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小さな足跡の記録  作者: こう
新たな恐怖 原因不明の不安

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食べる喜び、寄り添う不安

造影検査の結果を受けて、翌日からトロミ剤入りのミルクを胃瘻から注入することになった。


ゆっくり。ゆっくり。

ポタ、ポタ、と落ちていくミルク。


侑也は吐くこともなく、むしろ上機嫌に声を上げて喜んでいる。

肺炎の間ずっと絶食が続いていた。久しぶりの“ごはん”が、本当に嬉しいのだろう。


手をバタつかせ、体全体で喜びを表す侑也。


「そんなに暴れたら、また上がってきちゃうよ〜」


妻がやさしく声をかけると、侑也は 分かっているような、分かっていないような 笑顔で手を振り、ゴロゴロと寝返りを続ける。


ご飯を食べて、笑って、遊ぶ。


ただそれだけのことが――

幸せで幸せで仕方なかった。


5月18日 入院10日目


痙攣の原因を探るため、今日はMRI検査。

「これで分かればいいんだけどね…」

そう夫婦で話していた矢先、侑也が突然吐いてしまった。


よりによって、検査直前に。


それでも、なんとか検査は無事に行われ、結果が出た。


「異常ありませんでした」


良かった――はずなのに。

どこかで異常が見つかった方が「原因が分かる」という意味では安心できたのかもしれない。

嬉しいような、腑に落ちないような、複雑な気持ちが胸に残る。


そしてその日の夜。

吐いた影響で、侑也はまた熱を出した。


レントゲンでは肺炎は否定されたものの、

“吐き続ければいつでも肺炎になり得る”

その事実が、重くのしかかる。


――やっぱり、トロミをつけても胃瘻では厳しいのか。


少しずつ、心の奥に諦めが広がろうとしていた。

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