こそは
初めてNICUに入らせてもらった日は、指を握ってもらうので精一杯だった。
あまりにも小さな我が子を前にして、
「僕が抱っこしたら壊れてしまうんじゃないか」
そんな恐怖が勝って、手を伸ばすことすらできなかった。
妻はというと、毎日のように授乳練習をしているせいか、もう手慣れたものだった。
軽やかに我が子を抱き上げ、授乳室の方へ向かおうとする。
「お、おい。大丈夫か?」
「首をしっかり支えれば大丈夫だよ。だいたい抱っこできないと授乳できないでしょ」
ごもっとも。
ごもっともなんだけど、見ているだけでハラハラしてしまう。
授乳室へは父親は入れないので、空になった保育器の前で、ひとり待つことにした。
まだ吸う力が弱く、哺乳瓶で与えても少し飲んだだけで眠ってしまうと聞いていた。
どうか今日は少しでも飲めますように——そんな願いを胸に、時間が過ぎていく。
やがて戻ってきた妻の腕の中で、侑也は眠っていた。
「今日も、あんまり飲めなかったみたい」
妻がそっと言う。
「まだ小さいし、仕方ないよ。次また頑張ってもらおう」
そう言いながら、自分にも言い聞かせるように息を吐いた。
「パパも次は抱っこできるように頑張ろうね」
息子にだけ頑張らせるわけにはいかない。
僕は腹をくくった。
——次回こそは。




