輪の中へ
4月27日。
「親子で遊ぶ会」は難聴児支援施設で行われる。
参加しているのは、いつも同じ支援施設でお世話になっている子どもたち。見慣れた顔ぶれだ。
今日も約2時間、みんなで楽しく遊ぶ会が始まった。
不安はある。けれど、うちだけ暗い顔をしていてもしょうがない。
「全力で楽しもう。」そう心に決めて参加した。
遊びは新聞紙をちぎったり丸めたり。
ガサガサと音もするし、好きなように遊んでいいらしい。
侑也も張り切って新聞と対面するかな?と思ったが──。
オズオズと手を伸ばしては、ちょっと触れて引っ込める。
どうやら少し怖いらしい。
無理に触らせても逆効果だ。
妻が代わりに新聞紙をちぎったり丸めたりして見せると、
侑也はニコニコしながらそれを眺めていた。
声をかけて促すと、少しずつ、自分からも手を伸ばすようになる。
ちぎった新聞紙を上からパラパラ〜っと振りかけてみると、
両手をぶんぶん振り回して大喜び。
その姿に思わずこちらも笑顔になる。
最後は新聞紙風呂。
侑也を入れてみると、動きにくいのか戸惑っていたが、
その様子さえ愛らしかった。
遊び終わって、みんなで輪になって集まる。
その時、侑也がズリズリと動き出した。
どこへ行くのかと見守っていると──。
あまり話したことのない親子のところへ一直線。
そして目の前でピタッと止まると、
「やあ!こんにちは!」
と言いたげな声をあげた。
この奔放さ。
この人見知りゼロの社交性。
まさに“侑也節”全開だ。
……人の気も知らないで。
ただ、向こうの親子も嫌な顔をせず相手をしてくれたので、本当に助かった。
その後、心配していた痙攣は一度も起こらなかった。
全力で遊んで、笑って、輪の中に入って。
当たり前のようで、当たり前じゃない時間だった。
帰りの車。
チャイルドシートで眠る侑也を見つめていると、
胸の奥にふっと希望の明かりが灯った気がした。
どうかこのまま──。
もう二度と、痙攣なんて起きませんように。




