回復の笑顔に救われる日
吐いた事で出た熱は、翌日の朝には引いていた。
侑也は朝から元気に、右へ左へとコロコロ転がっている。
この日は、僕の両親がお見舞いに来てくれた。
「遠いところありがとう」
そう伝えたいかのように、笑顔で手を振る侑也。
「点滴が足から手に変わったんだよ」とでも言いたげに、右手をぶんぶん振って見せる。
その様子を見て、両親もほっとした顔になった。
これまでの経緯をゆっくり説明すると、母は原因不明の痙攣のことを心配して眉を寄せる。
父は、
「病院にいるんだから、先生としっかり話して決めていきなさい」
と落ち着いた声で言ってくれた。
けれど、その表情の奥にある“戸惑い”や“不安”は、息子である僕にはよく分かった。
午後には、リハビリの先生がやって来た。
侑也にとって“リハビリ”は「遊びを教えてくれる時間」のようだ。
先生の姿を見るだけで、嬉しそうに身体が動く。
この日は、支えてもらいながらのつかまり立ち。
ベッド柵をぎゅっと握って膝立ちする姿に、思わず声が出る。
「おお、頑張れ!侑ちゃん!」
昨日のしんどそうな姿からは想像できないほど、目がキラキラと輝いている。
調子が悪ければ微動だにしない侑也が、元気を取り戻した途端にこんなにも表情豊かになる。
病院スタッフも笑いながら言う。
「わかりやすいね。もう吐いちゃダメだよ〜」
元気な姿を見ると、僕たちの不安はすっと軽くなっていく。
まだ不安は残るけれど、押しつぶされるには早すぎる。
侑也が見せてくれる“小さな前進”に励まされながら、
僕たちも前へ進もうと思った。




