小さな改善、小さな光
入院3日目。
治療が早かったおかげか、侑也は朝からいつもより元気に動いていた。
まるで、しゃべれない彼なりに 「大丈夫だよ」 と伝えようとしているように見えた。
熱も下がり、声も出している。
夜には寝返りまで披露してくれた。
──この調子ならきっと大丈夫。
そう思わせてくれるほどの力強い姿だった。
入院6日目。
今日は久しぶりの 造影検査。
胃に入った栄養がどんな流れを辿っているのか、造影剤を使ってレントゲンで確認する。
以前、この検査で肺炎を起こしたことがある。
今回は、肺炎が治ったばかりのタイミング。
正直、心配のほうが大きかった。それでも「今知りたい情報」であることは確かだ。
無事でありますように、と祈りながら結果を待った。
検査結果を映像で見ながら、先生が説明してくれた。
以前は、胃に入った栄養剤の ほぼ全部が逆流 していた。
しかし今回は違う。
画面には、逆流しながらも 一部が十二指腸へ流れていく 様子が映っていた。
完全ではない。逆流もまだある。
それでも──「下へ流れてくれている」。
ただそれだけで胸が熱くなった。
この結果を受けて、侑也の食事に 小さな変化 が起こった。
今まで使えずにいた「胃瘻」から、ついにミルクをあげてみることになったのだ。
もちろん慎重に、トロミをつけて逆流を防ぎながら、ゆっくり。
一歩ずつ、確かめるように。
少しずつ、確実に変わっていく侑也の体。
逆流が減り、栄養が下に流れている。
ただそれだけの事実が、まるで未来を照らす光のように思えた。




