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小さな足跡の記録  作者: こう
新たな恐怖 原因不明の不安

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原因のない不安

4月16日

この日は侑也の定期受診の日。

担当医が今日から変わると聞いていた。さて、誰が着くのかな?と思っていたら…。


新しい先生が入院中に診てくれていた人だとわかり、緊張がゆるむ。

知らない人に「カルテ読みました」と言われるだけでは、どうしても不安が残る。

知っていてくれる——それだけで、こんなに心が軽くなるのかと思った。


痙攣の話をすると、先生は丁寧に耳を傾けてくれた。

ただ、結論は夜間の先生と同じだった。


「もし次があれば、できれば動画に残しておいてください。

 言葉だけでは判断が難しいので」


理屈ではわかる。

でも、あの状況でスマホを探して撮影なんて——

親としては、そんな余裕があるわけがない。

心の中で苦笑してしまった。


結局、今は「様子を見る」しかないらしい。

思わず

「次が起こるの待ちですか?」

と聞いてしまったら、先生も苦笑していた。


診察の終わり際、先生がもう一つ話題を出した。


「侑也君、股関節が少し固いですね。

 整形の医師にも一度診てもらいましょう」


そう言われて初めて、侑也が自分の足を口に運んだり、

足を掴んで遊んだりする姿を見たことがない事に気づいた。

そうか、できなかったのかもしれない——。


帰り道、青ざめた妻が不安げに言う。


「私一人の時に、また痙攣が起きたらどうしよう…?」


その声の揺れに胸が痛くなる。

でも、迷わせちゃいけない。


「その時は迷わず救急車。

 あとから考えればいいよ」


妻はしばらくうつむいていたが、小さく頷いた。


「…そうだよね」


原因が見えないというだけで、

人の心はこんなにも追い詰められる。

判断も鈍る。

だからこそ、夫婦で確認する。


——生命優先。

迷ったら救急車。

それだけは揺らがせない。


そうして、僕たちは今日も帰宅した。

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