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不安を抱えて前へ
股関節が固く、自分の足を触れない事に気づいた日から、僕は侑也と遊ぶ時、「足の運動」を取り入れるようになった。
最初は両足を持って自転車のように回す「両足コギコギ」と、その逆回転。
次は、足で円を描くようにくるくる回す「両足クルンクルン」。
最後に、足の裏同士をくっつける「足拍手」。
新しい遊びが楽しいのか、侑也は笑いながら大喜びだ。
続けていれば足への意識も育つし、股関節だってきっと柔らかくなっていく——そんな期待を胸に、毎日の遊びに取り入れることにした。
一方で、あの痙攣の原因はいまだ不明のまま。
不安だけが、じわじわと膨らんでいく。
そんな時、妻から声がかかった。
「今月も、親子で遊ぶ会に参加しようと思うんだけど」
侑也が来てから、妻の外出は買い物程度に限られてしまっている。
注入の時間に合わせて行動しなければならず、友達と会う自由も減った。
行かせてあげたい——。
でも、もしあの痙攣がまた起きたら?
心配が胸に広がる。
だが、それ以上に、妻と侑也に“外の楽しみ”を感じてほしい気持ちの方が強かった。
「侑也も楽しみにしてるだろうしな。行って楽しんでおいで」
不安をそっと心の底に沈め、妻の背中を押すことにした——。




